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アイコンママとパパのリレーエッセイ
ー第151回ー
岩本祐樹さん

三鷹市役所の生活福祉課(現在は三鷹市市民協働センター)の岩本祐樹と申します。子育てをまだ経験していない身ですが、「子育て」に関するエッセイということで、関わりそうなエピソードに自身の思いを添えて、自分なりに書いてみます。

5月の話ですが、三鷹市にあるNPO法人のグレースケア機構の方に情報をいただき、小金井市のNPO法人「地域の寄り合い所 また明日(以下、「また明日」)」の代表の森田さんが企画するイベントに参加してきました。
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「また明日」は、「認知症専門デイサービス」「認可外保育所」「地域の寄り合い所」が一つになった施設です。2階建てアパート1階の五戸分の壁をすべて取り払った大きな長屋のような空間で、赤ちゃんからお年寄りまでが一緒に過ごし、世代を超えて関わりあっています。

ちなみに、イベント名は「誰でもオリンピックス」。「また明日」の隣にある公園に、保育園児からお年寄りまでの地域の人が集まり、車椅子でリレー競争をしたり、アイマスクを
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つけた人の手を取って誘導するレクリエーションをしたりと、参加者みんなで学びながら、一緒に楽しい時間を過ごしました。

『保育園や介護施設の中で、子どもやお年寄りは常に“支えられる側”であることが普通です。でも「また明日」では、日々の関わりの中でお互いが支え合う存在になっていきます。それが子どもやお年寄りの力を引き出すことにつながります。』と、森田さんは取材記事の中でおっしゃっています。
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ところで、私の実家は、熊本県阿蘇郡産山村という人口1,600人ほどの農村にあります。生まれてから中学までそこで育った自分には、祖父母や曾祖母にふれて育つことはごく普通のことでした。また、登下校で地域のおじいちゃんおばあちゃんに挨拶したり、老人会のみなさんが校庭の草取りをしてくれたり、学校の行事を地域の人たちと一緒におこなうことも村の子どもには当たり前の景色でした。

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しかし、核家族化が進んだ今の社会では、そんな景色も当たり前ではなくなっているように感じます。農地が残り、田舎の景色が垣間見れるこの三鷹でも、状況はやはり同じではないでしょうか。ただ、地域の子どもたちが地域のお年寄りにふれる機会があれば、森田さんのおっしゃるように「お互いに支えられる存在」になっていけるのかもしれません。

そして、子育て世代から見たら「子育ての先輩」である地域の高齢者の方々に、知恵と力を借りることができれば、
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子育ての不安や悩みも軽減できるのかもしれません。仕事上、母子世帯と関わることもありますが、地域から孤立しがちな母親に接すると「もっと地域の方とのつながりがあれば‥」とも切実に感じます。

市内の小学校を見守る「スクールエンジェルス」のみなさんのように、頼りになる高齢者の方が地域にはたくさんいらっしゃいます。また、お年寄りは子どもと関わることで認知症の症状がよくなるという状況もあるようです。
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「少子高齢化」による大きな課題が、未来から投げかけられていますが、「高齢者と子ども」「高齢者と子育て世代」が関わる中で、むしろ「課題」をきっかけに、地域にふれあいや助け合いが生まれ、地域を今よりもう少しあったかい場所にしていければと、三鷹市役所職員の一人として思う次第です。
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「未来からの投げかけには、理想的な青写真を描く以上に、たとえ地味であっても『行動』という形で返事をしていこう」と、これからの社会の動きに関わっていく者の一人として、小さな決意も添えながら‥。


「グレースケア機構」の紹介記事です。 
「また明日」の紹介記事です。 
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