テレビや新聞のニュースで家庭内で起こった悲劇が毎日のように報道されています。
先日も「勉強しなさい。」と言われたのがきっかけで、中学生の男の子が、母親に暴力をふるい、母親が亡くなってしまうと言う悲惨な事件がありました。また、しつけという名目で、子どもを虐待し、怪我をさせるばかりか、死なせてしまうと言う事件も後を絶ちません。
こういうニュースを日常的に聴いていると、子どもを育てている親は、とても不安な気持ちになりますし、これから子どもを持とうと考えているカップルが、ためらってしまうのも良くわかります。
どうして不安になるのでしょうか。事件が起きると、マスコミで報道されることは、たいてい「とてもよい子だったのに・・・」とか「とても教育熱心な良いお母さんだった。」とか「仲のよさそうな家庭でしたよ。」とか、虐待の場合は例外もありますが、いかにも事件が起きそうな背景が表に出ていない、はっきりとした理由がわからないことが多いからです。
もうだいぶ前になりますが、神戸の事件の時もそうでした。
ただでさえ理不尽なことが多い子どもとの生活の中で、必死で子育てをしている親にとって、良い子だったとか良い母親だったのに、良い家庭だったのになぜ?という言葉は、子育て不安を掻き立てます。一見平凡で幸せな家庭にも、こんな悲劇が起きる可能性があるのかと思ってしまうからです。
しかし、何か事件が起きるには、必ず理由があります。
表面上トラブルが無いかに見えても、家庭内の人間関係(夫婦、親子など)がうまくいっていない。一番身近にいて、こころが通い合っているべき人とこころが繋がっていないということです。愛情がないかというとそうではなく、愛しているのにそれをうまく伝えられない。この事件の母のように、子どもを愛しているから、将来を心配して、勉強しなさいと言う。そうすることが子どもへの愛情だと勘違いしていたのでしょう。
一方子どもはというと、親に愛されたくないこどもはどこにもいません。どんなに虐待されても、親をかばい、いじらしいほど愛されたいと願うのは子どもの方です。親に愛されたくて、親が喜ぶ顔を見たくて、良い子は頑張ってしまいます。
そしてそれが自分の意思でなく親のためだったりすると、押さえ込んでいた自分が我慢しきれなくなって、何かをきっかっけに爆発してしまうのです。
頑張ることは大切なことですが、こころに無理がかかっていないか、ちょっと気をつけて見てあげることが大事です。疲れたときには、「疲れた。」と、休みたい時には、「休みたい。」と本音が言える暖かい雰囲気が家庭にあると、外で疲れて帰っても元気になってまた翌日出かけて行けるのではないでしょうか。
ストレスの多い現代社会です。まじめで几帳面な人ほど、がんばりすぎてしまいますし、人に迷惑をかけてはいけないと一人で問題を解決しようと背負い込んでしまいがちです。子どもの様子がおかしいとか、こどもや夫としっくりいかないとか、気になることがあったら、自分だけで解決しようとしないで、信頼できる誰かに話すとか、相談機関を利用するとか、家庭から一歩出たところとかかわりを持つことをお勧めします。
相談することはちっとも恥ずかしいことではありませんし、何の問題も無い家庭などどこにもありません。
先日の事件で亡くなったお母さんは、家の恥だからと言って、相談に行くことを拒否されていたそうです。早い時期に相談に行って、お子さんと良い関係を作る努力をされていたらと思うと残念でなりません。
最後になりましたが、年中無休状態のお母さんだって、疲れたり、休みたいと思うのは当然です。そんな時は、我慢しないで、家族に甘え元気な笑顔を取り戻しましょう。
家族みんなが毎日笑顔で過ごせたら、子育て不安はどこかへ飛んでいってしまうでしょう。
10月から、「子育ての悩み相談しましょう」コーナーにエッセイを連載しています。ご意見ご感想などいただけたら嬉しいです。
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nana
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2005年11月号