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大した道具もないまま、気ままに出かけてアメンボやらマルタニシなどを採ってくる。
家にあったいくつかの飼育箱はあっという間にそれらでいっぱいになり、生き物係の彼は学校へ意気揚々と持って行っていた。
ある日のこと。
元気な声で「ただいま!」が聞こえたかと同時に興奮気味に喋りだす息子。
手にはビニール袋を持っている。
「ザリガニが採れたんだ!!」 |
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精肉を入れるような小さな薄いビニール袋に、薄汚れた川の水と立派なザリガニが入っていた。
ビニールの口をぎゅっと持ちながら自転車を漕いで帰ってきたらしい。
「明日学校に持っていく!!!」
わかった、とりあえず手が離せないだろうから、どうしたら良いか考えなさい。
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カラの2リットルのペットボトルがベランダにあるし、度々飼育箱の代用としていたからそれを使うだろう、と思っていた。
暫く経ってもなんだか息子の動きのないまま、フンフンと鼻歌ばかりが聞こえてくる。
不思議に思って息子の部屋の扉を開けると、
先ほどのザリガニの入ったビニール袋が
3つほどの画びょうで壁に留めてあった。
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「バカッ!!!」
大きな声で怒鳴っていた。
ほとんど無意識だった。
きょとん、としている息子が全く理解できず,
まくしたてるように怒っていた。
言うまい、と決めていた言葉だったのに。
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育児とは育自だと聞いたことがある。
心の余裕さえあったらそんなことも思い出せたはず。
あの時の「バカッ」を止められなかった自分がちょっと悔しい。
もしも、もう一度あの時間に戻って言い直せるのだとしたら。。。
「おばかだねぇ~。」って笑って言いたいと思う^^。 |
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