ママとパパのリレーエッセイ
ー第54回ー
ゆっきーさん

「雨の日の散歩」

  今年は空梅雨だといわれていましたがここのところ雨続きです。

 朝からどんよりとした空を見上げて、1才10ヶ月の息子と「今日はなにしようかな〜」とちょっぴり憂鬱になってしまいます。洗濯物を干した湿っぽい家の中にずっといるのも嫌だし、ヨーカドーや児童館は混んでいるし・・・。そんな最近の雨の日のちょっとしたエピソードを紹介します。

【その1】
 一日降っていた雨があがったので夕方外に出ることにした。
-1-
息子は最近、1才の誕生日にもらったアンパンマンの車を押して歩くことに再び夢中になっている。家の前ではなくて少し遠くまで自分で道を選んで歩き、冒険するのだ。でも今日はやめてほしいな、と私は思う。時間がかかるし、また雨がふりそうだし、買い物もしたいなあ・・・。

 ところが玄関を開けるとすぐに「アンパン」と嬉しそうに出してきて、ボタンを押して音楽をならし歩き始める。「キーコキーコ、自転車でいこうよ。」と私が誘っても、チラッと横目で見るだけで、「いいの!(いやだ)」ときっぱり。最近我が強くなってきた。しかたない、つきあうか、とついていく。
-2-
 歩き始めるとまず鉄塔を見つける。ちょうどこのアンパンマンの車でつかまりだちを始めた誕生日のころも、鉄塔をみつけては「あ、あ」と指さししていたっけ。今は「ないねえ、てっとう。」「あった、あっち!おおき〜い!」

 それからアリの行列をながめ、ガラスの破片の入ったアスファルトを見つめ「キラキラ」。車が通れば素早くメーカーの印を見つけ「ニッサン!」{ピーピー!(三菱)」

 そんなこんなで随分時間をかけてお目当ての○マートまで歩いてきた。くるくる回るものが好きな息子はここの扇風機コーナーに夢中。 
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「あった、くーぴーき(せんぷうき)、くるく〜る!」

 そしてくるくる回るプロペラを見て至福の時を過ごす。他にも魚や動物を見て買い物もし、店中歩き回って楽しんだ。

 帰り道。再び雨が降っていた。薄暗い中、歩き始めたが、すぐに「ママ、だっこ」と立ち止まってしまう。「だめだめ、歩こうよ」
 
 ところが歌を歌っても気を引いても、立ち止まり「ママ〜」とべそをかいている。やれやれ、と抱っこすると数歩あるいたらもう寝息をたてていた。
 
-4-
眠ったこどもはとても暖かく、そしてとても重い。こどもとアンパンマンと買い
物を抱え傘を差し、やっとの思いで家にたどりついた。

【その2】
 今日も一日雨だな、と思っていたら近所の友達、2才のヨーチャンのママが車をだしてくれる、という。新しくできたイタリアンでスイーツを食べよう、と盛り上がった。

 約束の時間、にぎやかな声が聞こえ玄関のドアを開けると、家の前にできた大きな水たまりを豪快に走って横切るヨーチャンと、言葉を失うママの姿が。
-5-
 あらあら、と思うまもなく、今度は息子がヨーチャンの後を追いかける。バシャバシャバシャバシャふたりとも大笑いでおおはしゃぎ。あっという間に靴も服もびしょびしょに。

 もうあとは子供たちの水たまり天国。ぬれた靴が嫌だ、とぬいで裸足になってばちゃばちゃ歩いたり、バケツやカップで水をくんではジャーっと落とし、トラックのおもちゃも出動・・・。

 出かけるのをあきらめ、ひとしきり遊んだ二人をお風呂にいれることにした。ぬるいお湯をシャワーで流し、泡をたててここでまたおおはしゃぎ。からだもあったまりさっぱりしたところでおやつ。
-6-
 イタリアンのスイーツはミルクとジャムパンと小魚になってしまった。大人はコーヒーにナッツ。でもおいしかった。

 これも雨の日の楽しみ方かな・・・。

 以上、他愛もない話でした。

 子育ては悩んだり煮詰まることもあるけれど、なにげない日々の中で、ちょっとした幸せを感じることがあります。

 この原稿がのるころは梅雨もあけているでしょうか・・・。それではみなさまお元気で。
-7-

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2007年8月号