誰もが一度は直面するトイレトレーニング。うちの子は他の子よりも遅れているのでは、いつもおもらしばかりしてしまうのは私の教育が悪いのではと悩んだり、落ち込んだりすることってありませんか。そろそろ周りがトイレトレーニングを始めているけど、うちも始めた方がいいのかなあと迷われている方も多いと思います。
 そこで、今回は子育てのプロ、保育園へ取材に行ってきました。保育園児って、実は一日のうち約8時間も園にいるんですよね。そこで園児達のトイレトレーニングの中心は保育園。保護者と一体となって行っています。毎年何人もの園児がおむつから卒業するのを支援しているんですよ。
 今回お話しをして下さったのは上連雀保育園の小内園長です。今年2歳になるお子さんをお持ちのお母さんと一緒に貴重なお話しを伺って来ました。


Q:みんなの一番の関心事は、なんと言ってもいつ」トイレトレーニングを始めたらいいのかですよね。おおよその目安ってあるのでしょうか。

 一歳半くらいからが対象だとは思いますが、個人差が非常にあるので、月齢で言うよりも、2時間ぐらいたっておむつを変えてみようかなあと思った時やお昼寝の後、おむつが濡れていないことが続くと、もしかしたらそろそろ膀胱におしっこをためておける機能が育ってきているので始められるかなあと判断します。ただ夏など汗を沢山かくと、おしっこの量が減ることもありますし、中には少量ずつおしっこするお子さんもいて、おむつが濡れていないこともあるので、同時に一回のおしっこの量が沢山出ているかも判断の基準にします。膀胱におしっこをためておいて一度におしっこを出すという身体の準備が出来た時がおおよその目安でしょうか。


Q:そういえば、最近うちの子のおむつが濡れていないことが多いけど、そろそろ始めた方がいいのかなあ。でも何をすればいいのでしょうか。トレーニングパンツとかは必要ですか。

 保育園では、各家庭毎に、布おむつだったり、紙おむつだったりと事情が違うため、必ずみんながトレーニングパンツを使うことはしていません。
 その代わり、
子供達にはそれぞれおむつにおしっこをする時のサインがあるのです。じっと止まっているとか、おしっこが出た後に股の所に手をやってみたりとか、必ず行く場所があるとか、そういうサインを見逃さないようにして、声かけから始めます。 「今、おしっこ出たね」、「今度はトイレでやってみようか」とか。次の機会にはトイレへ誘って、便器に座らせてみたりとか、そうやって子供がおしっこが出た時の感触を覚えることを促しています。もちろん子供に強制せず、子供の意志を尊重しています。


Q:トイレに行くのを嫌がったらどうすればいいのでしょうか。便器に子供用トイレを載せると、股が広がって座り心地が悪いみたいで、子供が嫌がるのですが・・・。

 トイレって、普通狭くてあまり快適でないスペースだから、子供が好きなものとか置いて、喜ぶ環境を作ってあげたり、座り心地が悪かったら、足置き台のようなものを置いてあげたり、一工夫することによっても変わりますね。
 
一番大事なことは、お母さんの気持ち。親がしてもらいたいという気迫をもってトイレにいくことが多いので、知らず知らずに子供のプレッシャーになっているかもしれないですね。ずっと座らせておくのではなくて、出なかったら、またにしようかと言ってあきらめることも必要ですね。
 大好きなお母さんが鬼のようになるのがトイレだと、子供はトイレを嫌がってしまうので、なるべくゆとりを持てたらいいですね。


Q:逆にいらいらしてしまうのが嫌なので、トイレトレーニングを避けています。自分からトイレって言えるまで待った方がいいのでしょうか。ただ自分の都合で遅らせているようで、ちょっと心苦しいです。

 トイレトレーニングという言い方自体、大人側の視点ですね。子供にとってみればトイレトレーニングをされないとおしっこ出来ないわけではなく、おむつでおしっこをしようが構わないわけで、大人側に、いずれおむつをはずしたいという願望があって、おこなっていることですよね。
 子供がおむつでするのは気持ち悪いと思ったら、なんらかの
サインを送ります。例えばおむつを自分からぬいでしまう子もいて、よく見るとおむつにたっぷりしていることもあるんですよ。
 それに「おしっこ出たんだね」とお母さんが言ってくれたことで、これがおしっこ出るっていうことなんだと頭の中で結びついて、理解することによって、自分からもおしっこ出たよと言えるようになったりします。
 そういう意味で、時期はお母さんが一番わかるのかも知れないですね。時期を逃してしまうと、子供はせっかく言っても何にもしてくれない、だったら言うの辞めようって思ってしまうこともあるので、お母さんが取りたいと思った時と、子供がおむつしているのが嫌だなと思った時が一致した時が、丁度いいタイミングではないでしょうか。
 一般的に言われている一歳半だから、夏だから、始めなければいけないというのは、実はお母さんの都合なんですね。幼稚園に上がる前までに絶対におむつが取れていないと恥ずかしいって思う気持ち、とってもよくわかります。自分を責める原因ではないのですトイレトレーニングはしつけることではなく、お子さんの育ちとお母さんのうまい介助が一緒になって、はじめて成功することで、お母さんが悪いから取れないわけではなく、子供の膀胱におしっこを貯める機能が育っていなかったり、子供がまだそういう気持ちになっていないっていうことが背景にはあるんですよ。
 だから安心して時期を待ちましょう。早く取れなかったらだめなお母さんというわけではないのですから。。


Q:端境期に紙おむつとパンツとどう使い分けたらいいですか。
  漏らされて困るのは実は大人なんです。子供はちっとも困らない。どこでしようが本当は勝手なんですよ。だから、本人が納得できることが一番肝心で、パンツをはきたいと言っている時は、ぬらされてしまうのを覚悟するぐらいが必要かな。ただどうしても漏らされて困るときは、子供に説明して本人が納得すれば問題はないでしょう。強制が一番良くないですね。
 夜だけおむつのケースもありますよ。夜中のおねしょは、お母さんもあまり気持ちよく処理するわけではなく、そういうお母さんを見て、子供はトイレで出来なかったって自分を責める原因にもなるし、眠りを妨げられることにもなるので、少し大きくなったお子さんだと自分からおむつがいいという子もいますよ。夜中はぐっすり眠れるようにおむつにしようかって、子供に相談してみることもいいのではないでしょうか。


Q:子供って、汚いトイレだと出来ないことってありますよね。そういう時はどうしたらいいでしょうか。

  最初のうちは、どうしても適応力は低いですね。うちのトイレでは出来るけど、他では出来ないとかありますよ。でもそのうち保育園でも出来るようになったりします。
 ただ大事なのは、トイレがあったのに出来なかったっていう気持ちを、子供が残さないようあらかじめトイレ情報を調べてから外出したりするのも手かも知れませんね


子供がトイレって言ったら、すぐに連れて行きたくても行けない時ってありますよね。やはりすぐに連れていかないといけないのでしょうか。

 子供がトイレって言っているのだから、そういう発信があったら、大変だけど対応してあげることが基本でしょうか。発信されても応じないことが続くと、何もしてくれないから、もう言うのやめちゃおうとか、おむつをはいていればいいやと思ってしまうこともありますよね。
 この場合も説明してあげて、子供が納得すればいいでしょう。例えば、トイレに先に行っていて、お母さんはすぐに行くからとか・・・。
 子供優先だけど、大人がそれを評価してあげている。一つ先に進んだなあって。大人からそうやって認められるのは、子供にとって一番うれしいことだから、大人からの声かけはとっても大切ですね。


Q:うちの中もお漏らしされてもいいや、だっこしている時もぬらされてもいいやくらいの覚悟が必要なんですね?
  そうですね。居間はいい、ここはだめと言うと、子供が迷ってしまうんです。もう漏れてもいいやという気持ちにならない限り、トイレトレーニングは子供に勧めないほうがいいかもしれないですね。
 トイレトレーニングは、他にも”おむつはずし”や”おむつはずれ”という言い方もあります。トイレトレーニングやおむつはずしって、大人側の言葉なんですね。本当は”おむつはずれ”という言葉が一番適切なのかもしれないですね。子供のおむつがはずれるのをあくまでも手助けする、そういう意味なんですね。


Q:下の子が生まれたことによって、上の子が赤ちゃん返りして、おむつに戻ってしまいました。どうしたらいいでしょうか。
  精神的に不安定になったり、手をかけてもらいたいというサインかもしれないですね。下の子にお母さんを取られてしまったみたいな・・・。保育園ではそういう状態を総称して、「こっち見て行動」って呼んでいます。わざと悪いことをしたり、急にトイレでおしっこが出来なくなったり。それは声をかけて欲しいことの裏返しですね。
 例えば急に夜中におもらしするようになった子に、「いいよ、いいよ」って言ってあげたら途端に止まったっていう例もあります。

 今日は1時間にも及ぶインタビューにもかかわらず、丁寧にいろいろなことを教えて頂きました。トイレトレーニングって、手をかけて、気持ちをかけてあげないと、うまくいかないけど、それが子供のプレッシャーになっているかもしれないんですね。1歳半だから、夏だからって思っていましたが、実はおむつが濡れなくなることがサインなんですね。目から鱗でした。子供と会話しながら、焦らないで、時期が来るのを待つこと、一番難しいんですけど、それが大切なんですね。

 三鷹市では、すくすくひろば、のびのびひろばや保育園で、子育てに関する相談を行っています。またメールによる相談や「みたか子育てねっと」ではインターネットによる相談も行っています。トイレトレーニングをはじめ、どうしたらいいのかわからないと思うことがあったら、一人で悩まずに、思い切って直接コンタクトを取ってみて下さいね。きっと有意義なアドバイスを頂けると思いますよ。

 

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reported by あちゃも