(口の怪我編)第8回 外傷対応マニュアル


まず冷静に!
子供はよく転ぶものです。

特にヨチヨチ歩きの時期と小学1年生前後が多いと言われています。
 
1、2歳の頃は歩行が不安定ですので、周りの大人の気遣いが必要です。 
おもちゃ等を口に入れたまま転倒したり、机の角、階段などでぶつける事故が多いです。

また、小学1年生前後になると行動が活発になり、遊具や高いところからの転落、友達同士のふざけあいによる事故などが増えてきます。

口の中の出血は、大抵の場合、唾液に血液が混じり多く見えます。これにより、子供もお母さんもパニックになってしまいやすいです。

まずは、お母さんが冷静になり、子供の不安を取り除いてあげて下さい。 
お母さんが動揺していると、子供も不安になってしまいます。

それから、怪我をした時の状況を、後で医師に伝えられるようにしましょう。


唇をぶつけた場合
転倒などによって唇や口の中(粘膜)を傷つけることがあります。
小さい傷ならほとんどの場合、何も処置をしなくても自然と治ります。

また、上唇小帯(上唇の中央から歯茎に伸びるスジ)が転倒などで切れることがあります。
その場合、前述したように、唾液に血液が混じりかなり出血しているように見えますが、まずガーゼなどで圧迫し止血してみましょう。意外と傷が小さい場合も多いです。

その場合にも自然と治りますが、大きく切れてしまっている場合には縫合した方が良い場合もあります。 大きく切れている、出血がなかなか止まらない、腫れてきた場合などは、歯科医院で診てもらいましょう。


歯をぶつけた場合
歯をぶつけた場合に起こる代表的なものは、以下のような状態です。

1.歯の一部が欠けてしまう
乳歯でも永久歯でも、歯の先端がほんの少しだけ欠けてしまった場合には尖った部位を丸めるかプラスティックで修復する処置をします。 
大きく欠けてしまっている場合には、欠けてしまった破切片を探してみて下さい。
大きく欠けていても、場合によっては破切片を歯に接着できる場合があるためです。
もちろん、場合によっては接着できない時もあります。
破切片が見つかったらすぐに診てもらいましょう。
もし、破切片が見つからなくても、プラスティックで修復できる場合があります。
ただし、歯髄(歯の神経)が露出してしまうほど欠けてたり、折れてしまった場合には、神経を抜くなどの処置が必要となる場合があります。

2.歯がグラグラしている
乳歯の場合には歯の生え代わりの為に、乳歯の根が溶けて短くなっていることがあり、この場合は特に心配はいりません。
しかし、生え代わりの準備ができていない根の長い乳歯や永久歯がグラグラしている場合は、元の正しい位置に歯を戻して固定する必要があります。
どちらにせよ、レントゲン写真を撮って確認した方が良いでしょう。
また、歯をぶつけた衝撃で、歯の神経が死んでしまう場合があります。
しばらくした後に、歯が黒ずんでくることがあるため経過観察が必要です。
もし、歯が黒ずんできた時には、歯の神経を取り、根の治療が必要になります。

3.歯がめり込んだ
歯をぶつけてしまって歯ぐきの中に歯がめり込んでしまう場合があります。
生え代わりの準備ができていない根の長い乳歯や永久歯がめり込んでしまった場合は、元の正しい位置に歯を戻して固定する必要があります。
この場合も、歯の中の神経が死んでしまうことがあります。

4.歯が抜けてしまった
強くぶつけてしまった時には、前歯は折れずに根っこごと抜けてしまうことがあります。
この場合、まず抜けてしまった歯を探しましょう。 
屋外などで根っこごと抜けてしまい、歯に砂などの汚れが付いている時は、水道水で簡単に洗います。 
このとき大切なのは、歯の根っこの表面に付着している歯根膜という繊維が失われてしまうと歯は元に戻らなくなってしまうため、歯の根っこの表面をゴシゴシ洗わないようにすることです。 
次に、歯を乾燥させないように抜けた歯を元に戻すか、頬の内側にいれて歯科医院に急ぎましょう。 
休日や夜間などですぐに歯科医院にいけない場合は、牛乳の中に入れ冷蔵庫で保管します。
コーヒー牛乳やヨーグルトではダメです。
歯の根の処置をして、歯を元の位置へ戻し固定します。
約3〜4週間ほどで歯がくっつく可能性があります。 
ふくだ歯科
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2006年2月号