第23回  子どもの歯ぎしり


歯ぎしりとは?

 一般的には単に「歯ぎしり」と表現されていますが、専門的には「ブラキシズム」と言って、食事中でもないのに咬むための筋肉(咀嚼筋)が無意識に異常な動きをすることを言います。

 ブラキシズムには3つの要素があり、歯をすり合わせる「グラインディング」食いしばる「クレンチング」上下の歯をカチカチと小刻みに接触させる「タッピング」があります。これらはすべて無意識のうちに行われるので、本人が気がつくことはあまりありませんが、歯や顎の関節に悪影響します。

 朝起きると顎が疲れていたり、歯に負担がかかっていることがありますが、これは睡眠中に過度の力が加わっているために起こる症状です。歯が割れる口が開かない・開きづらい顎が痛いなどの顎関節症はその代表例です。



歯ぎしりの原因

 「子どもが睡眠中にギリギリと歯ぎしりをする」または「何か噛んでいるような動きをする」。このような場合、どうしても気になると思います。

 大人の歯ぎしりの場合、根本的な原因にはまだ不明な点が多く存在していますが、癖、心因性、ストレス性によるもののタイプが圧倒的多数を占めています。憂鬱・不安など、潜在的心理的なものにより、歯ぎしり、食いしばりをすることによってストレスを発散させていると考えられてます。

 子どもの歯ぎしりのメカニズムもまだ不明な点が多いですが、幼児期における子どもの歯軋りはごく自然な現象で特別珍しいことではありません。この時期は噛む位置が不安定であることや、生え替わりの時期で、歯がゆい感じがあり、歯ぎしりや食いしばりによって不快感を紛らわしていると考えられています。また、大人同様ストレスを感じて無意識にしている場合もある考えらています。


「歯が磨り減るのが心配」 「顎関節症が心配」

 「歯が磨り減るのが心配」と考えている方も多いと思いますが、子どもの歯は大人の歯と違い、歯が柔らかく、磨り減ることはあまり問題はありません。歯がすり減ることによって、一時的にエナメル質と歯の神経(歯髄)との距離が短くなり、「冷たいモノがしみる」「歯が痛い」という場合がありますが、歯の神経の防御反応として、神経の周りに神経を保護する層(第二象牙質)が出来て、次第に症状は落ち着いてきます。

 また、「顎関節症が心配」と考えている人も多いと思いますが、顎関節に対する影響も、子どもは組織が柔軟性があり、成人のような悪影響はほとんどありません。ただし、例外もあります。ごく稀に顎関節症の症状が現れることがありますが、痛みがない歯軋りは抑える必要はないと思います。
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2007年6月号