ようこそ!アロマの世界へ

日本ハーバルアロマセラピスト協会認定 アロマテラピーアドバイザー リフレクソロジスト
崎谷明子(saki)さんによるアロマエッセイです


第21回 精油とキャリアオイル



    今まで日常生活におけるアロマの活用法をいろいろ書いてきましたが、それらは主に精油の活用法と効能・注意点についてでした。精油はその性質上、直接肌につける場合は必ず稀釈して使用しなければなりません。精油を稀釈するには、精製水、アルコール、天然塩等々を使用しますが、その中でも一番アロマテラピーで使用されるもの、それはキャリアオイルと呼ばれる植物油です。

  前回トリートメント(マッサージのことです)の素晴らしさについて少し書きましたが、トリートメントにもキャリアオイルは欠かせないものです。今回はキャリアオイルとはどういうものなのか、どのような効能があるのかといった事を、精油との違いを比較しながらお話ししていきたいと思います。 

   精油はエッセンシャルオイルとも呼ばれ、キャリアオイルと同様「オイル」と呼ばれることもあるため、アロマを学び始めた人にとってはその違いがわかりにくいこともあるようです。コラムの中では、わかりやすいようエッセンシャルオイルのことは「精油」と呼び、キャリオイルと区別していきたいと思います。

精油もキャリアオイルもどちらも植物から作られる天然のものです。
しかし、精油は植物の香りの成分を濃縮して抽出したもので、油という言葉はつきますが、その成分はアルコールに近いものです。そして、揮発性、つまりそのままにしておくと常温でも液体が気体となってしまうという特性があります。
そのため精油は使用した後はすぐ蓋をしめなくてはなりません。

一方キャリアオイルは、油脂であり、精油のように気化することはありません。
精油は水には溶けませんが、キャリアオイルには完全に溶けます。よって精油を加えたキャリアオイルを使用しして体をトリートメントすることで、精油の成分を全身に行き渡らせることができます。
精油を全身に運ぶ(carry)役割をすることから、キャリアオイルと呼ばれているのです。


   すぐにわかる精油とキャリアオイルの大きな違い、それは香りです。
精油は植物の香りの成分が濃縮されているものなので、どの精油もかなり強い香りがします
また 初めにも書きましたが、その薬理効果も高く、刺激が強いこともあるため、ラベンダーとティートリー以外の精油は原液のままで使用することはできず必ず稀釈して使用します。
(ラベンダーやティートリーも原液は広範囲で使用せず、火傷・にきびなど局所的に用います。)
一方、キャリアオイルは多少香りがするものもありますが、ほとんど無臭です。またその特性からブレンドすることもありますが、多くはそのまま稀釈せず使用することができます。
 

   精油の成分というのは、植物の花、葉、種子、茎、果皮などに含まれていますが、ローズは花ユーカリは葉オレンジは果皮というように、植物によって精油が含まれている部分は1、2個所に集中しています。そして、精油の性質によってその抽出方法が違い、代表的なものは<圧搾法>、<水蒸気蒸留法>、<溶剤抽出法>という3つの方法です。

  オレンジやレモンなどの柑橘系は〈圧搾法〉で精油を抽出します。(これはエッセンスと呼ばれます)果皮から果汁を搾り、その果汁から分離した精油を抽出するという方法です。

  柑橘系以外のほとんどの種類は〈水蒸気蒸留法〉(右図)で作られています。
原料となる植物を釜に入れ、下から水蒸気を通します。すると、細胞の中に含まれていた精油が蒸気と一緒に蒸発してきます。その気化した蒸気を冷却すると、気体は冷やされ液体になりますが、このとき精油は水より軽いため上澄みとなって分離されています。この分離されたものを集めたものが精油になるわけです。

 ただし、ローズやジャスミンなどは微妙な香りの成分を抽出するのが難しい為、この方法ではなかなか精油が抽出できません。よって、溶剤(アルコール)に原料の植物をつけ込み、これを低温で揮発させる<溶剤抽出法>という方法で精油を抽出します。この方法で得たものは、アブソリュートと呼ばれ、精油に溶剤が残留する場合もあるため精油と区別して使用するセラピストもいます。
 
   一方、キャリアオイルですが、こちらは植物の種子や果実から搾油されたもので、低温で圧搾されたものが最上級品といわれています。低温で圧搾するということは、過剰な加熱をさけるため、植物本来の性質の変化を最小限に食い止めることができるのです。よって通常食用で売られている植物油より高品質です。アロマテラピーでは食用の植物油、また鉱物油を含むベビーオイルなどは使用しません。
 
  キャリアオイルは精油を稀釈するために使用しますが、単独でもビタミン、ミネラル、必須脂肪酸などを豊富に含んでおり、植物の薬理効果を十分得ることができます。精油を使用することができない赤ちゃんのマッサージには、キャリアオイルだけを使用しますし、肌への保湿効果、柔軟効果もあるので、スキンケアとしても使用できます。

キャリアオイルにもいろいろな種類があり、それぞれ含まれている成分や使用感が違うため、用途に合わせて使い分けるものよいでしょう。

次回は、キャリアオイルの種類やその特徴などについてもっと詳しくお話したいと思います。


2006年9月号



このページの画像は素材配布サイト700kmさんからお借りしています


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