第22回 小帯の異常 |
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小帯とは? |
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唇や頬、舌と歯肉をつながっている、いわゆる「すじ」のことを小帯(しょうたい)と言います。 上唇と歯肉をつなぐ小帯を「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」、下唇の場合は「下唇小帯(かしんしょうたい)」、頬の場合は「頬小帯(きょうしょうたい)」、舌の裏側にあるのものを「舌小帯(ぜつしょうたい)」と言い、つながっている唇や頬、舌の運動を制限し、その位置を固定するのに役立っていると言われています。 これらの小帯のなかで、子どもたちに比較的よく見られるのが、上唇小帯および舌小帯の異常です。 |
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上唇小帯の異常 |
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本来上唇小帯はどの人でもあるものなので、小帯自体そのものが異常なわけではありません。異常となるものはその付着位置です。 生後1歳未満までは歯の近くに付着していますが、年齢とともに上顎が発育するにつれ、その付着部位がだんだん上方に移動していきます。乳歯の頃の小帯は、成人比べて比較的大きいのも特徴です。ですから、乳歯の頃の上唇小帯はあまり問題にはなりません。 ただし、この時期のブラッシングでは、歯ブラシが上唇小帯に当たって傷つけてしまったり、また遊んで怪我をした場合切れてしまうことがありますので注意が必要です。 永久歯が生えてもその付着部位が上方に移動せず、小帯が前歯の間に深く入り込んで、歯の間を広げる状態(いわゆる「すきっぱ」)になってになっていれば切除する必要性があると思います。 |
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舌小帯の異常 |
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舌小帯は舌の下にある「すじ」で、正常な状態では、舌の運動、とくに発語時、嚥下(えんげ)時にこの舌小帯が舌の運動を邪魔するようなことはありません。 しかし、稀に舌小帯が太く短い場合があり、舌が舌小帯によって口底部方向に固定され、舌先をあげたり、突き出したりするのに不自由な状態となることがあります。このような状態を舌小帯短縮症(ぜっしょうたいたんしゅくしょう)と言います。 成長とともに治る場合もあるので観察が必要ですが、おっぱいを上手に飲めなかったり、また言葉が出るようになって特に「ラ行」の発音がうまく出来ない状態、舌を前方に伸展させた時に舌の先がハート型にくびれるような場合には切除する必要性があると思います。 発育にしたがい小帯の付着位置は変化する可能性があります。明らかに小帯の付着異常が認められる場合では、障害の程度と年齢などを考慮して手術を計画することになります。 |
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2007年5月号