めざせ!世界大会!!
自分だけのロボットをつくろう!

みなさんこんにちは、“ロボ太”です。私が仕事の合間を縫って取り組んでいるロボット教室について、ご紹介させて頂くことになりました。


私たちの教室は、レゴのマインドストームNXTというキットを使用し、ロボットの組み立て・プログラミングを楽しみながら学習する教室です。対象は小学3年生以上です。

みなさんはロボットと聞いてどんなロボットを想像されますか?二足歩行型ロボット(アシモetc)、アニメに登場するロボット(鉄腕アトム、ガンダムetc.)、工場で働く産業ロボット、いろいろありますね。私たちのロボットは二足歩行型ロボットではなく車型ロボットです。ブルドーザー、ショベルカー、クレーン車など働く車をイメージして頂ければよいと思います。私たちの車型ロボットは、3つのモーター、1つのコントローラー、そしてレゴブロックで組み立てられています。

まず3つのモーターのうち2つを移動用に使用します。私たちのロボットは車型ロボットなので、この2つのモーターはタイヤを回転させます。2つのモーターはそれぞれ異なるタイヤを駆動させるので、ロボットは直進・回転などが可能となります。もう1つのモーターは作業用の腕(私たちは”アーム”と呼んでいます)に使用します。

さてロボットですが、組み立てただけでは動きません。モーターが自ら考え動くことはありませんからね。ロボットをどのように動かす、つまりモーターをどのタイミングで、どのように動かせばよいか制御するプログラムを用意しなければなりません。このモーターを制御するプログラムはパソコンで作り、パソコンからUSBケーブル又はブルートゥース(無線)でプログラムをコントローラーへ移します。このコントローラーが3つのモーターを制御し、ロボットが動くのです。

ロボットの写真1 ロボットの写真2

さて、ここまでの説明で「小学生がプログラムできるの?」って思われるのではないでしょうか。

プログラムを作るソフトは、一つの動作を一つのブロックに対応させているため、パソコン画面上でレゴブロックを組み立てるような感覚でプログラムを作ることができます。慣れればそれほど難しくありません。例えば「タイヤ1回転で15cm進むロボットの30cm前方にボールがあり、ロボットはこのボールを取りに行き、ボールを持って元に位置に戻る」というミッションが与えられたとしましょう。

このミッションに対して一般的な攻略方法は、
1. 左右のタイヤを2回転させ直進する。
2. アームを振り下ろし、ボールを取る。
3. 左右のタイヤを1とは逆方向に2回転させ後進する。
です。

このようにロボットの動きを分析し各ステップ毎に分けることができれば、あとはパソコン画面上にステップの数だけブロックを並べ、各ブロックに動かすモーターを指定し、モーターの回転方向、回転数を入力すればよいだけです。ただし上記のようにタイヤの回転数が2回転と整数ならばよいのですが、2.25回転などと小数の場合、小数を習っていない3年生にははじめは難しいようです。このような場合、上級生の助けをかりプログラムを作っていくのですが、いつの間にか上級生の力を借りなくてもプログラムを作れるようになっています。


組み立てたロボットが思い通りに動いたとき、子どもたちの表情は何とも言えない良い表情です。

では子どもたちにとって何が問題でしょうか。実はロボットは直進しないのです。左右のタイヤを同じように動かせば直進するのではと普通は考えます。しかし、これが大変難しいのです。それではなぜ直進しないのでしょうか。直進しない原因はいろいろあります。

 ロボットの重量バランス
 個々のモーターの特性にばらつきがあること
 ボディーのひずみ
 モーターにつながっていないタイヤ(補助輪)の影響

私は子どもたちにこのように話をします。
「目隠しでまっすぐ100歩あるいてごらん。まっすぐ歩けるかな?」
みなさんはどう思いますか?左右の足を同じように出し、まっすぐ進んでいるつもりでも、右や左に逸れると思いませんか?ましてや片方の手に重たい荷物を持っていれば、さらに難しくなりますようね。ロボットはまさにこのような状態なのです。

この問題は実際にロボットを組み立て、動かしてみないとなかなか発見できない問題です。ゲームでコントローラーを動かせば画面の中の車や人物が思いの通り動くことに慣れている子ども達に、「現実の世界ではモノが思い通り動かない」ということ、このことを感じ取ってほしいのです。このことを意識すれば、例えば自動車がどうしてまっすぐ進むのか、どうして思いの通り運転できるのか不思議に思えてきます。疑問に思えばインターネットや本で自動車の構造を調べ、自分たちのロボットに自動車の技術を取り込む工夫が生まれてきます。実際に車のディファレンシャルギアを模した機構をいくつか組み合わせ、直進性を高めようと取り組んだ子どももいます。

私はロボット作りを通して、このようななぜ・どうしてという探求心を育み、普段何気なく使っているモノの中にある技術(知恵の結晶)に敬意を払い、その技術を学んでくれれば大変嬉しく思います。幸いにして三鷹には「機械遺産」の認定を受けた水車「新車(しんぐるま)」があります。身の回りには沢山のお手本があるのですから。

最後になりますが、現在、FLLという世界規模の大会に向けて準備をしています。一昨年は中学生と小学生の混合チームで、去年は小学生だけのチームで大会に出場し、中学生だけのチームも出場するなか善戦し全国大会まで駒を進めることができました。今年も私たちのチームは小学生だけのチームで、中学生チームなど強豪チームを相手に戦わなければなりません。まずは12月の関東大会突破ですが、子どもたちの心はすでに世界大会です!

レゴマインドストーム:http://www.legoeducation.jp/mindstorms/
FLL(日本公式HP):http://www.firstjapan.jp/fll2009/index.html
私たちはFLL出場に際し、スポンサーを募っています。ご興味のある方はご連絡下さい。

reported by ロボ太

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2009年10月号