力を抜いて,ゆったりと・・・・

第15回 こころに残った講演会〜「日々の生活でもう一歩をふみだすために・・・・」


■良い講演会との出会い
ゴールデンウイークの初日、わたしはお世話になっているカウンセリング研究所の創立25周年の記念講演会に行きました。
マザー・テレサが来日したときに通訳をされたという有名なシスターのお話を聴けると言うので、朝から楽しみに出かけました。
 わたしは、下の子どもが不登校になったりという経験があり、様々な講演会や勉強会にこの15年ほどは参加してきましたが、そんな中で、最も心に残るお話でした。
良い講演というものは、無駄な話が一切ありません。どの言葉もすべて書き留めておきたいと言う衝動にかられ、メモが何ページにもなってしまいます。

■シスターも私たちと同じ人間
講演者は、ノートルダム清心学園理事長、ナミュール・ノートルダム修道女会シスター 渡辺和子先生。
講演のテーマは、「日々の生活でもう一歩をふみだすために・・・・・・」。
この方は、2,26事件のときに、お父様を目の前で殺されるという、壮絶な子ども時代を送った方でした。
高齢出産の母との間の葛藤もあり、人にやさしくなれない自分に嫌気がさして、ご実家の浄土真宗を捨て18歳でキリスト教の洗礼を受けられたのです。そして、30歳で修道院に入られるのですが、修道生活者ではあっても、人間関係の悩み、人生の悩みから解放される事はなく、「易きにつこうとする自分自身との戦い、自分中心の自分との戦い」の連続であり、いまも続いているということをさらりと話されました。
小さなお身体で、皇后さまのようなやさしい声でゆっくりと話されます。わたしなど手が届かない世界にいらっしゃると思うのだけれど、そのお話の端々にユーモアや茶目っ気や、シスターも私たちと同じ人間なんだと思わせる人間臭いエピソードをたくさん盛り込まれるので、とても身近に感じられました。
シスターだって、苦手な人もいれば、落ち込むこともあり、嫌いな食べ物もあるし、いたずらや、意地悪をしてみたくなるときもあるのだということを知ってなんだか安心しました。

■環境の奴隷にならず環境の主人となる
シスターがアメリカでの修道生活で学んだことは、人と接するとき、People ではなくPerson として見るということや、一人格としての自分の成長、環境の主人となる生き方でした。若くして大学の学長になり、職場での人間関係や生き方に悩んだとき、環境のせいにしないで、
「自分が変わらなければ、何もかわらない」ということに気がついたのだそうです。
それは、相手に一歩近づく努力をしなければいけないということ、あらゆるトラブルの中で、自分から平和を作る人になるという決意だったのです。
「環境の奴隷にならず環境の主人となる。相手のレベルまで下がらず、相手に左右されない。」
これはとても力になる言葉です。何かがうまく行かないとき、私たちは、人のせい、環境のせいにしてしまい、自分は何も悪くないのに・・・と思って、壁にぶつかってしまい悩みます。
しかし、自分が変わらなければと気がつけば、人生はポジティブに変身して行きます。
では、どうやって・・・
それは、たとえば、「期待した微笑みがえられないとき、自分からほほえむこと。」
目が合った相手にほほえみかける、それだけでほほえみかけられた相手は、自分を受け入れられたと感じるし、ほほえみを返そうとする。そうすることでどれだけ家庭や職場での人間関係が豊かになることか。

■苦しみが苦しみ『で』なくなるように
また、「どんなことにも感謝しなさい」と言う言葉も心に残りました。
人生には苦しいことや悲しいことがたくさんあるけれど、「苦しみ『が』なくなる」ように願うのではなく、「苦しみが苦しみ『で』なくなる」ように、物の見方を変えてみることも大切なのです。
例えば、家族の一人が病気になったとき、初めて家族が協力し合い、絆が深まるということがあります。
「どんな不幸をすっても、吐く息は感謝でありますように」という言葉を、にわかには実践できませんが、心に留めて生活すること人生が変わってくるのではないでしょうか。

私はこの日、1時間ほどの講演で、数え切れないほどたくさんのメッセージ受け取ることができました。
最後に、色々不満があったとしても、「置かれたところで咲きましょう」、人は置かれたところで咲く自由があると言う言葉は、疲れてくると不平不満が口をつくわたしのこころに沁み込みました。

渡辺和子先生のご著書はたくさんありますが、最近のもので、「忘れかけていたたいせつなこと 〜 ほほえみひとつで人生は変わる」(2005年5月 PHP研究所)は、短いエッセイがたくさん収められたものです。
わけもなくイライラするとき、子どもを思わず叱り飛ばしてしまったとき、パートナーににこころない言葉をかけてしまったとき、開いてみるとあなたを勇気付けてくれる言葉を見つけることができるでしょう。

 「子育ての悩み相談しましょう」コーナーにエッセイを連載中です。みなさまのご意見ご感想をお待ちしています。
  
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nana


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2007年6月号

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