(予防編 その1)第12回 フッ素で虫歯予防 |
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フッ素ってなあに? |
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どこかで聞いたことはあるけれど、なんだかよくわからない「フッ素」。 実は特別なものではなく、ごく身近に存在しているものです。 フッ素(元素記号はF)とは、元素のうちのひとつで、たくさんの量が地球に存在しており、海水中や土壌中にも含まれています。食品にももちろん含まれていて、私たちは日頃普通に食べたり飲んだりしています。 例えば、お茶では0.2〜1.0ppmくらい、りんごや大根で0.2〜1.9ppm、牛肉や鰯などでは2〜20ppmの濃度になっています。 |
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フッ素は虫歯予防にどう効くの? |
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虫歯は酸などによる、歯からミネラルを溶かしだす力(脱灰力)の方が、歯にミネラルを補給して結晶化する力(再石灰化力)よりも優勢であると発生しやすくなります。実はフッ素には、虫歯で穴があく一歩手前の状態(初期虫歯)を元に戻そうとする力があるのです。 では、その初期虫歯とはどういうものなのでしょう? 一見、健康そうな歯でもよく見てみると、白濁があったりします。これは歯の表面の歯垢(プラーク)から出る酸によって、歯の内部からカルシウムなどのミネラルが抜け出して密度が低くなった状態。つまり、虫歯で穴があく一歩手前の状態なのです。 穴のあいた虫歯を放置しておいても元に戻ることはありませんが、初期虫歯の場合には再石灰化作用により修復されることがあります。 フッ素の効果のうち、ミネラルを取り込んで再結晶化する作用(再石灰化力)の速度を高め、さらにミネラルが溶け出すのを防止したりする作用が期待できます。 これらの作用はフッ素イオンが低い濃度でも効果があることが知られています。 |
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フッ素の安全性 |
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フッ素は前述の通り、お茶などにも微量に含まれている物質です。 WHO(世界保健機構)では、フッ素は、人の栄養における必須元素と発表していています。 しかしながら、高濃度のフッ素ともなれば人の体に悪影響を及ぼす劇薬です。 どんな薬でもそうですが、量を沢山とれば薬が毒にもなります。 フッ素についても同じことです。 安全性で問題になるのは、飲み込むフッ素の量です。 一度に大量に飲むと、急性中毒を起こします。 しかし、飲み込んで危険とされるフッ素の量は、体重1kgあたり5mgです。 例えば、平均体重16.5kgの4歳児の急性中毒量は83mg(5mg/kg×16.5kg)となります。 フッ素塗布では、適正な術式における1回の塗布後の口の中に残る量は1〜3mg程度。 フッ素洗口では、洗口後、口の中に残る量は、お茶1〜2杯に含まれる量と同じです。 このように、口の中に残る量は危険とされる数値とかけ離れています。 |
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フッ素利用にあたって注意していただきたいこと |
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フッ素による虫歯予防は、いろいろな病気の予防注射のように、処置をしたら確実にその病気にならないといった予防方法ではありません。 あくまでもフッ素は虫歯になりにくくしてくれるのであって、虫歯にならない訳ではありません。 フッ素を用いていても、歯磨きや食生活に気を配らなければ虫歯になってしまいます。 規則正しい食生活や,正しいブラッシングがあって初めて効果を表してくれるものなのです。 また、保険センターや歯科医院などでフッ素の予防処置をたった1度受けたからといって、その効果が永久に続くわけでもありません。 やはり定期的な検診が必要不可欠です。 |
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2006年6月号