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ママとパパのリレーエッセイ
ー第130回ー
indigoさん

はじめまして、こんにちは!
三鷹市の小学校で栄養士をしているindigoと申します。今回、ご縁があってリレーエッセイに参加させていただくことになりました。とはいえ、まだ子育て経験のない私が何を書こう…?と少し悩みましたが、自分が栄養士の仕事をするきっかけになったこと、勤めている小学校の給食の様子などを通して感じたことを書きたいと思います。
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私は小さい頃は食べることに興味がなく、食事の時間になると隠れてしまう子どもで、好き嫌いも多く、量も食べないので、母は「とにかく食べさせなきゃ!」と苦労したそうです。

そんな私が「食べること」に興味を持つようになったのは中学生の時。仲の良かった友人は食べる事が大好きな子が多く、一緒に出掛けては「あれ食べたーい!」「これおいしーい♡」と、とにかく食べる食べる…。
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食事は空腹を満たすための手段でしかなかった私でしたが、あまりにも友人が楽しそうなのと、つられて一緒に食べるうちに“食事を楽しむ”という事を知り、すっかりハマってしまいました。そして、気付けば栄養士として子どもたちに食べる事について教えているわけです(笑)。


この“つられて…”というのは、学校の給食時間でもよく見られます。
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最近の給食はメニューも食材も多種多様なものが登場しており、給食で初めて食べた…というものも多いようです。


以前、きび入りご飯を出した時の1年生のクラスで、「ご飯に入っている黄色いツブツブ(きび)嫌だ~」と言っている児童が何人かいました。
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そこで先生が「この黄色いツブツブはあの桃太郎に出てくる“きびだんご”の“きび”なんだよ~!食べると桃太郎みたいに力持ちになれるよ~!」と言うと、一人がパクッと口に入れて「おいしい!」、つられて他の子もパクッ!次々に食べては「おいしい!」と報告してくれました。先生の絶妙なパステクニックと、みんなで食べる給食の思わぬ効果に改めて学ばされた瞬間でした。
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時々、保護者の方から好き嫌いについて質問をいただくことがあります。子どもの好き嫌いは、本能的な防御反応に由来していることが多いです。味覚の内、苦味は毒物の判断、酸味は腐敗物の判断に使われていることから、本能的に避けようとしてこれらの強い食材を苦手とする子どもが多いと考えられます。しかし、成長の過程で、経験によって苦味や酸味があっても食べられるものの判断できるようになるため、自然と好き嫌いは減っていくものです。
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逆を言えば、「食べてみる」という経験がなければ、食事の幅は広がりません。給食を通じて子どもの“食べる経験”をどうやったら増やしてあげられるか、私が食事を“好き”になった時のあの感動を伝えられるか、栄養士として試行錯誤している毎日です。
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2013年12月号

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