アロマで虫よけ
日本ハーバルアロマセラピスト協会認定 アロマテラピーアドバイザー リフレクソロジスト
崎谷明子(saki)さんからのアドバイス
何年か前のコラムで、精油で作る虫除けスプレーをご紹介しましたが、今回はもう少し詳しくその安全性についてもお話したいと思います。 アロマの精油で作る虫除けスプレーは、市販の物と違って入っている成分がわかる、しかも天然成分なので安心、と思われているかもしれません。 確かに、今まで無害だと思って使っていても、化学薬品の歴史はまだまだ浅いので、長い人類の歴史の中で経験と知識の中で培われてきた薬草などに比べると、その安全性に不安を感じることもあるかと思います。実際、市販の虫除けスプレーに入っているDEETという忌避成分がここ何年か前にアメリカやカナダでその安全性が問題になり、日本でも平成17年に厚生労働省からDEETを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策が出され、その使用方法や濃度を明確にするように対策が取られた、ということがありました。 ただし、天然だから安全というわけではないこともお伝えしたいと思います。 天然の精油でも、用量によっては神経毒性といって、神経組織に影響を与えるものもあれば、人によっては慢性毒性といって、一度に使用する量は微量でも、長期間の連続した使用によって身体に影響が出てくる精油もあるのです。ですから、手作りの虫除けを作る際には精油の注意事項をよく確認することが大切です。 特に、紫外線の強いこの季節、光毒性のある精油には少し注意が必要です。光毒性とは皮膚に化学物質が接触し、その部位に紫外線が当たることによって、色素沈着や炎症反応などの皮膚刺激が起こることです。 精油の中で光毒性を持つ成分を含んでいるものは主に柑橘系の精油です。柑橘系とはオレンジ・グレープフルーツ・ベルガモット・マンダリン・レモンなどで、これらの香りはとても良い香りで子供たちにも大変人気があり、また爽やかな香りは気分をリフレッシュさせてくれるので暑い夏には最適です。そしてその中のいくつかは昆虫忌避作用もあるので、虫除けスプレーに使用することもあります。そうなると、先ほど出てきた光毒性が気になるところです。 光毒性は、通常は最初の1時間増加し、その後2時間ピークを持続、さらにそれを8時間かけて減退すると言われています。ということは光毒性のある精油を肌に使った後は2時間は紫外線に気をつけなければなりません。でも光毒性のある精油を1滴でも使ったら気をつけなければならないのでしょうか? 特に光毒性の成分を多く含む精油としてあげられるのはベルガモットですが、光毒性に関して、最大使用可能濃度は0.4%と記されています。0.4%というと100ミリに対して8滴です。つまり8滴以下の滴数ならあまり光毒性の心配はないということになります。参考までにレモンは40滴、グレープフルーツは80滴となっています。ですので、作った虫除けスプレーの濃度がこの濃度より高くなければ、あまり神経質になることはないと思いますが、やはり肌の弱い方や紫外線が気になる方は光毒性のある精油を使う際は注意して頂けたらと思います。因みにベルガモットは光毒性を持つ成分を取り除いたベルガモットFCFという精油も販売されているので、そちらの精油を使うと安心だと思います。 また虫除けにはシトロネラ・レモンユーカリ・レモングラスなどもよく使用されますが、これらの精油は柑橘系ではありませんが光毒性と同じような症状が出ることもあると言われています。また光は当たらなくても、皮膚に刺激を起こすこともあるので、やはり使用濃度には十分注意が必要です。しかし、実際虫除けは濃度が低いとやはり効果も弱くなるので、化粧水やフレッシュナーなどと比べると高めの濃度で作ります。心配な場合は皮膚には直接スプレーしない、パッチテストをする、初めは低濃度から慣れて、徐々に濃度を高くするなど、ご自分でいろいろ工夫して頂けたらと思います。 そして実際に虫にさされてしまったら、ラベンダーやティツリーを入れたジェルなどを塗るのもお勧めです。ひんやりして気持ちのよいジェルはかゆみにとても重宝します。またスプレーに比べ、その成分が拡散してしまわないので、濃度を調節すればスプレーの代わりに虫除けジェルとしても使用できると思います。 <虫さされ用ジェル レシピ> ラベンダー 5滴 ティツリー 3滴 ゼラニウム 2滴 アロエジェル 30グラム <作り方&使い方> アロエジェルに精油を混ぜて、虫にさされたところに塗ります。 私自身、日常生活において精油で手作りしたものは、香りもよく、天然の成分も穏やかな効き目なので安心して使用しています。でも、たまに濃度を高くしたりすると皮膚に刺激を感じたり、恥ずかしながら、子供の皮膚を刺激してしまい泣かせてしまったりしたこともあります。合成された物でも、天然の物でもその使い方や量によっては毒にも薬にもなるので、自分できちんと納得して使用する、ということが大切だと思います。せっかく手作りするのなら、より安全性を高めるためにも、どうぞきちんと用量・使い方を守って下さいね。 |
2009年7月号 |