星の話をしよう!7月号

協力:天文学とプラネタリウム


7月の夜空は、これに注目!
 7月の星空といえば、七夕です。天の川をへだてて向かい合う織姫彦星の話をご存じの方も多いと思いますが、実際に見たことがある方は意外と少ないようです。今回はこの織姫星彦星についてお話しましょう。

[三角形を探せ]
 織姫星彦星を探すためには、まず夏の大三角形を探しだしましょう。ベガ(織姫星)デネブアルタイル(彦星)の3つの明るい星からなるこの大きな三角形は、この時期ならば夜も更けた頃に天頂を見上げれば、簡単に見つけることができるでしょう(ただし、西の空にも木星、アークトゥルス、スピカからなる三角形がありますので、間違えないように注意を!)。左の写真の形をよーく覚えて探してみてください(写真をクリックすると大きい画像が出ます)。この二等辺三角形の頂角にあたる部分にあるのがアルタイル、つまり彦星です。では、織姫星は残り二つのうち、どちらの星でしょうか?


 デネブとベガを見分けるには、はくちょう座の形を覚えてしまうのが早道です。はくちょう座は大きな十字架の形をしています。“デネブ”とは元々“おしり”の意味。デネブかな?と見当をつけた星が、翼を広げた白鳥のおしりに見えてきたら(あるいは十字架の一番上に見えたら)その星がデネブだと思って間違いありません。最後に残った星が織姫星のベガです。無事に見つけることはできましたか?

[もうちょっとだけ、ベガの話] 
 ベガは、実は天文学ではとても重要な星です。昔の天文学者は星の明るさを決める際の基準に、ベガを使っていました。ベガを0等星として、ベガよりも約2.5倍暗くなるたびに1等ずつ増えていくように明るさを決めたのです(このようにして決めた星の明るさを、ベガ等級といいます)。このベガ等級の仕組みは、現在でも世界共通で使われています。ベガを見つけたら、ぜひ思い出してみてください。(梨)

◆ほしぞら情報(国立天文台)
http://www.nao.ac.jp/hoshizora/index.html



今月の星空 Q&A
このコーナーでは、皆さんから寄せられた宇宙に関する質問に対して、天文学とプラネタリウム(略称:天プラ)のメンバーがお答えします!お子さんから聞かれて答えに困った素朴な疑問などありましたら、sukusuku@mitaka.ne.jpまでぜひお寄せ下さい。


オシエテオシエテ
織姫星と彦星は本当に七夕の日に近づくの?

オコタエシマス
年に一度、七夕の日だけ会うことを許された織姫と彦星。これは物語の世界ですが、では実際の星空では、織姫と彦星は近づくのでしょうか

まず、織姫と彦星の間の距離から考えてみましょう。織姫(ベガ)彦星(アルタイル)の間の距離はおよそ15光年離れています。光のスピード(秒速30万km)で動いても、この2つの星が出会うには15年もかかるわけです。すべてのものは光よりも速く動くことはできませんから、2つの星が毎年会うのは不可能です。実際、ベガとアルタイルが七夕にその位置を変えることはありません。

織姫と彦星がお話をしようとしても、光や電波に乗せて送ったとしても片道15年待つことになります。これは、とても大変に思えます。でも星の寿命を考えてみましょう。太陽はおよそ100億年の寿命を持っていますので、ベガとアルタイルも同じくらいだとしましょう。人間の寿命を100年とすると、星は人間の1億倍長生きするわけですね。つまり、星にとっての15年は、人間にとってはその1億分の1、およそ5秒に相当します。テレビの海外中継などでは数秒間遅れて音声が届くことがよくありますが、織姫と彦星は私たちが衛星中継を見るのと同じくらいの感覚で会話をしているのかもしれません。

このベガですが、明るさの基準となるのとは別に、天文学者を惹きつける興味深い星です。ベガの周りには、今まさに惑星が生まれている証拠と考えられる塵の円盤が見つかっているのです。あと1億年くらいすると、ベガの周りには私たちの太陽系のような惑星系が生まれているかもしれません。ベガは、生まれつつある子どもを抱えたお母さん星だったのです。
(松)
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2006年7月号

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使用している画像はblue-greenさん,M+KBOXさんなど素材配布サイトからお借りしています。