ママとパパのリレーエッセイ
ー第109回ー
まさこさん

『ここにいてくれて、ありがとう!!』

今日も朝から強い日差し!でも、、負けじと似合わぬサングラスをかけ、近くのスーパーまで、ガタガタに舗装が割れた道をよろよろと…、おっと下水(汚水?)を避けて道を歩きます…

たまーに出会う、目付きの悪い人に用心用心…バッグを握る手に自然と力が入ります。
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けれど、そんな時には必ず、道行く人が笑顔で「Hola!(やあ)」とか「 Buenas(こんにちは)」などと、気軽に声をかけてくれ、私の肩の力を少し抜いてくれるのです。


 ここは、日本から遠く離れたドミニカ共和国、地球儀で見ると日本のほぼ真裏の中米に位置する国です。
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ハイチと国境で接しており、同じイスパニョーラ島を2分しています。発展途上国とはいえ、年中常夏の上にラテン気質の明るいお国柄のせいか「国民の幸せ度が世界で第2位」なのだそうです。(一位は、あのブータン:)


 バタバタと主人のドミニカ共和国赴任が決まり、こちらに越してきて、もうすぐ一年半が経とうとしています。
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外国暮らしが初めての私にとって、ここドミニカ共和国での暮らしは、本当に驚きの連続でした。

 一番違うと感じ、苦労もしたのが子育て事情…日本が、三鷹が、どんなに子供にとって安全であるか、子育てに適しているか…もう、それは本当に強く感じさせられました。

 …とはいえ、その一方でこの国の「子供は何よりも大切」という考え方にも感嘆し(子連れでいると、危険な目には、合いません。
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邦人とみると難癖つけて違反切符をとるという警察までも、目溢しすることもあるとか)、自由だけど学校にもいかず、路上で遊び、コレラが発生する汚水の中で野球をするバリオ(スラム街)の子供たちに複雑な思いを抱き…


ああ、すみません、書ききれないので…今回は私が経験した一番辛かった思い…について書かせて頂きたいと思います。
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 自分でも否定して封印してしまい、そのためどんどん根深くなっていってしまった「孤独感」について。

 こちらの生活にも慣れ、家族それぞれに軌道に乗ってきた頃…それは突然にやってきました。重いホームシックと言えばそれまでですが、日本の友人や家族に連絡を取りたい…けれど、何故か体が動かない。 慣れてきた家事にも、気が向かない…
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これでは、いけない!!と、ドミニカ人や、ほかの国、日本人の友人と接する機会を増やし、スケジュールをびっしり埋めても、心にぽっかり空いた何かが埋まらない。

 疲れが残り、家でずっと寝ていたい…でも、子供の迎えや、食事を何とか作らなくちゃ、掃除も…やらなくちゃいけないことは山ほどあるのに、気が進まず、自分で自分をどうにもできない無力さに、落ち込んだりしました…
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今思えば仮面うつ?の状態だったのかもしれません。

 この時期を耐え、共に過ごしてくれた家族には本当に感謝しています。

 幸い、そうこうするうちに日本に一時帰国をする時期を迎え、日本でゆっくり自分と向き合う時間が持てました。

そして、2つのことに気がついたんです。
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ひとつ目は、あの孤独感は以前経験した「初出産直後〜」の思いに似ていること。

 あの頃、乳児の息子は、重い食物アレルギーと湿疹のためにぐずりがちで、毎日が将来への不安との闘いでした。

10年前はまだ、除去食に対する偏見も強く、暗中模索状態が続きました。救急車のお世話になったことも何度もありました。
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状況は違いますが、私にしか私の辛さはわからない…と感じていたあのころの孤独感と似ているように、思えました。

ふたつ目は、ドミニカ共和国で突然始まったように思えたホームシックですが、きっかけがあったのではないか?と言うこと。

 丁度時期を同じくして、懇意にしていた友人が半年ほど日本へ帰国したのでした。それが、あの孤独感の始まりだったように思えます。
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不思議なことに、彼女が帰国を迎えるまで、自分にとって彼女の存在が、ここまで大切であると気づいていませんでした。

 それくらい、いつでも会える…話せる…と、そばにいるのが、当たり前のことのように思っていました。

失ったとき初めて気がついたんです…

 一人でいい、心を通わす人が今の私には、必要なんだと…
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 海外赴任でしかも短期間、夫に随伴するという立場は、私が思っていたよりもずっと、社会的には閉ざされた環境に思えます。もちろん、ボランティアなどの参加の機会もありますし、子供の行事に出席すればドミニカ共和国のママ友達もできます。何より、赴任している主人や子供をサポートする役目がある!でも、ふとしたきっかけで、何かが足りなく思えてしまうのです。
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 そこが、立派に「子育て」という、社会の勤めを果たしている…むしろ、一番大切なことをしている…のに、何か閉ざされた感じ、取り残されたように思えた「私の出産後」と、重なったのです。

幸い今彼女は一時帰国を終えて、またドミニカ共和国で働いています。

彼女の存在に日々、助けられていることを感じ、感謝する毎日です。
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また、孤独感に苛まれて(仮面うつ状態だった)いたときに主人が言った言葉が、今も心に刻まれています。

「この国では、朝元気に出かけても、夕方また元気に帰って来られるとは限らない。だから、子供を見送るときは、 笑顔で精一杯送り出すんだ!!」…と。

朝の支度が遅い息子を叱りつけて、送り出していた私は、頭をガツンと打たれたくらい衝撃を受けたのを覚えています。
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今も、本当にハプニングの連続の毎日ですが、ここドミニカ(ある意味、困難、見方を変えて刺激的!)で元気に暮らしていられるのは、

家族と周りの人たちのおかげ…と実感する日々です。

だから、ひとりひとりに

 「ここにいてくれて、ありがとう!!!」

…と思いながら、暮らしています。
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そして、期せずして振り返れた、出産後の孤独だった私に、「大丈夫だよ…必ず上手くいくから!10年後の私が、ここにいるから!」って、

言いたいです。


 本気で、タイムマシンがあったらな…なんてつぶやいてしまうこのごろです。
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