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力を抜いて,ゆったりと・・・・

第10回 子どもとストレスと受験と・・・

■小学校の校内暴力とストレス

 最近小学校での校内暴力が増加しているそうです。担任の先生を殴ったりする、同級生に暴力を振るう、学校の窓ガラスや備品を壊すなどかなり深刻だという話で,ゆとり教育が実施され、週休二日も定着したはずなのにいったいどうして?と思ってしまいました。

 うちの子どもたちが小学校の頃は、中学校は校内暴力があり、小学校は学級崩壊といって授業にならないクラスが問題になっていたけれど、その後落ち着いていると思っていたのでとてもガッカリしました。原因は、今の子ども達がイライラしていて、キレやすいからということですが、それは、朝食を食べないで学校に来る子どもが増えているからだの、インスタント食品など食べ物のせいだとか、親の甘やかしが原因で我慢が出来なくなっているからだとか、果ては、ゆとり教育のせいで落ちたといわれる学力を上げようと、学校の勉強が厳しくなった為だという声まで上がり、家庭と学校の連携が必要と強く言われています。

 子どもだけでなく、人がイライラするのはストレスが原因ですが、、ストレスのない社会などあり得ません。誰でもストレスを上手に解消しながら日々生活しているのですが、ちょっとした刺激に思わず暴力を振るうほどストレスを溜めているのは大変な問題。
学校と家庭の連携で解決できる問題かどうかはさておき、子どもがサインを出している時その原因をしっかり見つめて手を差し伸べるのが大人の仕事ではないでしょうか?

■子どもと受験

 先日ある幼稚園児のお母さんが、「公立学校の小中一貫や、中高一貫が出来ると、どうしても受験をしなくてはいけなくなる、やはり塾に行かせないといけないのだろうか。」と考え込んでいました。小さい頃からの塾通いや過度な受験勉強が子どもにストレスを与えていることがわかっていて、その解決法の一つとして、小中一貫や中高一貫が考案されたとするならば、どうしてこういうことになるのでしょう?彼女曰く「家は公立で行くから、中学受験は関係ないわと思っていたけど、中高一貫の公立校に入るためには、入試がある。入試のために塾に行かないと・・・・」となるわけで、そうなると、結局受験戦争が緩和されることはないのでしょうか?

 少子化が進み、危機感を覚えた塾や予備校は、日経キッズやプレジデントなどの雑誌で、お父さんも受験戦争に巻き込もうと父親を相手にした受験情報を流し始めています。私自身は、2人の子どものうち一人は塾通いを経験しもう一人は塾を知らずに育ちましたので、様々な親子を見てきました。自我が目覚めていない小学生への過度な勉強の強制については、子どもの人格をゆがめる危険があるし、たとえ一時的な成功があったとしても後に良い影響があるとはとても思えません。

 先日久々に夜電車で出かけた帰り、駅のホームで塾のかばんをしょったこどもが鬼ごっこをして遊んでいる光景を見ました。夜遅い時間帯と塾のかばんと駅のホームというシチュエーションがなければ、楽しく友達と遊ぶごく普通の子ども達なのですが、明らかに異様でした。僅かな時間に遊ぼうとするこの子達は、じっとベンチに座って電車を待っているより子どもらしいと言えるかも知れませんが、その時間は家で家族と一緒にくつろいで、他愛ない親子の会話を楽しんで欲しいなあと思います。

■ぼーっと過ごす時間

 子ども達には、リラックスして、ぼーっと何もしないでいる時間が必要だとわたしは常々思っています。その一見無駄に見える時間に子どもの内面が成長しているように思うのです。このことは、私の下の子どもが不登校になった時に学びました。理由ははっきりわかりませんでしたが、学校に行っていないとき、家でごろごろ過ごす子どもを見て心配でたまりませんでしたが、それは彼女にとってとても必要な時間だったということが、すっかり成長した今の彼女を見てとてもよく理解出来ます。世の中のスピードが速く、駅の改札や自販機や機械を相手にするテクノストレスにさらされ、一日中テレビやゲームやパソコンの音、外に出れば、車の騒音・・・。そういったものから離れて、静かな空間でごろごろ、ぼんやり過ごす時間はとても貴重です。ほんの少しでも一日のうちにそんな時間を持てるように出来たらなあと思います。お稽古や塾が多い子どもは、何かを減らして何もしない日を作るとか、少し生活を変えてゆとりを作ることで、イライラから解放されるはずです。

■ゴールはずっと先

 小学校受験や中学受験に関して言うならば、受験をするとしても塾の言いなりにならず、子どもの様子をみながら無理をさせないということを守らなければいけないと思います。親が少しでもおかしい、変だと感じたら、止めるか方向を変えることを親子で話し合って考え、決して塾にあおられて暴走しないように気をつけたいものです。受験の成功がゴールではなく、ゴールは10年以上先にあると考えのんびりゆっくり見守る姿勢を持つならば、子どもは、安心して家庭の中で羽を休め学校でイライラすることもなくなり、自分らしい生活が出来、自分の得意なものを見つけ動き始めます。子どもが大きくなってしまうと、ゴールはもっと先だということがよく理解できるのですが、渦中にいると親は目先の結果がどうしても気になってしまいます。

 もちろん受験だけが子どものストレスではありません。学校での人間関係の悩みや、家庭内の問題など原因は様々でしょう。そのイライラを乗り越える力を育てるには、周りの暖かい見守りや励まし、こころが落ち着ける環境作りが大切だと思うのです。その見守りをする大人も、イライラを抱えないよう時には立ち止まって自分を振り返る余裕が必要です。秋が深まり、気がつけば、落ち葉の季節。庭先販売のお店には、もう銀杏が出ていました。ひんやりとした外気を吸いながら、秋の草花を眺め、虫の声に耳を傾け、のんびり親子でまたはひとりでお散歩するのも良いですね。

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nana


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2006年10月号

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