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子どもと料理(杏林大学 熊井利廣)


個人的な話で恐縮です。

「子どもと料理」というテーマを頂いてすぐに浮かんだのが、ふたつの記憶。日曜日によく子どもたち(長女、4歳下に長男)と一緒にホットケーキを焼いて食べたこと。それから、長女が小学校の夏休みの宿題として、「料理」をつくったこと。

20年以上前、子どもたちが保育園に行っていたころ、ホットケーキを作るのは私の役目、みたいになっていた。

どういうきっかけか覚えていないが、たぶん子どもが面白がるだろうと考えたと思う。丸い形でなく、犬のしっぽ、ウサギさんの耳とか言いながら、動物の形にホットケーキを焼くと、子どもたちは喜んでいた。ブタさんのしっぽから食べちゃおう、とか言って。そのうち、ワタシも! ボクも!と、自分でも焼くようになった。これが一つ目の記憶。


長女が小学3年生の時、夏休みの自由研究として取り組んだのが「料理」。

学校から返されたファイルを見ると、母親に教わりながら、ゆで卵、ハンバーグ、コロッケなど5種類の料理に挑戦して、それぞれ「ざいりょう」、「つくりかた」のほか感想を書いている。ハンバーグ作りでは、「玉ねぎをきるとき、目にしみるので水中メガネをかけてきりました。」なんて書いてある。

今は2児の母になっている長女に聞いてみたら、学校に提出したファイルの表紙が青色だったこと、何かを作り出して、それを食べるのが楽しかったことを今でも覚えているとのことだった。ホットケーキのことも覚えていて、今、上の2歳の子どもに同じようにしていると話してくれた。

食べ物の恨みは…という言葉があるが、食べ物にまつわる記憶は残る、ということかもしれない。おいしかったり、楽しかったりすればなおさらのこと。

お子さんと一緒に料理してみるのも面白いかもしれませんよ。2、3歳でも、まぜたり、こねたり、むしったりはできます。もう少し大きくなれば、切ったり、焼いたりと料理の一部に参加できるようになります。それなりの準備は必要かもしれませんが、子どもとの楽しい時間を過ごせることでしょう。おすすめです。

最近では、一人でテレビやビデオを長時間見ている子どもが増えているとの調査結果もあり、子どもに与える影響が懸念されています。料理でなくても、子どもと何かを作ったり本を読んだり、一緒に楽しむ時間を作れるといいですね。

(杏林大学 熊井利廣)

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2008年6月号

アイコンは、素材配布サイト「素材屋さんROMANCE」からお借りしています。