(噛み合わせ編)第11回 きれいな歯並びのために


顎の小さい子供たち

 最近、虫歯がある子供は少なくなってきましたが、歯並びがあまり良くない子供を多く見受けます。最近の子供たちの顔は全体が小さく、顎のラインが細くなっていることにお気づきでしょうか。顔が小さく、顎が細いのは外見上カッコイイと思われる方もいるでしょうが、噛み合せや歯並びへの影響を考えると問題があります。

 口の中にある歯の大きさや数は昔から変わりはありません。しかし、顎が細く小さくなることによって生えるスペースはなくなってしまいます。特に小さな乳歯から永久歯に生えかわる時期に、顎の奥行きが十分に成長していないと、斜めに生えたり、本来生えるべき場所に生えなかったりしまう歯も出てきます。こうしたことが噛み合せが悪くてうまく噛めないとか、歯並びが悪いといった状態を生み出す大きな原因であるといわれています。

 では、なぜ最近の子供たちの顔は小さく、顎は細くなってしまったのでしょうか。その理由としては、食生活の変化が考えられます。 ファーストフードなどに代表されるように、柔らかく調理された食べ物が増えてきたことで、食事はあまり噛まなくても飲み込めるようになりました。おいしく食べられるという点ではよいのですが、噛まないことが筋肉(咬筋)の発達に影響し、顎の骨の成長に変化をもたらしているのです。ですから、よく噛んで食べるということは、きれいな歯並びのためにも大切な事なのです。


悪い歯並び(不正咬合)の種類

 悪い歯並び(不正咬合)とは大きく次の四つに分けられます。
    
・八重歯・乱ぐい歯(叢生)
あごが小さくて、歯が生える場所が足りなくなり、歯並びがデコボコになった状態です。
代表されるのが八重歯です。
 
・受け口(反対咬合・下顎前突)
前歯は通常、上あごが外側に、下あごが内側に噛み合いますが、これが反対になっている状態です。
受け口の場合、前歯だけの反対咬合で、主として上下の前歯の歯軸に原因があるものと、下あごの骨格がもともと上あごより大きすぎるものとがあります。

・出っ歯(上顎前突)
上の前歯が出っ張る状態です。
上の前歯が強く前に傾斜しているものと、上あごそのものものが前に出過ぎているものとがあります。
口が閉じづらくいつも口を開けているので、口腔内が乾燥し、歯肉も炎症を起こしやすくなります。

・開咬
前歯など一部分の歯が噛みあわないタイプです。
前歯で物を噛みきれないので、舌を使って無理に噛みちぎるため、食物を砕く(咀嚼)効率がとても低く、発音障害も見られます。


悪い歯並び(不正咬合)の原因と治療開始時期

 不正咬合の種類によって原因もさまざまです。当然、治療の時期も異なります。遺伝的な要素や、幼時期のちょっとした癖や習慣などが大人になってからの歯並びにまで影響してしまうこともあります。また一人一人の歯並びや噛み合わせの状態、歯科医師の判断等も差がある為、一概には言えませんが、矯正治療を受けようと考えている場合は、経過観察を受けながら、最適な治療開始時期の判断を待つことが望ましいと思われます。 早ければいいということはありません。一般的に永久歯が生え揃う前の時期に治療を開始するのは、歯並びや噛み合わせが顎の骨の成長や歯周組織に悪い影響を及ぼす原因と考えられ、その時期に始める有効性がはっきりしている場合と考えます。


気になったら、まず相談
 
 上あごの永久歯の前歯が生えてくる時、扇状に開いて真ん中がすいて生え、歯並びが悪いように見えるとがあります。この一見異常に見える時期を「みにくいあひるの子時代(Ugly duckling stage)」と言いますが、これは一時的なものが多く、自然に治ることが多くあります。(歯列不正に至る症例もあります) このような一見異常に見えるが正常であるといった例外もありますが、もし子供の歯並びが気になっている場合は、まず歯科医師に相談してみましょう。

 きれいな歯並びは、外見を美しく見せるだけではなく、口のお手入れがしやすくなる事で、結果的に虫歯や歯周病を防ぐことになります。 また、よく噛めるということは、生涯美味しく食事が出来るという、「財産」になるといっても過言ではないかもしれません。虫歯だけではなく、歯並びも日頃からチェックしてあげて下さい。
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2006年5月号