(指しゃぶり編)第7回 指しゃぶりっていけないこと?!


指しゃぶりには意味がある?!
お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんが「指しゃぶり」をしているところは、妊娠中の超音波検査で、しばしば見られることです。

赤ちゃんにとって「指しゃぶり」というのは、「吸てつ反射」という、生きていくために(おっぱいやミルクを飲むために)口に触れたものを吸うという、人間にとって必要である本能的な機能から起こる行為だといわれています。

また、こどもの「指しゃぶり」についての考え方は、歯科医師、小児科医、精神科医、心理学者など、それぞれの立場で異なっていますが、精神的緊張を解消する為の行動、心理的欲求不満に対する代償、親や周囲の者に注意を引く手段としての退行現象などがあります。

すなわち、「指しゃぶり」は特定の原因で生じるものではないということです。

ですから、小児それぞれの発育時期によって、「指しゃぶり」の意味合いも異なるため、それに基づく対応が必要となってきます。


乳児期の「指しゃぶり」
生後2〜3ヶ月頃から「指しゃぶり」を始める子が多くなります。先に述べたように、この時期は、手や指をしゃぶるものなのです。

自分の手、自分の口を、自分で認識する。つまり、指しゃぶりは自分で自分のからだを感じる大切なステップなのです。赤ちゃんが自力でできる、初めての「遊び」なのかもしれませんね。

そうして赤ちゃんは自分の手や指を認識し、ママのおっぱいを吸うことと同じように、物を確かめ口の随意運動が促されていきます。

つまりこのころの「指しゃぶり」は、「問題」どころか「必要」とさえ言えるのです。このような理由から、低月齢での「指しゃぶり」は成長の一過程ととらえます。ですから、この時期に無理に「指しゃぶり」をやめさせる必要はありません。


幼児期の「指しゃぶり」
幼児期のはじめぐらいになると、おしゃべりをするようになり、手で遊びをするようになると、昼間の指しゃぶりが少なくなってくることが多くなります。

眠い時や退屈な時、不安や緊張の大きい時に「指しゃぶり」が見られやすくなるようですが、あまり心配せず、一緒に楽しく遊んだり、よく話を聞いてあげたりして、指を忘れさせるようにしてみましょう。
無理矢理やめさせたり、叱ったりはしないでください。逆に子供に強いストレスを与えるだけで、逆効果だと思います。

幼児期の後半になると、自意識の発達や社会性の発達によって、自分から「指しゃぶり」をやめようとする子が出てきます。この頃に「指しゃぶり」をしていても、たいていの場合は自然に解消しますから、あまり心配しなくても大丈夫です。そこで、無理にやめさせようとするのは、他の癖に移行したり、再発することもあるため好ましくないでしょう。

4歳を過ぎると、歯並びやかみ合わせに影響が出てきやすくなります。そろそろやめさせたい時期です。ただし、すぐに禁止するのではなく、「不潔な指をしゃぶると、ばい菌が身体の中に入る」など子供に分かるように言い聞かせ、本人の自覚を促す形で納得させ、子供が自分で行動をコントロールするように方向づけをすると良いでしょう。


学童期の「指しゃぶり」
自意識、自己のコントロールの能力も高まり、自分の意志で止める子が増えますが、この頃まで「指しゃぶり」を継続していると、舌癖や口腔周囲筋の異常を引き起こしたり、顎の発育や永久歯列への影響が生じやすくなります。

頑固に続く場合は、歯並びや発音などに影響が出てくることも多く、歯科医師、小児科医などと連携した治療が必要となる場合もありますので、一度、主治医に相談すると良いでしょう。


注意が必要な「指しゃぶり」
私が考える、注意が必要な「指しゃぶり」というのは、指の皮がめくれたりするほど暇さえあれば1日中「指しゃぶり」をしているような状態だと思います。

また、上下の歯をかみ合わせた場合、前歯が上下かみ合わず隙間が開いている状態(開口) や、上の前歯が出ている状態 (上顎前突)は注意が必要です。 

このような場合、上下の歯が噛み合わないため、前歯で食物を噛み切れず正常な咀嚼ができなくなってしまったり、前歯の隙間から空気が漏れるために言葉の発音にも障害が出る場合があります。
このような状態になった時は、言い聞かせをして改善傾向を様子をみたのち、場合によっては「指しゃぶり」防止の治療が必要なこともあります。
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2006年1月号