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日本ハーバルアロマセラピスト協会認定 アロマテラピーアドバイザー リフレクソロジスト
崎谷明子(saki)さんによるアロマエッセイです


第22回 キャリアオイルの種類と効能



  今回は前回に引き続き、キャリアオイルについてもっと詳しくお話したいと思います。

キャリアオイルは精油ほど種類が多くありませんが、それでも一般のアロマテラピーの本でも10種類程度、、キャリアオイル事典などでは40種類程度が取り上げられています。

それぞれに固有の有益な特性があり、その使用感や酸化速度などもかなり違います。それらを考慮してキャリオイルを使用すれば、精油を使用しなくても植物が持つ穏やかな効能を得る事ができます。


 一つの例として、ここ何年か美容の面で大変注目されているローズヒップという植物から採取されるローズヒップオイルの特徴や使い方などをあげてみましょう。私は最近肌が乾燥してきたので、時々お風呂上がりにこのローズヒップオイルで顔のマッサージをしていますが、翌日はかなり肌がしっとりして調子が良いです。

ローズヒップとは、主にチリやペルーの山岳地帯のやせた土地で自生している野ばらの赤い実のことで、ビタミンCの含有量が非常に高いといわれています。ビタミンCだけでなく、リノール酸とリノレン酸も多く含み、細胞組織を修復し、しわを目立たなくし、老化を抑制する働きがあるということで、オイルだけでなくサプリメントやお茶も非常に注目されています。

さて、このローズヒップオイルは精油でしょうか?それともキャリアオイルでしょうか?
 正解はキャリアオイルです。ローズヒップオイルは低温圧搾法で作られていて、香りは少々しますが、精油のように強い香りはしません。

ですから精油のように稀釈して使用する必要ななく、そのままマッサージなどに使用できます。ただし、ローズヒップオイルはキャリアオイルの中でもかなり高価なものです。
一般にアロマテラピーでよく使用されるスイートアーモンドと比較すると約5倍の値段です。だいたい30mlで3000円くらい、30mlなんてもし全身のマッサージをしたら一回でなくなってしまうくらいの量です。
ですから、よほどリッチな人でなければローズヒップで全身のマッサージなどは行いません。
使用感もかなりしっとりするので、全身にはちょっと重いかもしれません。使い方としては、前述のように顔のマッサージに使用したり、美容液として目の回りなど部分的に塗ったり、化粧水やクリーム、トリートメントオイルなどに美容の効能をより高めるために加えて使用することが一般的です。ローズヒップオイルは他のキャリアオイルと比較すると酸化しやすいという特徴もあります。購入後は半年以内、開封後は2,3カ月を目安に使い切ることをお勧めします。
 
 このようにキャリアオイルの特性を知っていたら、高価なキャリアオイルを無駄に使ってしまうこともありませんし、自分の肌質にあったオイル・用途に最適なオイルを選択することができます。キャリオイルは前述したように40種類程度ありますが、その中から日常生活で活用できるいくつかのオイルをご紹介したいと思います。


◇ スイートアーモンド

 アロマテラピーで最もよく使われる代表的なキャリアオイルで、実際私も一番このオイルを使用します。
肪酸、タンパク質などの栄養分を含み、肌を癒して柔らかくする効果に優れているので、顔やハンドケア、全身のトリートメントなどに使用できます。
値段も手ごろで、お子様からお年寄りまで安心して用いることができるので、ベビーマッサージでもよく使用されています
赤ちゃんには精油を使用しませんが、キャリアオイルだけでも十分に植物の効能を得ることができるのです。使用感は若干オイル特有の粘性があるかもしれません。アーモンドの種子から搾油しているため、ナッツアレルギーの人は必ずパッチテストをして下さい。


◇ アプリコットカーネル

 スイートアーモンドと成分的にはよく似たオイルですが、浸透性にすぐれ、さらさらとした使用感が特徴です。価格はスイートアーモンドと比べるとわずかに高めになります。全ての肌質の人に向いていますが、特に乾燥肌、老化肌、敏感肌、赤味のある肌に有効で、特に顔のマッサージに最適なオイルといわれています。


◇ ホホバオイル

 ビタミン・ミネラルなどの栄養分が豊富で、人の皮脂とよく似た組成を持ち、またその粒子がとても小さいことから肌への浸透性が非常に高く、さらりとした使用感でどんな肌質の人にも使用できる素晴らしいオイルです。
正確にはホホバの実から取れる液体ワックスのため、低温では固化しますが、使用時に温めて元に戻しても熱に対する安定性に優れていて、酸化、腐敗しにくいのが特徴です。
日焼け後の炎症やおむつかぶれなどにも有効といわれています。ただ、値段が若干高いのが難点でしょうか?


◇ 小麦胚芽

 小麦の胚芽から採取されるオイルで、ビタミン、ミネラルなどを含みますが、中でもビタミンEを豊富に含むのが一番の特徴です。小麦胚芽は粘性があり、値段も高いこともありますが、ビタミンEが天然の抗酸化剤となるため、防腐剤として他のキャリアオイルに10%ほどブレンドして使用します。
このオイルは血液の流れを活発にし、皮膚の老化を防ぎ、肌荒れやしもやけなどを緩和する作用があります小麦アレルギーの人はパッチテストをして下さい。


◇ カレンデュラ

 キャリアオイルには植物から直接搾油したものと、ハーブを植物油につけ込んでその有効成分を採りだした浸出油という2種類があります。カレンデュラはマリーゴールドの花を植物油につけ込んだ浸出油になります。
このオイルは傷ついた皮膚や粘膜を修復し保護する作用があり、肌荒れやしもやけにとても有効です。
抗炎症作用、抗真菌作用もあるので、赤ちゃんのおむつかぶれなどにも用いることができます。とびひの子にティートリーの精油をブレンドして用いたら早く治ったという報告もあります。
通常は他のオイルとブレンドして全体の25%ほどで使用します。



 キャリアオイルは市販のクリームと違い、ママでも子供でも安心してスキンケアに使用できるところがよいと思います。
ただ、やはり油なので気をつけないとタオルや洋服に油染みがついたり、油臭さが残ったりてしまうことがあります。
使用する際は、その点を考慮してお気に入りのタオルや洋服をさけるようにして下さい。
またマッサージの後などは洗い流す必要はありませんが、軽くタオルで押さえたりしましょう。


2006年10月号




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