第19回  筋肉を意識する!


筋肉が○○を左右する?!

普段はあまり意識しない筋肉ですが、食事をするのも、喋るのも、笑った顔や怒った顔もみんな筋肉が動かしていることです。いつも無意識にしていることなので、そんなことを考えたことが無いという人がほとんどだと思いますが、口腔周囲の筋機能に不調和が存在すると、咀嚼、嚥下、発音といった口腔の持つ基本的機能だけでなく、歯並びや表情などにも問題が生じます。

歯並びが悪い人の多くに、口腔周囲の筋肉が関与していることがあります。歯並びという形態的問題と、唇や舌の動きという機能的問題は密接に関係しているからです。

例えば、いわゆる「出っ歯」は形態的な問題だけでなく、上の前歯が前方に出ている為に、喋りづらい、前歯で物を噛み切ることがしづらい、上唇を意識しないと閉じることが出来ないなどとといった機能的な問題も生じます。

すると、上唇のを閉じる力が弱い為、ますます状態が悪くなる。 

そして、無意識の状態だと口を閉じていないので、いつも口を空けている表情をしているだけでなく、口呼吸になりやすい → 口の中が乾燥 → 細菌が繁殖しやすい
 → 虫歯が出来やすい、歯茎が腫れる、口臭がする・・・・・というように、
「形態が悪いから、機能がうまくいかない・・・・・機能が悪いから、ますます形態が悪くなる・・・・・さらには違う問題も発生する・・・・・」

という悪循環を引き起こしている場合があります。
       
すなわち、唇や舌といった口腔周囲筋の問題は、成長発育期の子供達の正しい成長を妨げてしまうだけでなく、咀嚼、嚥下、発音、表情なども左右してしまうのです。

       


口腔筋機能療法(MTF)

口腔に関連する筋肉のバランスを整えるためのトレーニング法(口腔筋機能療法:一般にMFTと呼ばれています。以下 MTF)があります。
 
MTFは、歯列不正・咀嚼障害・嚥下障害・発音障害などの治療を目的に、表情筋や舌筋、咀嚼筋といった口腔周囲の筋の訓練を通じて、口腔周囲の筋の弛緩や異常緊張といった状態を改善するとともに、正しいバランスを作りだして、またそれを維持することを目的とした方法です。主に学童期以上の患者さんに対して歯科医師などの指導の下、診療室内で実施されています。

例えば、矯正治療で歯並びや噛み合わせを治療することによって、口腔周囲の筋のバランスが改善されることもありますが、症例によっては、矯正治療後の新しい口腔環境に口腔周囲の筋が対応できずに改善されない場合があります。

例えば、前歯の開咬(前歯が噛みあわないタイプ)では、前歯で物を噛みきれないのため、舌を前に出すように使って物を噛んだり、飲み込むクセがあります。これを舌癖(ぜつへき)と言いますが、矯正治療後もこのクセが治らなかったりすると、歯はまた押し戻されてしまいます。
MFTはこのような舌癖などの悪習慣がある場合、トレーニングを通じて正しい咀嚼、嚥下などの動きをマスターすることで、歯に加わる余計な圧力をなくし正常に筋力が働くように改善します。 (※ MTFによってどんな歯列不正も治るというわけではありません。)



筋肉を意識しよう

もちろんMTFは、先に述べたように専門的知識を持つ歯科医師や歯科衛生士などの指導下で行います。 

例えば、唇を閉じる力が弱い場合、唇の内側と前歯との間にヒモを通したボタンを咥え、ヒモを引張ってボタンが口の外に出ないようにして唇を閉じる筋力をアップするトレーニング方法がありますが、ただ単に意識して唇を閉じるようにするようにするだけでも、普段気にしない筋肉も意識する事によってずいぶん変化します。

また、口角が下がっているとたとえ目が笑っていてもムスッとした表情に見えてしまいがちですが、唇を引き締めるトレーニングをするだけでも口角が上がり、顔や唇の形が変化して自然に表情が明るくなります。 
これならどこでも簡単にする事ができますね。

腕立て伏せや腹筋を鍛えるのと同じで、短期的に頑張るのではなく、毎日続けることが大切で、時間を掛けて少しずつその効果が現れてきます。 
口腔の正しい形態と同時に正しい機能も身に付ける事は、健康に暮らすために必要な1つなのです。
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2007年2月号