ママとパパのリレーエッセイ
ー第18回ー
akkoさん

 今月担当のakkoです。
 突然ですが皆さんは「今まで食べてきたもので一番美味しかったものは?」と聞かれたら何て答えますか?
 グルメブームに乗り私も美味しいものを食べ歩きました。
 年齢と共に舌も(ついでに体も)肥え美味しいと思うものも様変わりしてきました。
 また自分でも料理が好きなので色々挑戦します。
 でも私の中の「あの味」にかなうものはいまだにありません。

それは母が作ってくれた「おむすび」です。

  遡ること○○年、高校受験のため塾通いをしていた私はその日はどうしても塾に行きたくなくてグズグズしていました。
 そのとき母が「これ食べたら行きな、ね」とおむすびを出してくれました。
 白いご飯に粗塩に焼き海苔、シンプルなおむすびでしたが本当に美味しかったんです。
どうしてあんなに美味しかったのか、そしてその味を今でも忘れずにいるのが不思議です。
 あれからずいぶん月日は流れ私もママになりました。
 育児に自信があるとはとてもじゃないけど言えません。毎日必死です。
 元々育児に確固たる信念を持たずして始まった子育てでした。
 でも小さい小さい娘が母乳だけでぐんぐん成長するのを見て「責任重大だわ」としみじみ思ったのです。
私の食べたものが母乳となり、この子の血となり肉となる、そんな当たり前のことも初めて知りました。
 そして断乳までの1年半、美味しい母乳で健康に育ってくれることを願い食生活は人一倍気を使いました。
 大好きなお酒もぐぐぐーっと我慢して。これが一番しんどかったなぁ。

 そして私の願いが通じたのか娘は健康に元気に育ってくれています。
 活発すぎて男の子並みのイタズラをしたり、大きい声で遊んで周囲を圧倒したり。
 人様に迷惑を掛けたら母親失格だ、と外出するたびに私は恐縮して謝ってばかりいました。
 大人しくなる薬があったら頭からふりかけてみたい、なんて思ったりして。
 この先どうしよう、と悩んでいたときママ友達に言われました。
 「元気で活発で人懐こいのが○○ちゃんの個性なんだからいいじゃないの。それに○○ちゃんはいい子だよ」って。そう言われて涙が出るほど嬉しかったです。
 この子の個性を全て受け入れて、見守って、長所を伸ばしてあげよう。
 確か妊娠中はそんな風に考えていたはずなのに、育児が始まったらそんなことを思い出す余裕さえなくしていました。
 やっと最近少しずつ「元気でいればそれで良し」と娘の荒行にも寛大になってきました。
 そして2歳になった娘に今してあげられることって何だろうと主人と考えました。
ひとつは愛情たっぷりこめたご飯を食べさせてあげること。
 もうひとつは自分の体に良い食べ物を自分で選べる目を養ってあげること。
 それから自分を取り巻く人や物にいつも感謝できる人間になるように教えること。
 欲を言えばたくさん出てきそうですが、カエルの子はカエルだもん、このくらいにしておきます。
 ちなみに娘にはご飯の前に手を合わせて「感謝!」って言わせてます。食べ物や作ってくれた人への感謝の気持ちを持って欲しくて始めた我が家の合言葉です。
 どうしてあの時の母のおむすびがあんなに美味しかったのか、娘をもって分かったような気がします。
 月並みですが母の愛情がこめられていたのでしょう。
 ぐずる私にお説教などしないで精一杯の気持ちをこめて作ってくれたのだな、と思います。
 今は小さい娘もどんどん成長していつか私たちから巣立っていくのでしょう。
 考えるだけで胸がいっぱいになりますが、母がしてくれたように私も娘に愛情込めたごはんをせっせと作ってあげようと思います。
いつか「ママのおむすびが一番おいしいよ」って言ってもらえるように!

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