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家庭で家事・育児の役割を担っているお父さん・野原英裕さんに
お話をうかがいました〜!


野原英裕さん

《野原英裕さんプロフィール》

高1、小6、小4の3人男の子のお父さん。
家庭で家事・育児をするほか、地域活動、子育て支援、高齢者福祉、障がい者福祉の分野で、
三鷹市の行政とも関わっており、青少年健全育成、小学校の吹奏楽団の指導にも取り組んでいらっしゃいます。 平成16年度から18年度まで3年間三鷹第2小学校PTA会長をつとめられました。


野原さんの家族構成を教えてください。
私(父)、妻(母)、高1、小6、小4 (3人とも男の子) の5人家族です。
ご夫婦の役割分担はどうされていますか?
私(夫)が家族のありようを担う者、妻(母)主たる生計者、という分担をしています。
いつごろからそういった形態をとられたのですか?また、どのようにして決めたのですか?
高1の長男が3歳のときです。夫婦話し合いで決めました。

それまでは、私(父)が民間企業の営業、妻(母)が大学職員の共働き家庭でした。当時から家事・育児は一緒にやっていましたが、
(※編集部注 野原さんは、アンケートの質問項目すべて【A】でした!)
長男が重い障がいをもっていたことと、将来兄弟もつくりたいし、今後家族をどうしたらいいかと夫婦で話し合いをもち、どちらかが家に入ろう、ということになりました。

話し合いの末、妻(母)が主たる生計者 ・夫(父)が家族のありようを担う者 という分担をしようということになりました。

世の多くの家庭と逆の選択をした理由は、後者の方が「これから挑戦することや、孤独の度合いが大きい」であろうと考え、私(父)の方がその役に適しているだろうとの判断をしたからです。
以来13年、今に至っています。
子育てで時間の制約を感じることはありますか?また野原家ならではの子育てというのはありますか?
家族全員で生活をしていく中で、やらなくてはならないことを話し合い子どもたちにも家のことをどんどん任せています。例えば、私の帰りが遅くなるときはゴハンのスイッチを入れておいてもらうとか、3階のプレイルームから玄関に続くまでの家の階段掃除は子どもたちの役割ですし、布団の上げ下ろしはお兄ちゃん、週2回の配達で配られる牛乳を家に入れるのは下の子の役目、などです。
生活全体の中での優先順位を考えて、少し家事に手が回らなくなってしまっても気にしないくらいの大胆さはあるかもしれません。お母さんたちは「自分は家事をするためにいるのだからほかの事でいそがしくても家事だけはしっかりと!」とムリをしてしまう傾向があるでしょう。
我が家は父親が子育て・家事を担当しているがゆえに、社会通念にとらわれないライフスタイルができていると思います。家族全員でいちばんいい対処を考えることにしています。
お父さんが育児(学校)に参加する上で、ひっかかりとなるものがありましたか?周りのお母さんの目とか・・・
正直、当初は非常に抵抗ありましたよ。

ですが、同じ障がいをもったお子さんを持つ親御さんたち(お母さんたち)から「そんなところで新聞ばかり読んでないで一緒にお茶でも飲みましょう」とお誘いをいただき、みなさんから良くしていただいて、人の和を感じるようになり、参加していくうちに自然体でいられるようになりました。

今は保護者会、PTAなど、お母さんたちがたくさんいる中では自分は中性化しているように思います。もちろん場面ごとに使い分けていますが。

いろいろな活動に参加するうち、お母さんたちの考え方や発想に触れることができ、それが非常に新鮮で勉強になりました。結構楽しんでいます。

PTAの運営をするときに、男性的な発想で仕事を進めても、表面的には上手くいっているように見えても、押し付けになってしまっていることもあるんですね。PTA活動を通じて、会社勤めでは分からなかったことが見えてきたり、地域社会のありように触れることができたのは非常に大きな収穫だと思っています。
(※編集部注 野原さんは小学校内で子どもたちからもお母さんたちからも大人気です)
世の中のお父さんたちの意識は変わってきていると思いますか?
確実に変わっていると思います子どもとの関わりを大切に考えている人が多くなりました。運動会、学校公開日といった行事で、お父さんの姿が非常に多く見られるようになりました。
10年くらい前までは、子どもを通じた知り合い(男性)ができたとき、まず話題にのぼるのは「どんな仕事か?」ということだったのに、今のお父さんたちは子どもの活動を通じた話題で盛り上がっています
お母さんたちにお願いしたいのは、お父さんたちが子どもの行事に参加したら、どんどん仕事を頼んでください、ということ。何か作業を一緒にしていくうちに喋ったり親しくなっていくものですから。
お父さんたちは手持ち無沙汰、暇がイヤなんです。だってそうでしょう。居心地の悪いところで暇にしているのは苦痛ですよ。
最後に何かありましたら。
出発点は障がいを持った子どもがいて、その親御さんたちの集まりに参加したことからなのですが、今はそんなことは関係なく本当にたくさんの人と親しく関わらせてもらっています。
我が家は周りのみなさんのおかげで、幸せに暮らしています。
よく思うのは、うちだけが多くの人に良くしてもらって幸せだ、というのはありえない、ということです。
自分が幸せだから、周りの人たちのことも気になってしまう。社会が良くなればそれぞれの家庭も良くなっていくはず、と思うんです。
野原さんの精力的な活動の原動力はそうした思いなのですね。今日はありがとうございました。

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2007年5月号