ママとパパのリレーエッセイ
ー第77回ー
菅沼 将晴さん

「言葉」


何事にも興味津々で、自我が芽生え、どんどん活動的になってきた、4歳の女の子と、3歳の男の子に囲まれ、家族とでしか味わえない幅の広い奥深い喜怒哀楽が、たくさんの喜びと共に、足りない私を成長させようと、日々試練を与えてきます。
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4歳のお姉ちゃんに触発され、最近良く言葉をしゃべるようになってきた3歳になりたての坊主。「かわいいね〜」というと、「かわいいじゃないでちょ!かっこいいでちょ!」と真顔で訂正を求める顔に、また「かわいいね〜」と意地悪をしてしまいますが。

考える力、探究心などを大事にしないといけないと思い、月並みですが子供から聞かれた事には必ず回答しよう、と夫婦で決めています。
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つい、う〜んわからない、などと言ってしまいがちなところをグッとこらえて、何らかの返答を致します。おそらくどちらのご家庭でも、日々攻めくる疑問質問に、多かれ少なかれ四苦八苦される場面もあろうかと思います。
しかし、シンプルな質問ほど、とてつもなく回答が難しいですね。

「たまご(黄身)ってなんで黄色いの?」

子供の疑問は素朴で純粋で、答えに窮することはよく世間で言われていることですが、いざ自分が直面すると、まさに就職試験の
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面接を受けているような気分になります。時に「う〜ん、哲学だ・・・」と遠くを見つめる事しばし。まさに禅問答。

さらに、返答が質問を呼ぶ、魔のエンドレスパターンに突入したときには、さすがに心が折れそうになります。もうこれ以上聞かないでくれ、という空気を、読んでくれる筈がありません。

子「トマトってなんで赤いの?」(なんて超原点から聞いてくるんだ!)
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私「お日様の光をたっぷり浴びているから」(答えになってない)

子「お日様ってなんで光るの?」(そこに食いついたか!)

私「たくさんの火が燃えていて、すごいエネルギーがあるからだよ」(エネルギーって幼児語でなんて言うんだ!?)

子「お日様は燃えちゃうの?」(そうだよね、普通は火事だよね)
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私「とても力が強いからずーっと燃え続けるんだ」(そろそろ勘弁して下さい)

子「燃えたら、ちょーぼーちゃ(消防車)じゃん!」(私は確かに消防団員。防火防災は家訓ですが)

私「大事な光なんだよ・・・」(少し休憩したい・・・)

子「なんできゅうりは緑なの?」(なっ、なに〜!強制的に第2ラウンド!)
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私「・・・。それはね・・・」
(以下、苦戦は続く。メシ食わせろ〜)


それでも、なんで?を大事にしたいと思い、無い頭を絞りながら言葉を探し、奮闘をしております。言葉の持つ力、意味、そして言葉に乗ってくるお互いの表情、感情、心。コミュニケーションの原点に気付かせられます。

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4歳の娘が、ふと「パパ愛してる」といって真顔でぎゅっと抱きついてきました。
な、なに〜!いきなり照れるじゃないか!嬉しいけど恥ずかしい。恥ずかしいけど嬉しい。

しかも、こんなセリフどこで覚えた!
テレビか?保育園か?しかもなぜ、俺は動揺してるんだ!
あたふたしてると二言目。
「愛してるって、何・・・?」
泣きそうな顔で聞いてきました。
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いま彼女が持っている、経験、知識、感覚、語彙をフル活用して、私に気持ちを伝えてくれた娘に、改めて私も気持ちを伝えたのでした。


言葉って大事ですね!
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2009年7月号