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【第2回】 ひらめきの瞬間
話は戻りますが、発案から5年経った今でも鮮明に覚えている、閃きの瞬間の話をしたいと思います。「あ、これだ!」とたったの数文字で表現することに違和感を感じるほど、その瞬間の衝撃は今でも忘れられません。まるで稲妻に打たれたような、という表現がぴったりかと思います。


普段からアイデア好き、工夫好きだった自分なので、少々の思いつきでさほど驚くことはありません。しかし、特許の仕組みについて独学で勉強をしたので、アイデアの価値についてある程度の自己評価ができたのです。変わった趣味だと思われるかも知れませんが、韓国から日本語を勉強しに来日し、大学で日本語を専攻して出版社に就職したものの、まだまだ足りない日本語で出版や編集に本格的に関わることに自信が持てず、給料泥棒にならないためにはと自分の領域を探し始めたのが翻訳部門でして、何かの縁で特許翻訳に長年かかわることになり、そのうち、特許の勉強をしてみたくなったのです。


そうそう、特許の観点から見るから、大変な衝撃を感じたのです。
このアイデアは世界初かも知れない! そしてめちゃめちゃ利用範囲が広いものになるに違いない。これを事業化したらすごいことになるかも、と。
その時は人に言えなかったものの、自分の中では「確信」という二文字の「勘」がびりびりっと走ったのです。 



こんなアイデアは100年に一回生まれるぐらいの滅多に無いアイデアだ。コロンブスの卵のように簡単なゆえにそういうことが起こりうるんだ。
今ではまわりの皆さんからも良く聞く話ですが、最初はそういう自己評価を胸にしまっておくしかありませんでした。しかし、そんなアイデアが自分の頭から出てきたとは思えない。なぜだ? まるで産み落とした子どもをみながら、自分の体から出たとは思えない神秘な生命体に遭遇した初出産のようでした。女性ならこの感覚、共感できますよね?

 出願しなくちゃ! 出願とは特許を取得するための第一歩で、実はその後の長〜い道のりが待っていたりします。日本では先願主義という方法で特許法が成り立っていますので、先に出願したもの勝ち。ちなみにアメリカは出願よりも先にモノがあった方が勝ちです。だけど、出願の前にこれは本当に自分が初めて考えたアイデアなのか、他にこのアイデアやこれに似たような商品があっては、出願はできても審査で落ちてしまう。特許には「新規性」という概念が一番大事にされているからです。調べまくりました。無い、無い、本当? ならば。。。と即決しなければなりません。発明の世界では「共時性」というものが働くらしく、誰かが思いついたものは他にどこかで考えている人がいると言われています。30万円とか40万円とか主婦のへそくりとしては大きいお金のかかる出願という手続きは、実はこうした確立の低い世界への挑戦で、ギャンブルのような性質も持っています。賭け事とはまったく無縁ですが、ここは賭けるしか無いと思いました。誰にも言えない、自分の中の「確信」にすべてを賭けたのです。無茶でバカとしか言い様がありません。実はその前にも何度か別のアイデアで出願したことがあり、どれも良い結果を出さなかったので、旦那にはかなり反対されました。今回は違うんだよ!と心の中で叫びながら前に前にと突き進む自分がいました。 


 審査結果は、ほぼ一発で特許取得! 快挙でした。特許を一発で取得できるということは、かなり確立の低い話で、ほとんどの場合、問題点を指摘され「拒絶通知」が来て反論してまた来てと繰り返されるのです。一発ということは、やはり似たようなアイデアは無いってことなんだな。やっぱり! 素直に嬉しかったです。 
特許証 特許証
しかし、その嬉しさも束の間。頭の中をよぎったのは、それでも何かの抜け道があるはずだ、それならその抜け道は自分から考えるべきだ。自ら苦心をし始め、ついに一つの抜け道のようなアイデアにもたどり着きました。皮肉なことに自分のアイデア同士の戦いが始まり、2つ目のアイデアが特許に至るまでにずいぶん時間がかかりましたけれども・・・。結果2つの特許を手に入れ、少々安心していますが、開発者肌という性分なのか、今でもずーっと考えています。他に何か良い方法は無いのかな??と。ここまで来たら病気かも知れませんね。(笑)


*お知らせ*
コアルーバッグの多くのデザインを手がけてくれた バッグデザイナー赤峰清香さんが、先日、
NHKの「すてきにハンドメイド」 という番組の講師に出演し、
ワークショップを弊社主催で行うことになりました。
日時: 7月6日(土) 7月8日(月) 10時〜4時
会場: ニコハウスSolar Gallery吉祥寺
(コピス吉祥寺A館4F)
参加費: 5000円(材料込み)
詳細は、コアルー公式ブログをご覧ください。

コアルー公式サイト
http://www.coaroo.info/


2013年6月号

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