ママとパパのリレーエッセイ
ー第74回ー
米川 充さん

はじめまして、5月上旬に長男の誕生を控えたプレパパです。

「プレパパとしての思いでも、自分の子ども時代のことでも、何でもいいですよ」と言われ、それなら何か書けそうだと思い、お引き受けしたものの、いざ筆を(キーボードを?)とると、なかなか書けないものです。
 こんなときは、まず論点を立てて展開を考えて、、、などうだうだ思案しているうちに、すっと3つのキーワードが浮かんできました。
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それは、「母の強さ、命のたくましさ、そして男の非力さ」。

シンプルに初心に帰り、プレパパになって改めて感じたそれらの事柄について、少しばかり綴ってみたいと思います。

 
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第一の母の強さ、これはこのサイトをご覧の方なら「何をいまさら」という感じかと思いますが、プレママ、妊婦さんになってからの我が相方のパワーアップぶりには、これまで11年付き合ってきた(恋人9年半、結婚1年半)私も、大いに驚かされています。

 これまでの我が家では、洗剤の買い置きなどの生活用品の買い物はどちらかというと私の仕事でした。それが、先月くらいから相方宛に通販やデパートからの宅配便が増え、気がつけば哺乳瓶や赤ちゃん用の布団が
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見事に揃えられています。

また、同じくこれまでは、旅行やら役所の手続きやらの下調べ、手配なども私の領域で、普通は女性の方が主導する結婚式の段取りも、過半を私が担ったというのが自慢だったのですが、、、今では、認証保育所の見学や両親学級など、相方の手配してくれたものに、半歩後ろにくっついて参加する日々になりました。
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 第二の命のたくましさ。これまで一人っ子として育ち、兄弟姉妹や近しい親戚の出産に接したというようなこともなかったので、相方のお腹の中ですくすくと成長していく我が子の様子に、ただただ新鮮な感動を覚えています。

 はじめて産婦人科に行った昨年の9月13日から、はや半年余り。エコーの写真にぼんやりと写っていたわずか5ミリの卵さんも、今ではエコーの画面に収まりきれないくらいに大きくなりました。
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昨年末に、お腹の中でポコポコ音がするようになって、話しかけてみるようになりましたが、最近では立派に双方向のコミュニケーションが成立しています。「ママのお腹の中、楽しい〜?」と聞くと、わっきゃわっきゃ動き回ります。さらに、「よかったね〜、うれちいね〜」と続けると、もうえらいはしゃぎよう。しまいに、「あち(足)はどこかな〜?」と言いながらトントンとノックすると、ボコっと強力キックを返してきます。その勢いたるや、お腹を蹴られる側の相方から、寝た子を起こすの禁止令が出るほどです。
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 そんな親バカな第二点はほどほどにして、第三の、男の非力さ。これはもう、一番の言わずもがな事項かもしれません。
 生まれてからはともかく、生まれてきてくれる前は本当に非力な存在だということを痛感する日々です。いや、赤ちゃんのことではなく、もちろん私自身のことです。
 せいぜいできるのは、家事や外出の際に、相方を「気遣う」ことくらい。
 
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小さな命を胎内に抱いて、24時間ともに過ごし、護り続ける母親に比べ、なんと非力な、無力なことか。

そう書いているうちに、両親学級の際に、妊婦体験の、まるで防弾チョッキみたいなウェアを着て、腰の曲がったおばあさんのようになっていた自分の姿がありありと脳裏によみがえってきました・・・。
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「プレパパ」、この新しい言葉のおかげで、日々改めて考えること、感じることが増え、この半年余り本当に新鮮な日々を過ごしてきました。でも、その中で浮かび上がってきた3つのキーワードについて、これまでに私が体感したことはまだほんの序章であって、肝心の本編はまだまだこれからです。ドキドキしながらも、ちょっぴりワクワクが上回る、そんな今の日々を大切に過ごしていきたいと思います。
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(追記)自分の内心の思いはともかく、相方にとっては3つ目のキーワードが無用のものとなるよう、「ミルクに、おむつに、入浴に、めいいっぱいがんばるぞー!」と思う今日この頃です。
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2009年4月号