第11回 何かがおかしい今、大人にできること
■いじめについての報道
今日、娘が学校から、お手紙を持ってきました。
文部科学大臣から、全国の小中高生とその保護者に宛てた手紙でした。
自殺予告の手紙が文部科学省に届いてから、いやそれ以前からいじめやいじめによる自殺の報道が後を絶たちません。そして毎日、新聞や雑誌や様々なメディアで、大人から子どもたちへのメッセージの嵐。
全く異常な事態です。なにかがおかしいと感じます。手紙をもらってきた娘も、渡しながら「なんだかなあ。こんな手紙で解決するとも思えないけどね〜」などと言っていました。確かにそうです。そうは言っても、大臣もこの事態に何かをせずにはいられなかったのでしょう。有識者による提言も出されています。
しかし、今のこの異常な事態を作っているのは、紛れもなく、今の日本社会を動かしている大人なのだと思います。
大人たちが、目に見える経済的豊かさ、美しさ、頭のよさ、ブランドなどのレッテルを追い、楽して得をすることばかりを考えている。そして、そういうことを一つの価値観としてきたつけが今回ってきているのではないでしょうか。
本当に大切なことは、目に見えないこと。自分の隣にいる人に対する、思いやり、心のつながり。
そんなことが、なおざりにされ、点数や、持ち物や、容姿やそんな目に見えるものに重きを置く大人の価値観のなかで行き場を失いストレスを溜めている子ども達がたくさんいるのではないでしょうか?
何が良いのか悪いのか、それは人によって違うのに、自分で考えようとせず、人に判断を任せてしまう。
そんな大人が増えているように思います。みんなと同じだったら安心、違うと浮いてしまいそうで心配といった具合です。そして、自分の思いと違っていても我慢をして人と合わせてしまい、不満をこころの奥に溜めストレスを抱えている人が多いのも事実です。
■家庭内のコミュニケーションを豊かに
わたしは、この異常な事態を改善するには、まずは家庭内のコミュニケーションを豊かにすること、これ以外にないと思っています。
子どもとの付き合いは莫大なエネルギーをとられますが、真剣に取り組むことで必ず自分が成長できる、とても素敵なプロセスだと思います。
そのことを心に留めて、子どもに真剣に向き合って欲しいと思います。子どもをコントロールしようとか、評価しようとか、そんな目線でなく、自分と同じ、今を一生懸命生きている一個の人格として、尊敬を持って付き合って欲しいのです。どんなことでも良いので、一緒に何かをする時間を毎日持って欲しいと思います。
親がそんな気持ちでいれば、子どもも安心して心を許し、色々話ができるようになるのです。
新聞やテレビで、著名な方々が次々と自分のいじめられた体験、いじめた体験を毎日のように語っている。えー!あの人がと驚かされます。そういう体験に現在いじめで苦しんでいる人は勇気付けられるでしょうし、いじめをしている人は自分を省みることが出来ると思います。
しかし有名なあの人の話ではなく、家庭で親たちが自分の体験を語ると、こどもたちはより身近に感じ、親をまた違った目で見、深いこころのつながりに結びつくのではと思います。
■ひとりひとりが暖かい心を持って
今日一日が事故もなく無事に終わったことを感謝して、小言ばかりを言った日は、子どもが寝た後に、自分の子の良いところを思い起こし明日は抱きしめて褒めてあげましょう。
なんだか毎日新聞やテレビの報道に気がめいりそうだけれど、まずは自分の家族にそして、自分の身近にいる人に思いやりを持って接することが出来るよう、こころして日々を過ごしたいと考えています。
今、ひとりひとりが暖かい心を持って、周りの人に接すること、それ以外に今のこの異常な事態を生き抜く術はないのではないでしょうか。
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nana
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2006年12月号