第一回 子供の「いい歯」はお母さんのお腹で作られる!


妊娠中のお母さんの栄養と健康管理に気を配りましょう

親の歯の質が悪いから子供も似てしまった」というお母さんがいらっしゃいます。歯が本質的に強いか弱いかは遺伝的な問題と考えられがちです。丈夫な歯を作るには、遺伝的要素が全く関係ないわけではありませんが、むしろ、妊娠時(胎児期)の母親の過ごし方と、歯が生えてからのケアの仕方にかかっています。

なぜなら、赤ちゃんの乳歯の元となる芽(歯胚)はお母さんの妊娠7週目にはでき始め生まれるころにはもう歯茎の下で待機しているからです。

子どもの強い歯をつくるためには、妊娠中のお母さんの栄養と健康管理がとても大切なのです。
特に、妊娠4ヶ月に入るとお腹の赤ちゃんの歯のエナメル質や象牙質に石灰化が始まる時期になります。

母体の健康管理のためにも赤ちゃんのためにも、栄養バランスのよい食事が必要です。



妊娠中の虫歯は赤ちゃんのせい?

昔は「一子を産んで一歯を失う」といったものです。
また、よく「お腹の子供にカルシウムを取られて歯がボロボロになった」という話も聞かれますが、カルシウム代謝は骨で行われており、歯は一度カルシウムが沈着して完成したら、また血液の中に溶け出して子供に吸収されることはありません

ではなぜ妊娠すると歯が悪くなるのでしょうか?

妊娠するとエストロゲンなどの女性ホルモンの分泌が増えます。そのため妊娠すると歯肉が腫れたり、出血しやすくなります。また、唾液の分泌量や緩衝能が落ち、さらに、つわりで歯磨きができなかったり、不規則な食事が重なると虫歯になりやすくなるのです。普段よりも丁寧な歯磨きで歯のケアを心がけることが大切です




気になる虫歯は安定期に治療をしましょう!
もし、妊娠中に突然、歯が痛み出したり、歯肉が腫れたりしたらどうしますか?

迷わずに歯医者を訪れるでしょうか。

それとも、治療によってお腹の子供に何かあったらと悩みを抱えて我慢してしまうでしょうか。

妊娠中に虫歯を治療してはいけないと思い込んでいる妊婦さんは意外に多いのですが、歯科治療で使う局所麻酔剤は量が限られており、ほとんど心配いりません。レントゲンも歯科で行われるX線撮影の被爆線量は、1年間の自然放射線に比べるとずっと低いものです。また、鉛のエプロンを着けて撮影するので、胎児が被爆する量は限りなくゼロに近いことも証明されています。

薬はなるべくなら飲みたくないでしょうが、腫れたり痛んだりした場合使わなければいけないこともあります。必要最小限の量と胎児に影響の少ない薬剤を担当医と十分に話し合い、納得して服用しましょう。

反対に、症状が重くなるまで我慢して、薬や麻酔が大量に必要になっては元も子もありません。

妊娠中は特に歯の治療に関して慎重になり、また、出産後は育児や家事に追われ、受診されるのが遅れがち。出来れば結婚前、赤ちゃんが欲しくなる前に治療しておきたいものですが、安定期に入ったら、ぜひ悪い歯は治しておきましょう。

歯科の治療は、決して快適なものではありません。その他にも心配なことがあるかと思います。しかし、不安や痛みから精神的に不安定になったり、睡眠不足、栄養不良になるよりは、1日でも早い受診をおすすめします。
ふくだ歯科
〒181-0013 
東京都三鷹市下連雀7-14-28
ベルムミタカ1F-2
TEL.0422-40-6480(ムシバゼロ)

ふくだ歯科のホームページ
http://www.fukuda-shika.com/

このページトップへ 「ふくだ先生の歯っぴ〜コラム」目次へ 「けんこう」トップへ

2005年7月号