ママとパパのリレーエッセイ
ー第106回ー
おおはしりかさん

私は今、5歳の娘と2歳の息子の子育てを毎日ヘトヘトになりながらなんとかこなしています。そんな中、自分の用意した食事を子ども達が笑顔でよく噛んで食べているのを見ると、とても幸せな気持になります。単純に「おいしい」と言ってくれるのが嬉しくもあるのですが、子ども達の成長を感じ、「この子達を育てているのは私なんだ」という子育ての実感や喜びがあります。
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しかし、こんな気持になれるのは本当にごく稀で、ほとんど毎日「早く食べなさい!」、「よく噛みなさい!」、「残さない!」と叫んでしまっています・・・。いかんなあ、と思うのですが、ふざけたり適当に食べているのを目にする時は、非常に腹が立ってしまいます。

思えば、まったくの平常心で食事を終えることはない気がします。子どもを産む前は、食べたいものを好きな時に自分のペースで食べていましたが、今となっては夢のまた夢、毎食がまるで戦場のような慌しさです。
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テーブルの下は食べ物が落ちて大変な事になっていますし、2歳の息子に至っては味噌汁に平気で手を突っ込み、その手で抱っこを迫ってくる・・・。さらに、献立を立てるのも、買出しも、幼い子を抱えていると色々工夫が必要です。朝から何を食べるか延々と悩み、遊びを切り上げさせやっと買い物に向へても自転車で寝られてしまうなど、苦労は絶えません。
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このように書くと、相当子どもに振り回されているようですが、一点だけ、どうしても子どもに同情せざるを得ないことがあります。子どもは、大人が用意したものを許された時にしか食べることができないことです。子どもはどんなに食べたいものがあっても、親が許さなければ食べることができないのです。
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「好きなものを好きな時に食べられない」とは、大人にとっては結構辛いことではないでしょうか。例えば、深夜どうしてもプリンが食べたいと思ったらコンビニに走ってしまったりしませんか。でも、子どもにはそれができないのです。彼らは、その「好きなものを好きな時に食べられない」という欲望の処理を、一体どうしているのでしょうか、非常に気になります。
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わあわあ喚いて地団駄を踏んでも、親が「ダメ!」と言ったら諦めるしかないのです。この運命を受けて入れている子どもとは、心が広いなあと思いますし、我慢できない大人としては尊敬してしまいます。
「食べる」ことに関しては受身にならざるを得ない子ども達のためには、やっぱり親が栄養や食べる楽しみなど、多面的に考えて提供していってあげなくてはならないと思う今日この頃です。
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2011年12月号

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