(予防編その4)第15回 歯磨きで虫歯予防


何といっても一番大事!!

フッ素やシーラントといったものはあくまで補助的なものであって、虫歯にならないためには、「歯を磨く」という事が1番の虫歯予防であることに変わりはありません。しかし、「磨いている」ことと「磨けている」ことは違います。人それぞれ歯並びは違いますし、それぞれ歯磨きの仕方も違います。また、子どもでは、乳歯列期、混合歯列期、永久歯列期と、その時期によっても歯磨きの仕方が違います

まず歯磨きで大事なのは、歯科医師、歯科衛生士といった専門家の指導のもと、個人にあった磨き方で、それを毎日続ける事が一番の虫歯予防の近道と言えるでしょう。


まずは歯ブラシ選びから

「弘法筆を選ばず」と言いますが、歯ブラシ選びは大変重要です。歯ブラシの選び方は以前にもお話しましたが、小さなヘッドが基本です。毛の硬さは軟らかく植毛は密でコシのあるもので、毛先は丸く仕上げたストレートカットのものが理想です。柄の部分はストレートハンドルで、握りやすいグリップのものがよいでしょう。材質としてはナイロン性のものが良いでしょう。 

耐久性については各社によって多少差がありますが、毛先が広がってきたところで交換してください。毛先が広がっていると能率が悪くなり、歯や歯ぐきを傷つけやすくなってしまいます。歯ブラシを裏から見て、毛束がヘッドからはみ出ていたら交換です。おおよそ1ヶ月に1本が目安になります。


ブラッシング法

基本は鉛筆を持つように握りましょう。 力加減や細かい動きにも適しています。

一言で「歯磨き」といっても、実に様々な磨き方があります。
一般的なブラッシング方法に、

スクラビング法 (歯に対して直角にハブラシをあて、細かく左右に振動させるように磨く方法)
バス法 (歯と歯肉の間の溝(歯肉溝)に毛先を45度の角度であて細かく振動させるように磨く方法)
フォーンズ法 (歯に対し直角にハブラシをあて、円を描くように上下の歯を一緒に磨く方法)
 
などといったものがありますが、共通して言えることは、キチッとプラークを除去することが目的。 要はご自分のお口の状態に合った方法で磨ければそれでいいのです。 あくまでも方法であり、専門家の指導のもと、個人に適した歯磨きを心掛けましょう。

また歯磨きの後、歯垢染色液でプラークを染め出してみましょう。 意外に磨き残している部分が多く、「磨いている」ことと「磨けている」ことが違うと言う事がお判りになると思います。その上で、もう一度「どこが磨きにくいのか?」 「どこが磨けていないのか?」 「どのようにしたら磨けるか?」を考えて見ましょう。


歯と歯の間は「デンタルフロス」

デンタルフロスは1本の糸ではなく、数百本もの細いナイロンの糸をよりあわせて、歯と歯の間のプラークをかきだしやすいように作ってあります。歯ブラシででとりきれない歯と歯の間の汚れには、補助的にデンタルフロスを使うと大変効果的です。
    
使い始めは、歯の間に入りやすい「ワックスタイプ」のものが良いでしょう。使い方は、フロスを3、40cm程の長さに切り取り両手の中指にまきつけぴんと張るように親指と人差し指で固定させるように持ちます。このとき、ぴんと張っている部分が2〜3cmになるようにします。歯間にゆっくりとフロスを通しますが、歯と歯の間にフロスを入れる時は気を付けないと勢い余って歯茎まで傷を付けてしまう事があります。少しずつ動かしながら入れましょう。歯肉の下まで入れたフロスを歯の側面に強く巻きつけるような感じで、そのまま汚れをかき出すように、下におろします。(下の歯の場合には、上へ引き上げます)最初に右側面をきれいにしたら、次は左側面をというふうに、必ず両側面にフロスをします。


歯磨き剤は使ったほうがいい?

歯磨き剤を使用しなくてもプラークを除去する事は可能です。
歯磨き剤の多くには、発泡剤(歯磨き剤を口の中のすみずみまで行き渡らせて、汚れを落しやすくする為のもの)が入っています。しかし、泡がたつ為に途中でうがいをしたくなり、 プラークが十分取れないまま短い時間で歯磨きが終わってしまったり、また、爽快感を出す為に香料が入ってものでは、やはりスッとして磨いた気になってしまい、結果磨けていないということが多いようです。これでは何もなりません。使用するのであれば、歯ブラシの先にほんのちょっと付ける程度でよいでしょう。フッ素などの成分が入ったものは確かにその効果は多少ありますが、いずれもプラークを完全に除去した上でその効果が発揮されます。あくまでも、プラークを完全に除去することが最も大切です。
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2006年10月号