ママとパパのリレーエッセイ
ー第5回ー
あちゃもさん

 今回は、おばの立場から子育てについて、語ってみたいと思います。
 約5年前、甥っ子が生まれ、初めて生後間もない赤ちゃんを見ました。姉のお腹に生命が宿っていたことの不思議と、あんなに小さいのに息をして、とてつもない大声で泣いている、その存在にただただ見入るばかりでした。
 それまで赤ちゃんといえばうるさくて、汚くて、面倒というイメージしかなく、私が赤ちゃんの面倒を見ることになるなんて、想像もしていませんでした。周りに赤ちゃんをはじめ子供という存在が全くいなかったので、子供が私になつくとは考えもしなかったのです。 
 赤ちゃんが姉とともに退院し、実家である家に帰ってきてからは、みなさんと同じように、赤ちゃん中心の生活が始まりました。おむつを替えたり、ミルクを飲ませたり、寝顔を意味もないのにただただ眺めたりという毎日です。
 そんなこんなしているうちに、甥っ子も大きくなり、今は上が5歳、下がもうすぐ3歳になり、二人とも元気に保育園に通っています。最初、保育園に入れるのは、すごくかわいそうだと思っていました。ところがどっこい、甥っ子達は楽しそうに毎日通っています。 

 上の子が1歳半くらいのある日。熱を出し、医者に行きました。おばあちゃんが薬を買っている間、甥っ子とふたりで車の中で待っていると、他の保育園の園児達がお散歩をしていたのです。甥っ子はだま〜って、じ〜っと、その園児達をさびしそうな目で見ていました。思わず”保育園に行きたいの?友達に会いたいの?”って聞いてみました。なんとまだ1歳半なのに、首を縦に振ったのです。こんなに小さくても、仲間意識が芽生えているんだってびっくりするとともに、とても感動しました。 
 ある日、甥っ子がうれしそうに空になったお皿を持って、”ぴっかぴか”と言いました。なんのことかわからず、目を白黒させていると、姉が、”保育園では、楽しみながら食事を食べれる様に、残さず食べることを、みんなでお皿をぴっかぴかにしようねって言っているの”と教えてくれました。そっか〜、ぴっかぴかか〜、すごいなって思いました。私が小さい時、食事を残すと、そのたびに食べ終わるまで一人で食卓に座らされていた時のことを思い出し、これだったら、子供達も楽しく食べられるし、競って全部食べようとするだろうなあって、また一つ勉強しました。

 甥っ子にとって、お父さん、お母さん、おじいちゃんやおばあちゃんでもない、私の存在ってどういう風に映っているんだろうって、時々考えます。
 上の子が小さかった時は、甥っ子は私のことを同級生だと思っているのではないかと周りは言っていました。大人が甥っ子にいろいろと教えるとその場で、甥っ子が私に同じことを教えてくれました。保育園で上級生の女の子に、髪にかわいい飾り付けをしてもらうと、うちに帰ってから真っ先に私の髪にリボンをつけてくれました。
 中でも今でも忘れられない”してやられた事件”がありました。甥っ子が1歳くらいの頃のことです。夜の9時頃、甥っ子のうちに、二人でいました。姉がまだ帰っていなかったので、私がベランダに干してある洗濯物を取り入れていると、かたっという音がしました。なんだろうと思うと甥っ子がうちの中でうれしそうにお腹を抱えて笑っているのです。そう!私はベランダに閉め出されてしまったのです。それまで窓の鍵をかけたことがなく、背伸びしてぎりぎり届くくらいだったので、出来るとは思っていませんでした。とっても油断していました。
 


夏とは言え、夜の9時にもなると結構冷えてきます。おまけに、両手に洗濯物。姉が帰ってくるのは9時45分の予定。夜、畑にぽつんと残された”かかし”の気分でした。ただ何より心配だったのが、甥っ子がうちの中で一人でいることでした。まだ善悪の判断が出来ない年頃で、いたずら盛りでした。鍵を開けるよう、外から促しましたが、閉め出したことがうれしくて仕方がない様子。窓に近づいては、げらげらお腹をかかえて笑っていました。やっと窓まで誘い出し、鍵を開けるような仕草をやってみせると、まねして鍵を開けてくれました。
その間、約10分ほどでしたが、すご〜く長く感じ立ったらありません。そ
れ以降、しばらくの間、甥っ子は私を見ると、ドアや窓を閉めて得意げでした。よっぽどうれしかったみたいです。  

 私がこれだけ甥っ子と関われたのは、ひとえに身近にいたからだけではないと思います。


 おじいちゃん、おばあちゃん、おばさん総出で手伝ってもらっていいねって、よく姉は言われます。私達も二人が生まれるまでは実は結構引いていました。でも生まれてみると、かわいいだけではなく、姉がことある毎に”(甥っ子)はお姉ちゃん(おばとは呼ばせていません)のこと大好きなんだね”とか言ってくれます。そう言われると、ついうれしくて面倒を見てしまうんですよね。
 身近に手伝ってくれる家族がいないとか、みんなそれぞれ事情はあると思いますが、一言”だっこするの、私より上手〜い”とか”だっこしてもらうとうれしそうに笑ってる”とか言ってみて下さい。普段子育てを手伝ってくれないだんなさんも頬をゆるめて手伝ってくれるかもしれません。
 時々、私は思いっきり、姉に乗せられたなって思うこともあります。でも全然怒ってはいません。それよりか、幸せをわけてもらったこと、つい先日も下の子が、豚肉と発音できず、”どた肉”と言っていて、吹き出してしまいました。子供の底知れない明るさとパワーをいつも分けてもらっています。どんなに面倒を見て、愛情を注いでも、お母さんには到底かないっこないんです。
 だから、一歩引いて、周りの人を持ち上げてみてください。きっと応援してくれる人達が増えることと思います。 


あちゃも

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