ママとパパのリレーエッセイ
ー第48回ー
kochisatさん

ちょうど一年ほど前。私は生まれて数ヶ月の
わが子の相手にてんてこ舞いしながら、育児の合間には
娘の成長に思いを馳せ、子供服のカタログを見たり「将来どんな女の子になってほしいか」などをぼんやりと考える日々を送っていました。

せっかく少しづつ外出できる月齢になってきたけれど気づけばすっかり寒くなり、二人で家にこもっていた事も私の空想に拍車をかけたかもしれません。ひたすら毎日、「あのスカートとあっちのジャンパースカート、どちらを注文しよう…」なんて事を考えていた気がします。
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そして私は考えた末、思いました。娘には将来、「おもしろくて、かしこくて、まじめ」な人になってほしいと。これらは今まで出会った魅力的な女性たちに共通するキーワード。
話すことが面白くて魅力があるというだけではなく困難に直面してもそんな自分の状況を面白がることができたり人間関係の衝突もユーモアをもって対処できる「面白さ」。

自分が今やるべきことや目指すゴールを見据えてそこまでの過程を考えて行動できる「賢さ」。

ズルしたり人にとりいったりして成功をつかむのではなく自分の力を発揮してやるときはやることのできる「真面目さ」。
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これらを備えた女性になってくれたら、なんてすばらしいだろう…。

理想の女性像を作り上げた私は、もう娘が理想どおりの女性になったかのように満足していました。

現実の世界では、たまに外出してみれば慣れない子供連れの移動にすっかり疲れ果て、再びカタログを眺める生活に…。

ある日、いつものように子供服のカタログを見て「セール開始まで注文は待つか…」などと考えていた私はとても大事なことにやっと気づきました。
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子供は親を見て育つのだと。子供は良くも悪くも親に似てしまいがちだと。子供に理想を抱くなら、まず自分が理想に近づかなければいけないと。

ようやく私の中で何かが動き始めました。私はまず、赤ちゃん連れで通えるヨガに行ってみました。今思えば出産するまえにも「家が遠いから…」「仕事が忙しいから…」と何かのせいにして新しいことへの挑戦を避けていた私。「赤ちゃんがいるから◯○できない」ではなく「赤ちゃん連れでもできる」ことを探して少しづつ動き出さないと、いつまでも「この子がいるから◯◯できない」と言ってしまいそうな気がしたのです。
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寝返り、はいはい、つかまり立ちと日々進歩する娘に負けないよう、私も少しづつ新しいことを始めてみようとこの一年過ごしてきた気がします。

今ではゴスペルを習いはじめ、いかに気持ちを込めて歌えるかと練習に励む毎日を送っています。また子育てコンビニと出会い、地域のさまざまな世代の方と触れ合う機会を持つことが出来ました。おかげで、久しぶりに子供服のカタログから注文しようとしたら秋冬商品はすっかり売り切れていました…。

娘よ、外見より中身を一緒に磨こうね。
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2007年2月号