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【第7回】 お金って大事!
 ある日、ママ友の中でも最も熱心にコアルーを応援してくれた人から日本政策投資銀行という機関が主催している「女性新ビジネスプラン・コンペティション」というのに応募してみない?との提案がありました。あとから知ったのですが、民主党に政権が変わりベンチャーや女性企業家への支援の機運が高まっていることもあり、このような女性企業家を応援するコンペやセミナーなどが盛んななか、このコンペはとりわけ賞金が魅力。なんと最優秀賞には1000万円、優秀賞には500万円、その後のフォローがあるとのこと。ちょうど資金繰りに非常に困っていたこともあって、その賞金ばかりが目に留まって、やるやる!となったのでした。(正確には賞金ではなく支援金なのですが、この違いのことも考えず。。。)


 まずは基本応募書式のほかビジネスプランなどで書類審査、面接、そして審査官たちの前でのプレゼンテーション。決定はなんと大臣や議員の方もいらっしゃるなど多くの招待客の前で再び聴衆向けのプレゼンテーションを行ったあと、その場で発表という方式でした。書類審査が通ったときには飛び上がって皆で喜びました。その後、狭い自宅の事務所に3人の主宰側の面接官がいらっしゃるというので、応援してくれる人や協力会社の担当者まで呼んで、いもしない社員の代わりにして緊張の中質疑応答を行って、まさか・・・の面接通過の通知をもらった時(面接合格者はファイナリストと呼ばれる)には「こんなこともあるんだ!」と思いつつも「こうなったら1000万円取りにいくぞ!」となったわけです。


 プレゼンテーションは応募者にとって大変緊張したりスキルを要求されることから、最終的にビジネスプランを磨いたりプレゼンテーションの方法を指導してくれるためのブラッシュアップ会がありました。そのときのプレゼンテーションと質疑応答の録画VTRを観て、私は本当にがっかりしました。内容はともかく日本語がめちゃめちゃ乱れていて、それでも事務局の方々からは「以前の面接の時より大きく進歩していらしてびっくりしました」と言われたことがどうしても納得いかないレベルでした。守らなければならない10分や6分という短い制限時間も大きなハードルでした。


 これじゃ話にならない! 外国人だからといって甘えてはいけない! 中身は今からどうしようもないとしても、プレゼンテーションのスキルはこれを機に身につけなければ! お金を掛けて学びに行くわけにも、周りにその方面のプロがいるわけでもなかったので、とにかく自分で納得いくレベルにまでは仕上げようと、資料の見直しと台詞の作成と読み上げや表現方法の工夫に明け暮れました。まだこの時までは私は自分のビジネスプランの中身のもろさに気がつかなかったのでした。


 そして審査官の前でのプレゼンテーション。事務局の方々は私の進歩にまた驚かれた様子でしたが、質疑応答の中身やプレゼンテーションの様子は自分の中ではどうしても70点ぐらい。中身のことを鋭く指摘され、ああ結果は微妙だなあ・・・と、あとは祈るのみでした。招待客の前で同じく70点として恥をかきたくなかったので、すでに結果は決まっているはずなのにまた猛練習。ママ友だちを呼んで練習、子どもたちの前で練習、一人で練習、みんなの意見を取り入れてまた台本を書き直して練習、朝起きてすぐに練習、寝る前にも練習、電車の中で目をつぶって声を出さずに練習、練習、練習・・・。大きな舞台でのプレゼンテーションだけは何とか90点ぐらいの自己評価をつけることができました。 


 が、結果は最優秀賞ではなく優秀賞でもなくそのまま「ファイナリスト」止まり。それでもすごいと周りは言ってくれましたが、私は賞金が獲得できなかったこと、そしてその後のフォローが受けられないことに大きく絶望するしかありませんでした。審査結果発表の後、審査官から感想を一人ひとりいただき、その後の交流会やその交流会で出会った様々な大きな組織のセミナーなどに通っているうちに、なぜ自分がファイナリスト止まりであったのか、少しずつ分かってきました。


 ビジネスプランに問題があったのです。
 

 何のためのビジネスプランか、どのような項目がどのような説得材料として必要なのかも分からず、今までの事業報告のような苦労話のような、訳のわからないものだったのです。だって、ビジネスを行うために必要な資金を調達するということを心がけてこなかったのですから。自分のお金が足りないことがいけないんだ、お金を貸してくれない銀行がいけないんだとしか考えてこなかったのです。
 事業は一人では決して成し遂げられない、だからパートナーを募る。事業はお金が無いとやれない、だから資金を集める。他人からお金を投資してもらうからには、還元できるシステムと利益を生み出すビジネスの構想が必要だったのです。これは家業ではなくビジネス、つまり事業なんだ、そこからずれていたのです。過ぎてみれば、これで良くもファイナリストになったもんだとしか言い様がありません。


 その後は各種セミナーを転々としながら勉強しまくりです。不思議と分からないということは恐ろしいことで、何が分からないのかすら分からないのです。その何が分からないのかが最近やっと分かるようになった気がします。そしてその分からないところを補うために、ビジネスプランについて一から勉強をし始めています。また自分がやろうとしているのは家業どまりなのか事業になれるものかを見直す作業に取り掛かっています。起業して3年目、恥ずかしいぐらい遅い自覚です。が、勉強に早いも遅いもない。気がついた時が一番のタイミングのはず。焦らず着実にやろうと思っています。
 

 皆様の中で起業を夢見ている方がいらしたら、ビジネスプランをちゃんと立ててくださいね。私は行動派すぎたので少し遠回りになりました。ま、失敗や遠回りも勉強の一環でもあるので、そんなに大きな損失ではないと思いますが、お金は大事です、大事なお金は戻ってきません。お金を失いたくなければ、勉強しかないなあ、経験しかないなあ、とつくづく思うのです。賢く稼いで正しく使わないと。
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*来月は池さんのお仕事のためこのコラムはお休みです。その次をお楽しみに!*

コアルー公式サイト
http://www.coaroo.info/


2013年11月号

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