ママとパパのリレーエッセイ
ー第78回ー
Tさん

食べるということ。


私には、もうすぐ4歳になる娘と、もうすぐ1歳6ヶ月になる息子がいます。

娘を出産する際に、10ヶ月を過ぎて、あまり成長していないかも。
少し小さめで産まれてくるかもしれません・・・・と言われ、実際産まれてみると、2675g。

確かに少し小さめだけど、元気いっぱいの女の子でした。
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周りには、小さく産んで大きく育てればいい!!と励まされ、私もそのとおりだ、たくさんおっぱい飲んで、大きく育ってくれれば・・と思っていました。

この時点で、おっぱいは子供を産めば勝手にたっぷり出てくるものだと思っていました。

しかし。

私の場合、母乳にとても苦戦していました。
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度重なる授乳に私の心も体もボロボロ、娘はおなかがすいて?あまり寝ず泣いてばかり・・・・

周りの「おっぱい足りてないんじゃないの?」という言葉に傷つき、周りの同じくらいの月齢の赤ちゃんと比べては「小さいな・・・」と悲観していました。

小さく産まれて、大きく育てるはずが、見事に打ち砕かれ、どうしていいかわかりませんでした。
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ミルクを足しながら、なんとか母乳で頑張っていましたが、泣いてばかりの娘を見ながら、おっぱいがでないからか・・・と一緒に涙することもありました。


時が経ち、離乳食が始まると、一転、離乳食はまったく困難なく食べてくれました。

あまり食わず嫌いになることもなく、たくさん食べて、今までのおっぱいの苦労を忘れさせるほどの食欲でした。
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生活のリズムも少しずつできてきて、たくさん食事を取ることで、私にも余裕が生まれてきたのも、この頃だったかもしれません。

しかし、そんな順風満帆の日々も長く続かず。。。

離乳食も完了し、幼児食を食べ始めるようになると、ムラが出てくるようになりました。

私自身、あまり料理に自信がなく、作ったものを残されるということにものすごくストレスを感じていました。
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娘の食事も、一生懸命作っても、ほとんど食べてくれなかったり、お菓子ばかり食べて、食事が進まなかったり。

その時々いろんな理由がありますが、『食べない』という事に、ものすごく敏感になっていました。

ましてや、周りに比べて娘の体が小さいとトラウマになってる私は、とにかく食べさせないと・・・・とひどく焦っていました。
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この食材なら食べてくれるから・・・と毎食同じ食材が並んでしまうこともたびたび。

バランス良く・・と思いながら、なかなかうまくいかないことにいらだっていました。

巷では「食育」という言葉が飛び交っていましたが、とてもそんな余裕はなかったです。食べさせることに必死で、娘にとって食事の時間は楽しいものではなかったかもしれません。
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しかし、今年の春から幼稚園へ行くようになり、週に1度給食をお願いしているのですが、幼稚園で、食べることの楽しさを知ったのか、みんなと食べてる勢いで食べれるようになったのか、量も食べるようになり、今まで食べられなかった食材も自分で挑戦してみるようになり、そんな娘の成長を驚くとともに、強制して食べさせなくても、時期がくれば、自然と食べるようになるんだと、思い知らされました。
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今では、ムラが多少はあるものの、なんとなくですが、食べる量も増え、いろんな食材にチャレンジして食べてくれるようになりました。
そして何より、お弁当がいつもきれいに空っぽで帰ってくること、ご飯を食べながら「ママ、おいしいね!」って言ってくれること。
食べる量よりも、もっと大事なことを今になって娘から学んだように思います。

まだまだ、ムラもあれば時間もかかって、楽しく食事ができる日ばかりではありませんが、
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あと何年かしたら、娘と息子の食べっぷりに、頭を痛める日々が来るのでしょうか・・・そんな日が来るのが楽しみです。


ちなみに、息子も離乳食は終わり、普通にみんなで同じものを食べていますが、
娘の時とは違い、ずいぶん余裕を持って接してあげられているような気がします。
これも、娘との戦いの日々(笑)で教わったこと。娘に感謝しながら、
今日も楽しく家族で食卓を囲んでいます。

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2009年8月号