ママとパパのリレーエッセイ
ー第17回ー
キリコさん

  はじめまして、キリコです。我が家の上の息子も今年小学生になりました。ようやく早起きにもなれ(親が)、一人でみんなとの待ち合わせ場所に行けるようになり(息子が)、なんだか少しは楽になったかなと思えるようになりました。

 お友達と遊ぶのも、自分で約束して行ったり、来たり。まだ、遠いお友達だと送り迎えが必要ですが、幼稚園ではお母さん同士で約束して、お母さんも一緒にお友達の家に行っていたのに比べると、親のコントロールからすこしずつ離れていっているのねという感じがします。
 まだ下に幼稚園に行っている息子がもう一人いることもあり、早く手が離れないかなあと思っていたのですが、いざ離れ始めると「おか〜さ〜ん」といってそばにいてくれるのも、あと5〜6年くらいかななんてしみじみしてしまいます。

 生まれたとき、あまりの育児の大変さに、世の中のお母さんはすごい普通の顔をして歩いているけど、こんな大変なことを乗り越えてやってきたのねえと思いました。そして子供が幼稚園、小学生になるなんてほんと気の遠くなるような先のことという感覚でしたが、小学生になると子育ての終わりが近づいて来つつあることを寂しさと共に思い知らされます。全力疾走でやってきて、気がつい
たらゴールがすぐそこだったみたいなものでしょうか。まあ中学生や高校生のお母様方からは「まだまだよ」とも言われそうですが。

 息子が小学生になって、ある程度の距離が持てるようになったおかげか、最近息子の性格のことがあまり気にならなくなってきました。家の息子は家庭訪問にいらした先生もすでに気づかれていたように、ものすごいせっかち君なのです。例えば、朝ご飯の時に、今日は○○へ遊びに行くよと言うと、私が食べる2倍のスピードで食べ、自分の支度をさっさとすると、もう玄関で「早く行くよ!!」と怒鳴るというヤツなのです。まだ私は食べ終わってないし、食事の後かたづけもし
てないよ〜といくら言っても、「早く、早く」とせかされ、ついには私がキレて怒鳴るというパターンが多かったのです。
 学校でもそのせっかちさは変わらないようで、先生の話の途中でダッと行動に移そうとする息子に、先生が「いや、○○(息子の名前)、ちょっと待て」と止めに入るとおしゃっていました。でも先生に、「せっかちということも悪い性格ではないので、先生の話は最後まで聞こうねとか、先の見通しをもって行動できるようにしようねと指導していこうと思ってます」と言われ、自分を反省したのでした。私はそのせっかちさにイライラしているばかりで、どういう方向にもっていったらいいかを考えてなかったんだなあと気づいたのです。
 担任の先生に「せっかちを欠点とみない」ということを教えて頂いたことはもちろん大きかったけれど、以前の私なら「でもやっぱり大変なのよ〜」と思っていたかもしれません。子育ての終わりを意識したからこそ先生の言葉を受け入れられたのかなあと思います。まあ、息子が一人で行動するようになって、息子のせっかちさに私が振り回されなくてすむようになったというのも大きいですが・・・。
 
 でもせっかちということだけでなく、なんか息子のいろんなところが気にならなくなっているのは確かです。調子のいいところとか、泣き虫なこととか、甘えん坊の所とか。幼稚園時代は、長い時間一緒にいるから悪いところがどうしても目についてしまうけれど、今は適度に目が離れて、よい距離がとれているような気がします。今頃と思われるかもしれませんが、ようやく息子を一人の人間として大切に思えるようになったといいましょうか。たぶん、今までは近すぎて自分と息子の区別があんまりついていなかったのかな。息子がそばにいてくれる時間を大切にしたいなあと思う今日この頃です。
 

コラムトップにもどる 過去のエッセイを見る