ようこそ!アロマの世界へ

日本ハーバルアロマセラピスト協会認定 アロマテラピーアドバイザー リフレクソロジスト
崎谷明子(saki)さんによるアロマエッセイです



第31回 春に向けて 〜アロマの力で身体をゆるませましょう!


 土の中で冬ごもりをしていた虫や動物たちが地上に出て来て、そして多くの植物が芽吹く春、私たちの身体の中からも「あ〜なんだか身体を思いっきり動かしたいな〜」とささやく声が聞こえてくるような感じがしませんか?
 秋から冬にかけては、「蓄えの時期」ということで、人間の身体はエネルギーを体内に抱え込むようです。その間にエネルギーを代謝した後の老廃物が体内に溜まり、場合によってはそれが病気の元だという人もいます。それが事実かどうかは別として、個人的には確かに秋から冬にかけては食欲も増し、厚着で身体を覆いかくせる油断から、身体に余分な脂肪などがつきやすい時期ではあります。また、歩くときもその寒さを少しでも耐えようと、身体は前のめりに姿勢が悪くなり、肩もいつも同じ姿勢で凝り固まったようになっています。そんな身体を春になったからといってすぐに活発に動かそうとしても無理があるというもの。そんな時はまずは植物の穏やかな自然の力で老廃物を排出したり、身体をリラックスさせたりして、身体をゆるませてあげましょう。

 身体の緊張は呼吸とも関係があります。息を吸うことは身体を緊張させ、息を吐くということは身体をゆるませます。寒い季節はどうしてもゆっくり息を吸う回数が減るため、身体がいつも緊張状態で固くなってしまうのではないでしょうか?でも実は、深く呼吸をして身体をゆるますのにはとても大切なことです。身体をゆるませれば、緊張がほぐれ、それが、血管やリンパ管の流れをよくしてくれます。老廃物の排出を行うリンパや酸素を運ぶ血液の流れがよくなれば、身体の新陳代謝が良くなり、その結果免疫力も高まります。さらに、全身をゆるませることは副交感神経が活発となり、心身ともにリラックスできるということです。優しく穏やかな植物の香りを感じると誰でも自然に深い呼吸を誘われるので、そんな意味からもアロマはお勧めです。

 芳香浴、アロマバス、トリートメント、その方法はお好きなものでよいでしょう。では、これからの活動に備えて身体を目覚めさせるにはどんな香りがよいのでしょう?香りの好みは人それぞれですので、絶対これがいい!と言い切ることはできません。でも、いくつもある香りの中から自分の好きな香りを見つける事は案外難しいようです。そんな時は、香りよりも効能を知ることも一つの方法です。精油の香りがピンとこなくても、その素晴らしい効能を知る事でちょっと使ってみたくなり、使ってみることでその香りが意外に好きになることもあります。

 老廃物の排出を促してくれるような精油としてお勧めなのは、何といってもジュニパーです。ジュニパーはジュニパーの果実(ジュニパーベリー)から精油が抽出されますが、このジュニパーベリーは洋酒のジンの香り付けにも利用されているものです。ジュニパーは排尿作用があり、アルコールを飲み過ぎた後(直後ではありません)、こってした物を食べ過ぎた後などに生じる毒性物質を体内から排出するのにも大変有効です。また身体がひどく不活発で眠くて困る時(体内に老廃物を抱え込みすぎているような時)、神経を明敏にしてくれます。また空気を浄化する作用もあるた、やる気の出る空気をまわりにめぐらせてくれるともいえます。そして、尿酸も排泄するのを助けるため、肩凝りや関節炎やリウマチなどの痛みを和らげる効果も期待できます。この効能を聞いただけでも、何となくジュニパーを試してみたくなりませんか?香りはややウッディー系で、くっきりしたさわやかな香りです。
 そして、気分をゆったりとリラックスさせてくれる精油としてお勧めなのはラベンダーやネロリ、ローズ、ゼラニウム、イランイランなどフローラル系の香りです。これらはフローラルといってもそれぞれでかなり香りの特徴が違いますので、自分のお好みの香りを選べばよいと思います。もしジュニパーとブレンドするとしたら、私がお勧めなのはゼラニウムです。ゼラニウムは気持ちを明るくさせてくれる作用もありますが、ジュニパーと同じく老廃物を排出する作用もあるので、ブレンドすることによってよりその効果が期待できます。

 身体の老廃物を排出し、気分をリラックスさせたら身体はかなりゆるんでくるでしょう。でもいざ身体を動かそうとなると、意外に面倒になってしまうもの。そんな時はやる気を起こさせてくれる精油の力を借りましょう。お勧めはローズマリーとオレンジ、レモン、グレープフルーツなどの柑橘系です。ローズマリーは脳細胞を活気づけ、無気力な時に効果的です。また柑橘系の精油は、気持ちを明るく前向きにしてくれる作用があります。

 もし一つ一つの効能を一度に味わいたい場合は、上記の精油をブレンドしてみましょう。例えば、ジュニパー、ゼニウム、ローズマリーのブレンドのアロマバスに入ったら、かなり新陳代謝が活発になり、気分もとてもすっきりするでしょう。もし香りがあまり好きでなかったら、ゼラニウムを他の好きなお花の精油に替えたり、ブレンドの割合を自分の好きな精油を多めしたりすれば、かなり好みの香りに近づけることができると思います。一度に多くを作らず、その度にブレンドしてみる、あるいはすぐに使わず1〜2日、時間を置いて使ってみる、そんな工夫をするだけでも自分の好みの香りを見つけることができるかもしれません。

 最後に注意点ですが、ジュニパー、ラベンダー、ローズ、ゼラニウム、ローズマリーは妊娠初期の使用を控えることをお勧めします。また、柑橘系の精油は肌を刺激することもあるので肌の弱い人は注意して下さい。また使用後は紫外線に直接当たるとシミや炎症の原因になったりしますので、これからの季節は特に気をつけてくださいね。


2008年3月号



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