ママとパパのリレーエッセイ
ー第84回ー
市川吉徳さん

長男が2歳になって、1日ごとに言葉が上手になったり、表現が豊かになったりしていくのを見て、成長の素晴らしさに感動している毎日です。

会社がとても柔軟な勤務体系をとっているので、出社は週に2〜3回。後は自宅で仕事をしています。おかげで、妻・子どもと過ごす時間が一般の会社員よりもずっと長く取れています。子どもの成長が著しい時期に、子どもといられるのは、とても幸運なことで、本当にお金に換えがたい価値があるな、と思います。
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家事を妻と一緒にこなすのも、家族仲良くの大事なコツのようで、家事もできるだけやっています。ただ、料理と裁縫はへたっぴなので、完全におまかせしていますけど。もっぱら、洗濯・掃除・片付けなんかが担当です。

子どもができて、一緒に過ごす時間が長いと、ますます子どもの未来のことを考えるようになります。この子の未来、その先の未来に、どんな世界を残してあげられるんだろう。そのために、僕には何ができるんだろう、と。
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ついこの間までは、「自分さえよければ」「競争に勝てばいいんだ」と思っていましたが、子どもをきっかけに徐々に考えが変わりました。成長の早い子もいれば、ゆっくりな子もいる。体が丈夫な子もいれば、あまり強くない子もいる。いろんな子がいるんですよね。
そういうのを見ているうち、競争して勝った人だけが豊かになれたり幸せになれるのって、本当に豊かな社会とは言えないのかな、と考えるようになりました。
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でもそれが現在の社会なわけだから、社会のいろいろな問題に無関心だったり、政治や行政にまかせっきりだったりするのは、そういう社会と問題を容認していることなのかもしれない、と。

それで、親として、子どもに自信を持って背中を見せるためにも、仕事で生活に必要なお金を稼ぐことと同じくらい、「こんな世界であって欲しい」というビジョンを持って、自分自身が社会に働きかけることが大切なのかもしれない、と思うようになりました。
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そんな想いと、いろいろな人とのつながりやきっかけがあって、ボランティア活動を2009年春ごろから始めました。今まで一度もボランティア活動なんてしたことがなかったくせに、ちょっと背伸びしてしまって、実は自分で企画して立ち上げてしまいました。

それが、「Connected(コネクテッド)」というイベントシリーズで、内容はちょっと真面目で、核兵器と原子力発電という「核」の問題です。
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詳しくはホームページに載せているので割愛しますが、要は、いまの日本に住む僕たちだけに都合がよくて、他の国や未来に負債・負担を先送りしている「核」の問題をなんとかしたいね、という活動です。過去をちゃんと受け継いで、現在のことを知って、未来のことを考えた社会を作っていきたい。その機会を、このイベントで提供できたらいいな、と思っています。
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子どもが大きくなって、「どうしてこの問題を放っておいたの?」と言われないように。
もし孫ができて、「おじいちゃんは、僕たちのことを考えて仕事してくれたの?」と聞かれて、「もちろんさ。」と答えられるように。

ただ、ボランティア活動も、仕事もそうですが、がんばりすぎると続かなくて疲れ切ってしまいます。
そうならないように、ムリはせず、愉しくやっていきたいな、と思っています。
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未来のためを想って活動するわけですから、まずは自分の生活が「持続可能」なスタイルでありたいです。
とは言っても、そのスタイルを保つバランスが、これまた難しいんですけれど。
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2010年2月号