力を抜いて,ゆったりと・・・・


第17回 あなたのソウルフードは何ですか?

■ソウルフードという言葉

 ソウルフードというと、アフリカ系アメリカ人の料理から来た言葉だけれど、最近アメリカで大学教授をしている、在米27年という日本女性の講演と、「かもめ食堂」という映画でこの「ソウルフード」という言葉をききました。
ウイキペディアには、原義のほか、派生語として、「ある民族や地域・個人単位で、幼少の頃から慣れ親しんできた食べ物のことを転用してソウルフードと呼ぶことがある。一種のスラングとしては、その人たちにとっては欠かせない食事を指す。」
とありました。例えば、病気の時、落ち込んだ時、ふるさとを遠くはなれてホームシックになったとき、無性に食べたくなる食べ物とでも言うのでしょうか。

前出の大学教授のソウルフードは、お寿司だそうです。アメリカでもいまやお寿司は、内容はともかくどこでも食べられるので、人種差別にあったと感じたりして、落ち込んだ時にはお寿司を食べて元気を取り戻すそうです。
映画「かもめ食堂」の主人公サチエさんのソウルフードが「おにぎり」だと言うことが、映画の終わりの方で出て来ました。
フィンランドで開店した「かもめ食堂」のメニューに「おにぎり」があるのはそのせいでした。
サチエさんは、幼い頃母親を亡くし、小さい頃から自分でお料理をしていたそうですが、運動会と遠足の時だけ、お父さんがおにぎりを作ってくれたのでした。鮭と梅とおかかの3種類のおむすびだけで、他になにもおかずはなかったけれど、サチエさんにとっては特別な食べ物だったのです。
自分ではなく誰かにつくってもらったおにぎり、特にそれがお父さんだったからなお更でしょう。とてもとても美味しかった、
という話を映画の中でしていました。

■わたしのソウルフードは?

一緒に映画を観た娘に、落ち込ん出元気が出ないときに食べたくなるものをソウルフードって言うみたいだけど、あなたのソウルフードは何?ときいてみました。ちょっと考えてから出てきた答えは、「グミ」。「うーん、まだまだ子どもだなあ〜〜」。隣にいたおにいちゃんの答えは、「たまごかけごはん」だそうな。
そういえば、わたしも、若い頃留学先でホームシックになると、食べていたのが「たまごかけごはん」だったなあと思い出しました。
わたしは、今は「たまごかけごはん」を食べることは、滅多にありません。この前いつ食べたか思い出せないくらいですが、それでも、ソウルフードは?と聞かれると、「たまごかけごはん」が思い浮かびます。
多分幼いときの記憶が呼び覚まされるのではないかと思います。炊きたてのご飯に、溶き卵とお醤油をたらしただけなのに、食べたらしあわせな気持ちになれる食べ物。

 
■こころも身体も癒す食

人は美味しいものを食べる時、美味しいものと出合った時、何ともいえないしあわせを感じます。
病気の後に、最初に食べた一匙のおかゆが、じーんと身体に沁みる美味しさは誰もが味わったことがあると思います。
身体を健康に保ち、活動するエネルギーの源は、食べ物以外にありません。
それも、食べる人のことを思いやった、こころをこめて支度された食事。

何十年も前からの知り合いが病気になりました。かなり深刻です。わたしは何も力になることが出来ません。そんな私に、独身の彼女は、「忙しいあなたに言うのは心苦しいけれど、時々食事に付き合って。それが何よりの気晴らしになるし、ある種薬のようなものです。」と言ってくれました。
そんなことで力になれるなら、何時でもOK! 早速次回の予定を立てましょう。
受験のプレッシャーに押しつぶされそうになっている娘にも、何もしてやれないわたしは、勉強の友においしそうな”グミ”を調達したり、食卓に娘の好きなおかずを用意して、食べることで元気を取り戻して欲しいなあと思っています。

さて、あなたのソウルフードは何ですか?そしてそのソウルフードを一緒に分かち合うのは誰ですか?
夏休みが終わり、新学期が始まります。家族で過ごす時間がたくさんあった夏、それぞれが社会の中の自分のポジションに戻り、普段の生活に帰って行きます。
どうしても緊張が強いられる外での生活、家庭内は美味しいものでこころも身体もくつろげる場にしたいですね。

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nana


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2007年9月号

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