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ママとパパのリレーエッセイ
ー第142回ー
高橋久実子さん

三鷹市社会福祉協議会の高橋久実子と申します。
子育てサロンや子育てサークルの立ち上げに関わる仕事をしています。

私が福祉に関わるようになって約20年――。こんなに長く関わっているんだ!とびっくりしてしまいますが・・・。
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当時大学で児童福祉を学ぶゼミに入っていました。
児童虐待の問題がようやく一般に知られるようになった頃ですが、なぜ児童虐待が起こるのか未解明な時代。「子どもを叩いてしまう」ことに苦しみ、SOSの声を上げ始めたのが比較的高学歴な女性だったため、高学歴な女性ほど虐待するリスクが高いという仮説もありました(これは虐待の当事者がSOSを出すことがいかに難しいかを象徴する仮説ではないでしょうか)。
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また、子どもを叩くことを「しつけ」として肯定する人も少なからずいたため、児童虐待そのものを否定したり、タブー視する風潮がまだまだありました。

20年経った今、性的虐待や虐待の連鎖、虐待の背景にある経済的問題なども徐々に知られるようになってきましたが、児童虐待が根絶したわけではありません。いまだいに虐待により命を落とす子どももいます。
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しかし、児童虐待から子どもを救いたい、虐待してしまう親を何とかケアしたいという支援の輪は確実に地域に広がりつつあります。

実は、社協に入職した当初、児童福祉に関わる事業がほとんどないことをさみしく感じ、「いつか必ず子育てや児童福祉に関わる事業をやろう」と決意したことを覚えています。
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現在担当している子育てサロンや子育てサークルの支援は、直接的に児童虐待のケアに関わる事業ではありませんが、「家ではないもう一つの居場所」を地域に作ることは、虐待防止のセーフティネットの一つになっていると思います。

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あの時の決意が今のモチベーションにつながっているような気がします。20年という月日の中で「子育てを地域で支える活動」が社会に必要とされ、認められてきた結果とも言えるでしょう。
さらにここ数年、積極的に育児する男性(=イクメン)の活動が盛んになってきました。ごく少数の特殊な事情のある男性だけが育児をしていた20年前は考えられないことです。
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児童福祉分野でただひとつ、まだまだ進んでいないと思うのは子ども自身による活動です。

子どもの意見と権利を尊重した活動や福祉サービスを創るという考えはまだ日本では一般的ではありません。
児童福祉を学んだ者としてどれだけ力を注いでいけるか、自分自身の大きな課題でもあり、みたか社協としても取り組んでいきたいと思います。

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2014年11月号

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