ママとパパのリレーエッセイ
ー第72回ー
みーさんさん

今思えば、あの頃の私はとても疲れていました。

長男は年長・長女が2歳、おなかの中には次男がいました。

長男は運動会を控えて元気がありません。
幼稚園に行く時は、家を出て最初の角を曲がったあたりでなぜかシクシク・メソメソ…
そんな日が続いていました。
明日は幼稚園の運動会。
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私は、日頃の自分を大反省して、長男が大好きな回転すしに連れて行って元気づけてあげようと思いました。

バスに乗り、本屋さんやおもちゃ屋さんに行った後、お寿司屋さんに到着。

「マグロとエビをさび抜きで!」と長男が注文して目の前にお寿司がきたその時でした。

「お財布が無い!」
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あわてた私は長男に「食べないで!」とストップをかけました。

その時私は抱っこポーチで長女を抱っこ、リュックにバッグにお買い物したもの…といろいろ。リュックだけがどうしても見あたりません。

食べる前だったので、お寿司屋さんにごめんなさいをして、リュック探しに出かけました。

あちこち捜したけれど出てこなく、その足で交番に届けて家に帰りました。
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家の鍵だけはポーチの中に入っていたのです。

長男はなにも食べず、文句も言わずつきあってくれました。
次の日の運動会も頑張ってくれました。

結局お財布は出てきました。お寿司屋さんにありました。

多分お店の人がお荷物置き場に気を利かせておいて下さっていたのでしょう。
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お店から「リュックを忘れています」と電話がありました。

なんて私は慌て者なのでしょう!落ち着いてお店の人に聞けばよかった話でした。

長男よ、あの時はお寿司を食べることが出来なくて本当にごめんね。

今長男は小学6年生。最近急に背が大きくなりもう少しで追い抜かれそうです。
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膝の上に乗っかってきたり、抱っこをしたりすることはずいぶん前に無くなりました。

長男はあの日のことを覚えているでしょうか?

今度長男に聞いてみましょう、あのお寿司屋さんに行って。

子育てをしていて、一日だけやり直せるとしたらこの日に戻って、「長男に好きなお寿司をおなかいっぱい食べさせてやりたい」と思うあわてん坊母でした。
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2009年2月号