ママとパパのリレーエッセイ
ー第104回ー
1962さん

「子どもの泣き声に思うこと」

また泣いている。

裏隣りの家から聞こえる赤ちゃんの泣き声。
顔を見たことも無いけれど声から察するにまだ2才前ぐらいだろうか、男の子か女の子かもわからない。
いつも、何か引き裂かれるように激しく泣く。
何が不満なのか、ただただ泣き叫んでいる。
-1-
まだ泣いている。
お母さんの声は聞こえない。
いつまで泣かせているんだろう。

「うるさいっ!泣くなっ!」

突然、自分のあのころがよみがえった。

私は、子どもの泣き声が嫌いだった。
だから、我が子にはごく小さな頃から「泣くな」と言い続けた。
-2-
今ならわかる。
赤ちゃんは泣くことしかできない、ということを。
でも、あのころ。
海外で、仕事一筋の夫は頼れず、友人は近所におらず、孤独な子育てをしていたころは、子どもと二人きりの家の中で泣き叫ばれることに我慢できなかった。
子どもに泣かれると、自分の心が壊れそうだった。
-3-
あれから15年。
今なら我慢できるのに・・・・。
今なら思いっきり泣かせてあげられるのに。

残念ながら子育てはやり直せない。
しかも相変わらず、私は子どもの泣き声が嫌いなのだ。

あー、また泣いている・・・・。
-4-

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2011年10月号

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