ママとパパのリレーエッセイ
ー第108回ー
かすみんさん

『不思議な母性』

若い頃、私は子どもが苦手だった。
男性にはもてなかったがなぜだか赤ちゃんと小動物には良くもてた。

友人からは次元が一緒だから寄ってくるのだとちゃかされていたが、苦手な割には扱いはそこそこうまく、可愛い子ぶって子どもに媚びている女子には寄り付かずに呼んでもいないのに私の周りに集まって来ては私をソファー代わりに戯れていた。
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子どもって可愛いなぁ〜と思えて来た頃、残念ながら自分も年を取ったんだと実感した。

結婚願望が薄かったこともあって、特別子どもが欲しいと思ったこともなかったが、39歳で妊娠が判明。その時点では独身だったが自分では意外なほど普通の出来事という感じがした。

年齢や状況からすると将来がかなり不安なところだが、迷うことなく産むことを選んだ。
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強い意志とか高ぶる感情とか反対を押し切ってとか・・・そんなことでは無く、ただ淡々と普通のこととして考えていた。

決めるのは私では無くお腹に宿った赤ちゃんだと思ったからだ。私は彼に母親として選ばれた。そう思えたから産む選択しか無かったのだ。

私は4年ほど前、子宮筋腫と卵巣嚢腫を摘出する手術を受けている。
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当時、派遣で働いていた為に仕事を長期間休みたく無かったことと、特に子供を望んでいなかったこととで手術を受けることを迷っていた。

しかし筋腫が成長する恐怖といつか来るかもしれない「その時」の為に手術を受けた。

そして「その時」が来た。
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頼りなく危なげな両親を持つこととなっった彼の為に最強の字画を持った名前を選んだ。運が良ければ一人でも強く生きて行けるに違いない・・・たぶん。そう考えた。

うまく説明出来ないが、母となってからも気持ちは淡々としている。

これまでの人生の中で起きたことは「その時」の為に練習していたのか?今、そう思える。
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あの時手術に踏み込まなければ今私に息子はいない訳だし母となることも無かったわけだ。

今までの経験は息子を導いていくための参考書のようなものだろうか。


年が開け、最強の名前を付けられた息子も1歳になった。
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1歳の誕生日は感極まって涙が出るのかなぁと期待していたが、やはり気持ちは淡々としていた。

これからも暴れん坊になった息子と淡々と格闘する毎日が続くんだろう。

そうい言いながらも必死に赤ちゃんモデルに応募したりするのだ。
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淡々と親ばかを楽しむ毎日は最高だ。
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