保育施設取材レポート

キンダーガルテン なのはな園

なのはな園入り口

場所は、井の頭公園駅と三鷹台駅のちょうど中間あたり。
住宅街の中にひっそりとある、緑豊かな大きな一軒家です。


写真 ルドルフ・シュタイナーという哲学者の名前を聞いたことはあるでしょうか。
キンダーガルテン なのはな園では、
「7歳までに多くの喜びと愛情を与えると、のちに自由に世界と交流できるようになる。」
というシュタイナーの考えから、健全な身体の発達と意志を育てるための幼児教育が行われています。

場所は、井の頭公園駅と三鷹台駅のちょうど中間あたり。
住宅街の中にひっそりとある、緑豊かな大きな一軒家です。

こちらの園は、教師と父母によって運営されているそうです。
父母も運営するってどういうことだろう?と興味津々で取材に行きました。

朝の9時半。待ち合わせたのは、2児の母で、現在下のお子さんがなのはな園に通われているMさん。

まずはお部屋を見学させていただくことにしました。

周りからみると普通の一軒家だったのですが…
ドアを開けて玄関を入るとなぜか急に温かい空気に包まれます。
幼稚園や保育園に見られるような様々なお知らせの張り紙は見当たりません。
見上げると、照明を隠している、淡いピンク色の大きな布がゆったりと下がっています。
壁側は、子どもたちの荷物を掛けるフックがずらりと並んでいます。

よーくフックをみてみると、それぞれ違う形の小枝がフックとして使われていました。
「お父さん方が以前作ってくださったものなんです。」とMさん。
ほんわかした雰囲気を感じながらお部屋へ移動しました。

見学させて頂いたお部屋は年中さんと年長さんが遊んでいました。
(通常は年少さんも含めた全員で過ごしているそうですが、訪れたのは入園直後で、年少さんのためのお部屋は別になっていました。)

毎朝最初は自由遊びの時間だそうです。
先生の近くで淡い絵の具に塗られた、こいのぼりの製作をしている子どももいれば、数人集まって人形劇ごっこをしている子どももいます。

お部屋にある遊具はどれもシンプルな自然のものばかりです。
竹を割ったもの、木の枝(みつろうで磨かれてピカピカ☆)、毛糸の紐などなど…。
子どもたちの想像力を豊かにするおもちゃなのだそうです。

写真
写真 慣れていない私が急に部屋に入ったので、
子どもたちを驚かせてしまわないか心配だったのですが、
みんなすぐに人懐っこい笑顔を向けてくれました。

しばらくすると、
「回転寿司に来て!」
招かれみると、銭湯にあるような小さな木の椅子を並べた上に四角いピンク色の砂袋が沢山並べてあります。
「はいどうぞ〜サバです〜。」
「はい、これは〜エンガワです〜。」
砂袋がいろいろなお寿司に変身。かわいいおもてなしを受けて、私もすっかり遊んでしまいました。

子どもたちが思い思いに遊んでいる中、しばらくすると先生の歌声が聞こえました。
「あつまれ〜♪あつまれ〜♪♪」
高音の優しい歌声です。
すると様々に声を出しながら遊んでいた子どもたちが、すうっと静かになり、先生のもとに集まりました。

先生は小さな声で優しく、
「○○ちゃん、□□ちゃん、木の枝を片付けてください、どうぞ。」
次々に子どもたちに指示を出します。
指示を出された子どもは静かにその場を離れ、片付けが始まります。

先生は子どもたちに声をかけていきますが、大きな声を出すことはありませんでした。
騒いでいる子どもたちも先生の静かな話声に、必ず耳を傾けていたことがとても印象的でした。

お片付けの後はおやつの時間。園では毎日手作りでおやつが用意されているそうです。
おやつの材料も体に優しい有機素材を使っているそうで、食べ物の考え方にもこだわりがあることがうかがえます。

さて、ここで保育室からは退室し、 お母さん方の集うお部屋が別棟にある、ということでそちらでお話を伺うことにしました。

訪れた日は、年少さんのお母さん方を中心に10人ほどが集まり、お弁当を包む布を縫っているところでした。
四角い布の端を手で3つ折りにして、かがっています。

「四角い布を100均で簡単に買うこともできる。もしかしたら自分で縫うより丈夫かもしれない。なのにどうして手で縫っているのか。」

現代の豊かな生活の中では、簡単で便利なものが重宝されています。
そんな中、目には見えないものを大切にしたいという思いがあるようです。

疑問に答えてくださったのは、一人のお母さん。

「簡単や、便利で切り離されてしまったものを取り戻す作業をしているんだと思います。」

そんな思いの下、あるときは園のお庭の手入れをする、ある時は祝祭の準備をする、ある時は園の会議に出席する。
父母も運営しているということですが、様々な事案に関しては、先生はじめ、父母のみなさんで話して決められていきます。
子どもの健やかな成長のために、父母はまるで黒子のように環境作りを担い、子どもたちを見守っています。

今年年少のお子さんが入園されたお母さんは、
「まだ、入って一か月もしていないのに、みなさんと顔馴染みになっています。子どもたちを囲む親の輪に知らないうちに入っています。」

Mさんは、
「上の子が卒園して、改めて園の良さを実感しました。ここでの豊かな子ども時代が、これから学校や社会の中で自分の生き方を 見つけていく時に、温かな根っことして、子どもを支えてくれるんだなぁと感じています。」

お子さん4人がなのはな園で過ごされているお母さんは、
「決して縫い物が得意、というわけではなくても、子どもが、親が手仕事してできた道具を使って生活すること。
ここでしている様々なことが、それぞれの生活に及んでいて、
それが子どもの健全な発達と成長につながる、という確信を持って、みなさん集まっています。」

目には見えないけれど、大切にしたいたくさんのこと。
その一端を聞かせていただくことができました。

私がたった数時間いただけで感じた温かい雰囲気。
子どもたちはここで3年間過ごすことで全身に沁みわたらせ、替えがたいものを蓄積して、 健やかに成長していくのでしょう。

 

取材を終えて・・・

毎年春から秋にかけて、説明会や体験会が行われているそうです。
また手しごと会やオープンデー、マタニティの方や赤ちゃん〜3歳のお子さんまで通えるクラスもあるそうなので、 興味のある方は一度訪問されて、体感されてみるのをおすすめします。

なのはな園の詳細はこちらからどうぞ♪
http://www.nanohana-en.com/

reported by terumi

写真

 

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2014年6月号

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