(食事編)第5回 よく噛んで食べよう!


噛むことはとっても大事
長生きの秘訣は、よく噛んで食べること」と言われています。健康で元気な毎日を送るためには、自分の歯でよく噛むことが大切です。これは、子供に限らず大人にとっても大変重要なことです。「噛む」ことは、想像以上に私達の体や心にさまざまな影響を及ぼしています。一見、噛むこととは無関係に思えるようなことにも、実は効用がたくさんあるのです。


噛むことはしっかりしたあごをつくる
食べ物をうまく噛めない原因の一つは、あごの弱さ。あごを育てるには「噛む」という動作が最も大事です。 

軟らかいものばかり食べていると、あごの発達が悪くなり、うまく噛めなくなってしまいます。 特に最近では食生活の欧米化が進み、軟らかい食事(パンやハンバーグ、グラタン、スパゲッティなど)を取る事が多くなりました。食べやすくやわらかい食べ物が主流になったことにより、現代では食事時間も噛む回数も、戦前に比べ約半分以下に減っています。 

噛む動作はあごの骨や顔の筋肉の発達を促し、強いあごをつくります。噛むことによって上下のあごの骨や顔の筋肉の発育を促し、強いあごをつくります。軟らかいものばかり食べていると、あごが発達せず、余計に噛めなくなるという悪循環になります。歯はあごの骨に沿って生えているので、あごが十分に発達していないと歯が正しい位置に生えず、歯並びに影響します。きれいな歯並びにするためにも、乳歯から永久歯に生えかわるまでに、しっかりした土台となるあごをつくっておくことが大切です。


噛むことは肥満を予防する
あまり噛まず早く食べるといつまでも満腹中枢が働かないので、食べ過ぎや栄養の摂りすぎになります。
よく噛んでゆっくり時間をかけて食事を楽しめば、肥満の予防とストレス解消になります。同時に唾液が持っている抗菌性や免疫性の働きによって、成人病予防にもなります。


噛むことは脳細胞を活性化させる
よく噛むと頭部の骨や筋肉が働いて血液循環がよくなり、脳細胞の働きが活発になります。
記憶力や集中力などの学習能力、運動能力その他様々な機能の発達に影響しています。
子供の発育促進だけでなく、大人にとっても脳の老化を防ぐ効果があります。
歯が抜けてうまく噛めなかったり、軟らかいものばかりであまり噛まないと、脳細胞への刺激が少なく、脳の老化にもつながります。 


噛んで歯を強くする
赤ちゃんがおっぱいを飲むのは本能的な行為ですが、「噛むこと」はその後の訓練によって学習するものです。
乳歯が生え揃う3歳頃からは、ほぼ大人と同じものが食べられるようになるので、毎食のメニューに噛んで味わえる献立を考え、ちゃんと噛まなければ飲み込めない食品を数品取り入れるようにしましょう。レトルトのやわらかいベビーフードばかりでは、子供は噛んで食べる努力をしなくなってしまいます。また、ものをよく噛むことができる強い歯をつくるためには、カルシウムやたんぱく質をたっぷり摂ることも大切です。
噛めば噛むほど量が増える唾液には、パロチンというホルモンが含まれています。これがカルシウムと結合して歯の表面に少しずつ浸透し、乳歯の表面のエナメル質や象牙質を強化することによって、強い歯をつくる役目を果たします。特に乳幼児期は、食事の度によく噛んで唾液をたくさん分泌させましょう。
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2005年11月号