平成21年4月1日よりに開設された「認定こども園三鷹中原幼稚園」について
園長先生にお話しをうかがいました!
青い屋根の可愛らしい建物の内外を、元気な声がはじける幼稚園。採光のよくきいた職員室の一角で、園長先生にお話をうかがいました。少し驚いたことに、職員室に入ってくる子どもたちはみんな、「お邪魔します!」「コップを返しにきました!」としっかり挨拶します。出て行くときには、「ありがとうございました!」「お邪魔しました!」の声が飛び、ほほえましい風景です。 「最初は、年長の子どもに入室の際挨拶するように指導したら、年少の子どもたちも真似するようになったんですよ」とは、園長の島田先生。言葉による教育の大切さを強調しました。「当たり前のことを、大人が当たり前に言わないから、子どもが当たり前の挨拶すらできないことになる」とのこと。決して子どもを怒らないけれども、とにかく「相手を思いやる」ことを、言葉で説得するのがモットーだそうです。 「たとえば靴を投げ散らかしていたら、叱るのではなく『お靴さん、放り出されてさびしいね。下駄箱のおうちに入れてあげようね』と言うんですね」。そう言ってあげれば、子どもは思いやりの心を学びながら、おかたづけの大切さも自然と覚えていくのだそうです。幼児教育の現場で、長年に渡って子どもたちの心と言葉に真剣に向き合ってきた蓄積がうかがわれる説明でした。 |
認定子ども園とは、簡単に言えば幼稚園・保育所母体の「就学前の子どもへの総合的子育て支援」と言うことになります。画期的なのは、これまでの幼稚園・保育所の垣根を取り払い、双方の利点を活かそうとした点、多様な子育てニーズに合わせるため延長保育などの利用をよりたやすくした点、保護者は働いている・働いていないにかかわらず利用できる点、などが挙げられます。たとえば、利用者のお母さんは、今すぐは働けないけれども、子どもの預け先を確保できれば働ける、あるいは3歳時点では子どもにかかりきりたいけれども、5歳になったら働こうかしら、などとゆとりをもって今後の生活設計ができます。また、幼稚園の教育は魅力的だけれども、保育所ほど預かり時間も長くないし、融通もきかないし……などと悩んでいるお母さんには、とっても魅力的ですね。 |
三鷹中原幼稚園は、通常の全日通園が朝9時から午後2時まで。でも、認定子ども園は、最大で朝7時30分から夕方6時30分まで開園します。カリキュラムについては、幼稚園の内容とほぼ変わらないので、いわゆる預かり保育というよりは、あくまでも幼児教育をベースにしているのが特徴と言えるでしょう。募集は毎年約90名ほどですが、1クラス35名の3クラスまでは受け入れ可能と言うことです。 |
ただ、今後の必要性や可能性に比して、認定子ども園は、あまり一般に知られているとは言えない現状があり、利用者の積極的な情報収集が望まれるところです。また、幼保一元化が論じられる昨今ですが、三鷹中原幼稚園のように個人立幼稚園が認定子ども園事業にとりくむ例は非常に珍しいなど、行政の掛け声と現場の事情の間には、まだまだ落差があるとも言えます。 |
したがって、もし利用を希望するならば、積極的に情報を集め、説明会などにもしっかり足を運ぶ必要があるでしょう。とくに、認定子ども園は開始されたばかりで、預かり内容も、各施設ごとに温度差がある印象は否めません。何より、預かり時間も通常の幼稚園より長いので、それだけ子どもへの影響も大きいと言えます。親のライフスタイルや子どもの性格にあったところを、しっかり選びたいですね。 |
取材・田中理恵子 |
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2009年7月号