ようこそ!アロマの世界へ

日本ハーバルアロマセラピスト協会認定 アロマテラピーアドバイザー リフレクソロジスト
崎谷明子(saki)さんによるアロマエッセイです



第33回 気になる汗のにおいに〜アロマの力を借りましょう


  先日、朝日新聞の生活面に「汗・体臭とつきあう」という特集が5回にわたり掲載されていました。汗の出る仕組みから、体臭の原因、体臭を弱める方法等についてとてもわかりやすく書かれていました。最近は実際にはにおっていないのに、体臭があると思い込む「自己臭恐怖」に悩んでいる人が増えているということにもふれていました。においの気にしすぎは確かによくありませんが、でも気にするなと言われても、これからの季節、やはり汗とそのにおいには敏感になってしまうものです。
  アロマテラピーは、実際に汗のにおいに悩んでいる人にも、ただにおう気がすると思い悩んでいる人にも、どちらにもとても有効だと思います。そういうと、単ににおいを香りでカバーすると思われるかもしれませんが、それだけではありません。何故アロマが有効なのか理解して戴くためにも、新聞の記事も参考にしながら、汗の出る仕組みや体臭の原因について簡単に説明したいと思います。

  汗は体の表面にある汗腺から分泌されます。汗腺には、「エクリン腺」と「アポクリン腺」という2つの種類があります。この2つの汗腺は、汗の成分や、臭いが発生する仕組みが違います。クリン腺は全身のあらゆる部位に分布し、通常かく汗は主にこのエクリン腺から分泌されます。そして汗が出る原因は大きくわけて3種類あります。
1つ目は、運動や気温の上昇等で上がった体温を下げるためにかく汗です。汗を皮膚で蒸発させることによって、体の表面の熱を奪い、体温の調節をしています。
2つ目は、熱い物や辛い物などを食べた時に顔面や首などにかく汗で、これは頭頂部の温度を下げて脳を保護するために発汗するのではないかといわれています。
3つ目は、冷や汗等、不安や緊張などの時にかく汗で、これは熱・運動・気温の変化とは別におこります。
一方アポクリン腺はわきの下など特定の部位にしか存在しません。アポクリン腺の数は女性よりも男性のほうが多く、日本人よりも欧米人などのほうがこの数は多いと言われていて、遺伝によっても左右されるようです。ワキガ(体臭)はこのアポクリン腺から発生する汗がにおいの原因だといわれています。また、このアポクリン腺から出る汗は、体温の上昇などには関係なく、性ホルモンとの関係が深く、またストレスや緊張時にも活発になるとのことです。
  そしてどちらの腺から出る汗も、汗そのものにはほとんどにおいはありません。汗に含まれるわずかな成分が、皮膚にある雑菌と結びつくとにおいが発生してしまうのです。そして、夏場は汗の量が増えるだけでなく、温度と湿度の上昇のため、より菌が繁殖しやすい環境となり、においが強くなる傾向にあるようです。ですから、汗のにおいを抑えるには、その菌を繁殖させないようにすることです。まず、通風を心がけること、そして汗はこまめにふき取ること、体や衣類を常に清潔に心がけることが大切です。
  そして、アロマテラピーが有効な理由もここにあります。精油には殺菌、抗菌作用があるため、その作用が強い精油を選び、スプレーを作れば、立派なデオドラントスプレーになります。特にお勧めの精油は、ティートリ・ペパーミント・ユーカリ、そしてグレープフルーツ・レモン等の柑橘系の精油です。作り方は、エアフレッシュナーと同じです。

  <用意するもの>
   ・ スプレー容器     1本
   ・ 無水エタノール    5ml
   ・ 製水          45ml 
   ・ 精油      5〜10滴 

  <作り方>
   ・ スプレー容器に無水エタノール5mlと精油5〜10滴を入れよく混ぜ合わせます。
   ・ 精製水45mlを加えよく振って混ぜます。使用時にもよく振って下さい。
   ※ 無水エタノールを使用しない場合は、精製水を50mlにしてください。
   ・ 濃度を若干高めにするとより効果的ですが、皮膚が弱い場合は注意するようにして下さい。
   ・ 柑橘系の精油を使用後は直射日光に当たらないようにして下さい。
   
  そして、体臭の原因は菌との結びつきによるだけでなく、食事や運動等の日常生活の面からの改善も必要である事が書かれていました。肉類やマヨネーズなどの脂質を多く取っていると、やはり体臭は強くなるようです。これらの脂質を控えめにし、ビタミンCやEを含む野菜や果物を多く採るとよいそうです。
  また運動不足、冷房の使いすぎ等で汗をかかない生活をおくっていると、いざ汗をかいた時にその汗は体臭のもとになる水分以外の分泌量が増えることがあるそうです。いわゆるドロドロの汗です。そして、ストレスや緊張などの汗もにおいの原因になるようです。理想はサラサラの汗をかきやすい体質にして、心地よく汗をかき、汗をかいたら清潔に保つ、そしてストレスをためないことなのです。
  そうなるとますますアロマは役にたちそうです。汗をかきやすい体質にするには、お風呂を使った汗腺トレーニングがよいとのこと。ジュニパー、グレープフルーツ、ゼラニウム等の発汗作用がある精油を使ってアロマバスに入ったり、手浴、足浴を行ったりすれば、とても効果的な汗腺トレーニングができると思います。そこにラベンダーやイランイラン、カモミール等の精油をプラスすれば、同時にリラックス効果も得られます。

  汗、体臭・・・気にしすぎはよくないと言われても、自分のにおいは気になるもの、でも、気にすることでまたストレスが生まれ、それがにおいの原因となることもあるかもしれません。アロマテラピーでどこまで対処できるかは確かに個人差があると思います。でも、悩んでいる時に「アロマがあるから大丈夫」と思えること、それは大きい心の支えになると私は思うのです。身体的なケアだけでなく、ストレスなどの精神的なケアもできること、それはアロマテラピーの素晴らしい魅力の一つなのです。


2008年7月号



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