保育施設取材レポート

 

場所は、緑豊かな新川団地内の1階の角部屋にあります。
家庭的保育室とはどんなところなのか、取材してきました!!


 

乳幼児を預けられるところを探したい!というと、まずは保育園を想像しますが、
保育施設には「認可保育園」のほか、「認証保育所」、そして今回見学させていただいた
「家庭的保育者」という選択肢があります。
また来春には、「家庭的保育者」のような少人数の0〜2歳児を保育する
「地域型保育事業」が、市区町村の認可事業になるのをご存知ですか。

こもれび家庭的保育室「もこもこ」で中心となって運営されている保育者の照沼さんは、
母として子育ての経験もありながら、都内の保育園の先生としても長くご活躍されてきました。
多くの子どもたちを見てきた体験から、
〈月齢の小さなお子さんは、できれば家庭的な保育でゆったり過ごすことが一番安心〉との思いで、
NPO法人ACTたすけあいワーカーズ「こもれび」から
2012年6月、0歳から2歳までのお子さんのための家庭的保育室「もこもこ」を立ち上げました。

「もこもこ」は緑豊かな新川団地内の1階の角部屋にあります。
広さは一般的なマンションの間取りで、3LDKほどです。
定員は5名で、この春からは0歳児2名、1歳児1名、2歳児2名が通っています。

スタッフは常時3名います。
「こもれび」事業所内のいろいろな世代の方々がスタッフとして子ども達と触れ合っているそうです。
子どもたちは、床暖房の入った広々としたリビングと、つづきにある畳のお部屋で過ごしています。
一日の多くの時間を同じ場所で過ごし、お互いが目の届くところにいるので、家庭的な安心感があります。

玄関を入ると、子ども別に上着や靴を片付けられるようになっています。

 

洗面所で使うタオル掛けや、おむつなどを入れるかごなどにも
一人ひとりにマークが決められており、文字を読めなくても自分の場所や物がわかるようになっています。
マンションという場所柄、一般家庭のような雰囲気なのですが、家具などは子どもの扱いやすい低いものが多く、 清潔感があり、小さな子どもが安全に過ごせるような配慮が隅々まで施されています。

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訪れたのはちょうど朝のご挨拶が始まる頃でした。
それぞれ遊んでいたのですが、9時30分のおやつを食べるため、
照沼さんの「おかたづけ〜おかたづけ〜♪」の歌で、おもちゃの片付けが始まります。
小さい子どもたちですが、まだ本を読みたかった子どもも、まわりのお友達が片付け始めたり、
保育者の声掛けによって、自分から片付けを始めていました。

秩序を持って生活することが大切だと照沼さんはお話されます。
まだおしゃべりが出来なくても、表現することが出来なくても、毎日同じことを繰り返すことで、
生活のリズムやけじめを身に着けていけるということです。
成長し、5歳、6歳になった頃、自然と出来ていることにつながるのだそうです。
実際、0歳の子どもたちも1,2歳のお兄さん、お姉さんの動きをとてもよく見ています。
早くから入所されるお子さんは、年上の子どもの様子をよく見ているせいか、 成長も早いことが多いのだそうです。

おやつの前にご挨拶がありました。
「おはようございます。」から始まり、 今日の日付、天気の話や、子どもたちの出欠、スタッフの名前の点呼と続きます。
ゆっくり話しかける照沼さんの言葉を、みんな座って耳を傾けていました。

続いて、にわとりと卵のぬいぐるみを使った手遊びと、絵本の読み聞かせがありました。
絵本は子供たちのお気に入りだったようで、小さな人差し指を「もう1かい!」と立てる子どもに、
「では、リクエストがあったので、もう一冊読みましょう。」
とさらに読んでもらい、子どもたちはとても嬉しそうでした。
(このあと、再び「もう1かい!」があり、この日の読み聞かせは3冊になりました^^)

おやつには、おしぼりと共におせんべいとお茶が配られました。
0歳児のお茶は、一人は両手で掴めるシリコン製のコップ、もう一人は吸い口のついた蓋付きのコップで提供されていました。
0歳は特に成長が著しいので、その段階に合わせて、都度替えていくそうです。

おやつの後は遊びの時間です。
この日はあいにくの雨だったので、1、2歳児はお部屋で遊ぶことになりました。
引き戸を外した押入れの下段には、牛乳パックでつくられた大きな積み木がたくさんあります。

写真
写真 たくさん持ち出して積み木の上り下りをしていたり、バスに見立てられた箱で、室内をぐるぐる回ったり。
まだ一人遊びの時間が多い年頃ですが、絵本を出して読んでもらったり、次々と遊びが変えながら 決して飽きることはない様子でした。
この時間、0歳児は午睡の時間で、スタッフが一人付いて、別のお部屋で午前寝となります。

お天気の良い日は、ほぼ毎日お散歩に出掛けます。
子ども達の成長に合わせて、近くの新川保育園の園庭で遊ばせてもらったり、
園から500メートル以上も離れた丸池公園まで行くこともあるそうです。
お散歩を繰り返しているので、2歳児ともなると丸池公園を往復歩けるようになるまで体力がつくそうです。
また、時にはスーパーマーケットに子どもたちを連れてお買いものに行くことも。
子どもたちに購入するものを取ってもらったり、お会計を手伝ってもらったりするそうです。
大勢が集まる保育園ではなかなかできないことで、家庭的保育ならではの楽しさだと思いました。
近頃は、近隣の高齢者施設へ遊びに行く機会があり、
お年寄りの方々に小さな子どもたちが可愛いと大人気で、楽しい交流の機会となっているそうです。
夏には広いベランダへプールを出して、水遊びも行われるそうで、 充実した毎日を過ごされている様子が伝わってきます。

たくさん遊んだあとはお昼ごはんの時間です。
始めに0歳児と1歳児の食事が進められ、その間2歳児はおもちゃのお片付けをしています。

メニューはスタッフの話し合いで決められ、保育時間の前に手作りされているそうです。
保護者の方向けに、あらかじめ献立表が掲示されており、アレルギーなどの対応も都度話し合って進めていくことができるようです。

近隣の方や保護者の方から差し入れを頂くこともあるそうです。
旬の材料を生かしてメニュ―を考えたり、どなたから頂いたものなのかを話しをしながら食べることで、
子どもたちの食育や、興味につながっていることを実感されているそうです。
ベランダには、そうして頂いた苗が植えられてすくすく育っていました。
子どもたちの楽しみのひとつとして、野菜を育てたり、収穫したりすることも保育に取り入れているそうです。

この後、午睡、おやつと続き、夕方のお迎えまでゆったりした時間を過ごします。

照沼さんご自身、保育園のご経験が豊富にあるので、たくさんのノウハウをお持ちです。
子どもが登園前に何を食べたか把握しておきたい、との思いから、
家庭での食事を記す欄のついた連絡帳を保護者との間で交換するように決めたのも照沼さんです。

逆に、保育園ではできなかったことは「家庭的保育」で実現されて、子どもはもちろん、
スタッフもおおらかな気持ちで保育にあたっている様子を感じることができました。
家庭的保育は欧米では多く見られる保育の形だそうで、少人数によるゆったりとした保育をもっと
多くの方に知ってもらいたい、というお気持ちを強く感じました。

 

こもれび家庭的保育室 「もこもこ」
http://www.geocities.jp/comorebi12/hoikusitu/osirase.htm


取材を終えて・・・

私は、息子が幼い時に保育園に預けることをとても躊躇していました。
「3つ子のたましい100まで」。このことばに苦しめられた記憶があります。
都の育児相談員の方のところまで足を運び、
「我が子を人に預けるような母親でいいのでしょうか。」
と涙ながら相談したことを今、懐かしく思い出します。
今回、もこもこさんを取材しながら、子どもへの温かい愛情は、母親以外からも沢山注がれているし、
子どももたっぷりそれを受けて健やかに育っている、ということを再度確認した思いです。
子どもたちが安心した様子でおんぶをされていたり、人懐っこく遊びに寄って来てくれた姿に
この少人数保育の頼もしい将来性を感じました。
照沼さん始め、スタッフのみなさま、そして子どもたち、ありがとうございました!

reported by terumi

 

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2014年6月号

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