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はじめまして、石原と申します。今回エッセイを担当させて頂きます。現在、27歳と24歳の娘の母親です。心理を専門としています。
前回の高橋さんのエッセイからバトンを受けて、子育てに関する情報について書かせて頂こうと思います。
私が長女を妊娠したのは、1980年代の後半でした。子どもを産んで母親になることを決心したのですが、何も知らないまま、不安でいっぱいでした。 |
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当時、妊婦さん向け、赤ちゃん関連の情報雑誌が、わずかですが出版されていて、それが貴重な情報源でした。
妊娠中は、雑誌を眺めては、お腹の中にいる子どもが、直接目に見ることはできませんが、「今はこれくらいなんだ」と思いをめぐらせることができたり、産まれる前に何を用意すればいのか、新生児の育児では何に気をつけたらいいのかを知ることができたので、今の状態を知り、先に備えることができ、安心することができました。 |
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妊娠中に得た知識と、産後に購読を始めた赤ちゃん雑誌からの情報は、実際の子育ての中で非常に役立ちましたが、すべてではありませんでした。一番の情報源は、目の前の自分の子どもだったような気がします。
長女は、おっぱいを吸う力が生まれつき弱かったため、出産直後は搾乳をして母乳を与えていましが、自然の摂理で徐々に母乳が出なくなっていきました。 |
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それでも、ミルクでの育児には抵抗があったので、母乳での育児を続ける努力をしていました。
そんな中、乳児検診の際、長女がやせ細っていることで医師から叱責を受けました。母乳にこだわっていたため、目の前の子どもが見えていなかったことに、やっと、気づきました。何を優先させなければいけないのか、目の前の子どもに教えられました。 |
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当時も、ミルクでの育児についてはネガティブな情報ばかりでしたので、ミルクでの育児がどんなふうに影響するか不安だらけでした。また、ちゃんと産んであげることができなかった自分を責めたりもしました。ですが、そんな不安におかまいなしで子どもはすくすく育ってくれました。
実母をはじめとする、周囲の言葉も強力な情報源でしたが、アドバイスを聞き入れず心配をかけることもありました。 |
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実母から、何度も「抱き癖」についてアドバイスされたのですが、抱っこしたい時は抱っこするマイペースな育児を続けました。確かに、抱っこの時期は少し長めだったかもしれませんが、成人した現在、抱っこが原因の問題は何もないように思います。
イギリスの小児科医ウィニコットは、母親は育児の中で絶えず失敗を修復しているもので、失敗の修復の繰り返しが赤ちゃんとのコミュニケーションになっていくのだと言っています。 |
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そして、このコミュニケーションの中で、赤ちゃんは「愛されてきた」という感情を感じることができるのだそうです。
失敗して、失敗を修復する中で、目の前の子どもと、母親である私自身の感情が、一番の情報源だったのかもしれないと感じています。 |
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