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日本ハーバルアロマセラピスト協会認定 アロマテラピーアドバイザー リフレクソロジスト
崎谷明子(saki)さんによるアロマエッセイです


第16回 女性のためのアロマテラピー(1) PMS・生理痛

 
 先日、朝日新聞の生活面で30・40代女性に増える、疲れ・イライラ・・・・・・「プレ更年期」前向きに!という記事が取り上げられていました。体がだるく、いらいらする。よく眠れず、肌もかさつく・・30代半ばから40代の女性にこんな悩みを持つ人が増えているということです。本来なら、女性の閉経は50歳くらいで、その前後5年、トータル10年を更年期と呼んでいます。でも、現代の女性は家庭でも、仕事でもストレスにさらされているため、女性ホルモンの変動と相まって若い時から不調をひきおこしやすいようです。確かに、私も30代後半に入ったここ1,2年、体の不調が続いていて、人ごとではありません。

 女性は11歳頃になると女性ホルモンの分泌が増加し、生理(月経)が始まります。22歳から24歳ころ女性ホルモン量はピークに達し、45歳頃よりその量は低下するようになり、50歳くらいで閉経を迎えます。その間、妊娠・出産という経験をすることもあるかもしれません。このような生理サイクルの中で、女性は更年期だけでなく、生理や妊娠・出産などの時期にも様々な症状が起こり、悩まされるものです。

 素晴らしい香りと様々な作用を併せ持つアロマテラピーは、このような時期を上手に乗り切るためにとても有効なものだと思います。でも、それにはまず女性の体の仕組みを正しく理解することも大切です。今回から、数回にわたり女性の体の仕組みや特有の症状・悩みなどについて取り上げ、その時々の上手なアロマの活用法をご紹介できたらと思います。

 まず1回目は、更年期障害の大きな原因の一つでもある女性ホルモンの分泌の変動や生理サイクル、それに伴うPMS(月経前症候群)や生理痛について見ていきます。

 生理は上記にも述べましたように、女性ホルモンの分泌が11歳頃に急増加することによって始まります。女性ホルモンの主なものは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つです。エストロゲンは子宮や乳腺に働きかけ、排卵、生理、妊娠など女性の生殖機能をつかさどるホルモンです。また、このホルモンの影響で乳房やお尻はふっくらとし、女性らしい体つきになってきます。プロゲステロンは子宮内膜の厚みを増し、受精卵の着床に備えるもの、簡単にいうと、胎児のために居心地の良いベッドを作る働きをするホルモンです。生理サイクルは「生理開始日?排卵日」までの前半と、「排卵日後?生理開始直前」までの後半に分かれます。排卵前にはエストロゲンが徐々に増量し、一時的にピークを迎えた後に減少し、排卵後にはエストロゲンとともにプロゲステロンが増量します。そして生理前になると両ホルモンが急激に減少します。このように生理サイクルに伴って2つのホルモン量が変化していくことが「ホルモンのバランス」だと考えることができます。

 生理前になると、イライラしたり、むくんだり、肌の調子が悪くなったりすることがありませんか?生理サイクルに伴って生理直前に起こり、生理開始とともに自然と消えるこのような不調のことをPMS(月経前症候群)と言います。PMSの症状が起こるのは、この2つの女性ホルモン分泌量が生理前に急激に変化することに関係があるのではないかと言われています。女性ホルモンの分泌量の変化に脳の視床下部がうまく順応できず、様々な症状が現れるということです。視床下部は自律神経の働きを調整しています。自律神経は、血管や内臓、平滑筋など自分の意志と関わりなく働く組織に関わる神経で、循環、呼吸、代謝といった生命活動に必要な働きを調節しています。ですから、視床下部がホルモン量の変化に対応しきれなくなると、体内で血液が滞ったり、むくみがおきたりするわけです。また、視床下部は感情の中枢とも隣り合っているため、イライラしたり、落ち込んだりといった症状が現れることもあります。

  このようなことがわかれば、生理前のちょっとしたアロマケアで上手にPMSの症状に対処することができます。方法は、アロマバスでもトリートメントでもご自分の好みで良いと思います。

<生理前のむくみなどに>
 ♪グレープフルーツ・サイプレス・ジュニパーベリー・ローズマリー等

<生理前のイライラに>
 ♪イランイラン・クラリセージ・ゼラニウム・ベルガモット・ラベンダー・ローズ等

 イランイラン、クラリセージ、サイプレス・ゼラニウム・ローズ等はホルモンのバランスを整える働きもあるといわれていますので、生理前のホルモン量が急激に変化する時期には、これらの精油を用いるのは大変有効だと思われます。
 実際に生理が始まると、生理痛に悩む方もいると思います。痛みを和らげるには、ラベンダーやマージョラムが効果的です。ただし、生理痛にも様々な要因があります。体質的に子宮の収縮ホルモンが多いためであったり、子宮口が狭いためであったり、冷えや運動不足で血流が悪化していて生理痛を重くしたりすることもあります。また、子宮内膜症や子宮筋腫といったことが原因のこともありますので、まずはきちんと原因を見つけることが大事だと思います。PMSにしても生理痛にしても、やはり心配な時はお医者様に診てもらうことをお勧めします。
 多くの女性がPMSや生理痛に悩まされています。女性なら誰にでもあることだという軽い気持ちで、またアロマを上手に活用してこの時期を乗り切りましょう。精油をご使用になる場合は、必ず注意点などに気をつけて下さいね。


2006年2月号



このページの画像は素材配布サイト700kmさんからお借りしています


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